ニューヨークのシンボル、自由の女神。アクセスや楽しみ方と、行く前に知っておきたいその歴史
2023.2.1
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ニューヨークを舞台にした映画『ティファニーで朝食を』のように、ニューヨーカーになりきって、パンと熱いコーヒーでニューヨークの朝を始めてみませんか。少し早起きをして、旅先のこぢんまりとしたベーカリーに出かけてみましょう。焼き上がったばかりのパンは、どれもおいしそうで迷うかもしれません。お気に入りを選んだら、淹れたてのコーヒーと共にいただきましょう。きっと素敵なニューヨークの1日が始まるはずです。現地在住の筆者が、評価の高いベーカリーを厳選のうえ食べ歩きをしてみましたので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
「ミカエリ・ベーカリー」は、バブカ(ブリオッシュ生地のユダヤ系パン)で有名な「ブレッズ・ベーカリー(Breads Bakery)」でオープニング・エグゼクティブ・シェフを務め、「ニューヨーク1のバブカ」と賞賛されたバブカを作るアディール・ミカエリ氏による人気のベーカリー。2019年5月、ロウアー・イースト・サイドにオープンしました。人気のチョコレートバブカのほか、チーズとチェリーのバブカ、ヴィーガンのチョコレートバブカなどが販売されています。
グーグルレビューで4.8(満点が5.0)というほぼ満点の評価を得ている店だけあって、開店時間にパンが並ぶと次々に売れてしまいます。お目当てのパンを手に入れるには、開店時間に合わせて行った方がよさそうです。ちなみに筆者は日曜日の朝9:00頃(日曜日は朝8:00開店)に行きましたが、ほとんどの商品が出揃っていました。
ただ、この日は棚にバブカは並んでおらず残念でした。ユダヤ教の祭日や曜日など、日によって並ぶ商品が多少異なるようなので、お目