ニューヨークのシンボル、自由の女神。アクセスや楽しみ方と、行く前に知っておきたいその歴史
2023.2.1
キーワードで検索
海外旅行で気になるのが、その国の治安ではないでしょうか。特にコロナ渦を経て、治安や雰囲気はどう変わったんだろうと疑問に思っている方も多いはず。ニューヨークでは2020年3月の非常事態宣言から3年近くが経過し、レストランや劇場ではマスク着用が任意となり、ワクチン接種証明の提示も撤廃されました。世界各国から再び観光客が訪れ始め、やっと日常に戻りつつあります。しかしながら、長引くコロナ渦で治安は良好とはいえないのも事実。そこで今回は、ニューヨーク在住の筆者が安全に、楽しく旅行するためのポイントをお伝えします。何度もニューヨークを訪れたことがあるという方も、ぜひご一読ください。
目次
ニューヨーク市は、2020年3月の感染拡大の非常事態宣言前までは治安が向上しており、ひとり旅でも問題なく過ごせました。ところが収束の見えないコロナ禍により、経済が悪化。不自由になった日常生活からのストレスなどの理由により犯罪が増加しており、コロナ禍以降のニューヨークの治安は正直良好とは言えません。筆者は2009年からニューヨーク市在住ですが、渡米以降で現在の治安が最も悪くなっていると感じます。
ただし、最近ではコロナ渦で激減した旅行客も戻ってきていますので、自身を守る危機管理意識さえあれば安全に楽しく観光することは可能です。現在ニューヨークに観光に来ている旅行客を見ると、家族や友人同士、カップルなど複数人の旅行客が大多数で、ひとり旅はほとんど見かけません。治安がもう少し回復するまでは、ふたり以上のグループ旅行をおすすめします。
さて、あなたが安全にニューヨーク旅行をするにはどうしたらよいでしょうか。筆者のおすすめは、「ニューヨーカー(ニューヨーク市の住民)の真似をしてみる」ことです。 ニューヨーカーは危険に対して、常にアンテナを巡らせ、身を守るよう意識しているからです。
滞在中はニューヨーカーの様子を観察し、真似をしてみましょう。例えば地下鉄では、ひと気がないところではなく、彼らが集まっている場所にいましょう。彼らがアナウンスを聞き、一斉に電車から降りたら降りましょう(事件や事故が起きた可能性があります)。どうやってニューヨーカーを見分ければいいの?という方向けに、筆者が思う特徴をまとめてみます。
ニューヨーカーが治安に懸念を感じる最たるものが地下鉄乗車です。コロナ禍以降、地下鉄の安全性が低下しているため、筆者のまわりでも「地下鉄に乗りたくない」という理由で、リモートワークに移行しオフィスへの出社を避ける人がいるほど。
そうはいっても、やはり通勤や通学で利用せざるを得ず、筆者も含め毎日緊張しながら利用している人も多いと思います。観光する際は、地下鉄は日中に利用し、日が落ちてからの利用は避けましょう。地下鉄は24時間運行していますが、現在のニューヨークの治安では深夜に利用するのは危険です。
前述したとおり筆者も地下鉄通勤をしているので、普段心がけている地下鉄乗車のポイントをまとめてみます。
これ以外にも、ネズミが走り回っている可能性があるのでできれば足元にも注意を向けましょう。
特に3番目は、今やニューヨークの常識として多くの人が実行しています。
土日祭日は工事が行われることが多いため、行き先や停車駅、運行時間など運行スケジュールが変更になることがあります。スケジュールを事前に確認しておくと安心です。「MTA」の地下鉄とバスのアプリがあるので、旅行前にスマートフォンにダウンロードしておくと便利です。
街中で安全に過ごすには、日が出ているうちに行動すること、観光客など人通りが多いエリアを中心に移動すること、そして何より「危険な場所へ行かない」ことです。
以下に、危険な場所の見分け方をまとめてみます。こちらを参考にして、自分がどのような場所にいるのかを意識してみましょう。
以下は、筆者が思うあまり治安がよくないと感じるエリアです。これらのエリアには観光地が含まれている場合もありますが、行かないほうがよいということではありません。ただし用心しすぎるということはないので、観光に行く場合は十分に気をつけて向かいましょう。
宿泊施設を選ぶ際は、値段の安さだけで選ばず、立地のよさを確認するようにしましょう。ニューヨーク市は「安全をお金で買う」所といっても過言ではありません。すべてがそうだというわけではありませんが、値段が高ければ治安は比較的よく、低ければその逆になる傾向があります。
例えば、ハーレムやイースト・ハーレムエリアは、アルコールや薬物中毒患者のリハビリ施設やホームレスのシェルター(保護施設)が多くあり、環境がよいとはいえません。ブルックリンやクイーンズの奥にある住宅街は場所によっては安全ではありませんし、マンハッタンの観光地からはかなり離れています。これらのエリアは、ニューヨークの地理に明るくない旅行者にとってはわかりにくく、向かないといえるでしょう。
また、SNSやインターネット上の掲示板で見かける個人宅の貸し出しはリスクが高いといえます。そもそも民泊は違法であり、ホストが犯罪者でないという保証はどこにもありません。
ここまで読んでいただいた方は、ニューヨーク旅行で気をつけるべきことがだんだんとわかってきたのではないでしょうか。最後に、街中で気をつけたいポイントや把握しておきたい事例をまとめてみます。
・街中で話しかけてくる人を相手にしない。
映画やドラマでよくあるように、ニューヨーカーはフレンドリーで旅行者に積極的に話しかける……ということはほぼありません。空港、繁華街、公園などで旅行者に話しかける場合、騙す(詐欺)、盗む、暴行する目的があることも少なくないので気をつけましょう。
・背後に気を配る。
街を歩く時は、ウィンドー越しに背後を確認するなど、不審者がいないかを確認しましょう。
・ひと気のない場所を歩かない。
ひと気がないのは、安全ではないからです。人が少ない通りに出たら、速やかに人が多い場所に移動しましょう。
・早朝・夜間は出歩かない。
日本のように夜間に財布だけを持ってコンビニに行く感覚は、現在のニューヨーク市では危険です。治安の悪化のため、多くの商業施設は閉店時間が早まっています。
・タイムズスクエアの着ぐるみ(ディズニーや映画のキャラクター)と写真を撮らない。
写真を撮ると高額なチップを要求されます。痴漢などの被害も起きています。
・財布を分散する。
普段使う財布には少額の現金、およびクレジットカード(盗難にあっても停止できる)などを入れ、多額の現金を一つの財布に入れないこと(身分証明書など大事なものは別にしておく)。また、ニューヨークでは20ドル札が多く使われ、50ドル札、100ドル札などは使いにくい場合があります。
・ATMは、できるだけ警備員がいる銀行ビル内のものを利用する。
例えば、全店がそうだというわけではありませんが、マクドナルドに設置してあるATMでトラブルに遭ったと聞いたことがあります。(口座情報が盗まれ、不正利用されるなど)
また余談ですが、マクドナルドのフリーWi-Fiもトラブル(個人情報の流用)が多いようです。マクドナルドは日本と違い、様子のおかしい人がたむろしている店舗もあるので、テイクアウトがおすすめです。
被害に遭わないのがいちばんですが、万が一事故やトラブルに巻き込まれた場合に備え、以下に連絡先と対応方法をまとめます。
ニューヨーク旅行前に目を通しておきたいサイト
・もし事件や事故に巻き込まれたら 在ニューヨーク日本国総領事館:
https://www.ny.us.emb-japan.go.jp/jp/p/whatif_01.html
・ニューヨーク安全マニュアル 在ニューヨーク日本国総領事館:
https://www.ny.us.emb-japan.go.jp/jp/j5/index.html
なお、海外旅行前には必ず海外旅行保険に加入しておきましょう。アメリカでは救急車はとても高額です(重病患者でも救急車には乗りたくないというほど)。医療費も無保険だと同様に高いので、忘れずに保険に加入することをおすすめします。
ニューヨークはよく東京と比較されることもあり、治安も同じ程度だと思われることもありますが、特に現在の治安や雰囲気は、日本だけでなくコロナ以前のニューヨークとも異なります。ただし、治安は良好とはいえないものの、「日本とは違う外国にいる」という意識を常に持って行動すれば犯罪に巻き込まれる可能性は低くなるといえるでしょう。現に多くの旅行者はニューヨークで楽しく過ごし、無事に帰国しています。あなたのニューヨーク旅行を安全で楽しいものにするために、今回まとめた現地在住者としてのアドバイスが参考になれば幸いです。ぜひ、ニューヨークへいらしてくださいね。お待ちしています!
TEXT:ニューヨーク特派員 青山 沙羅
PHOTO: Hideyuki Tatebayashi *Do not use images without permission.
監修:地球の歩き方
アメリカの治安については、外務省が提供する以下の最新安全情報も合わせてご覧ください。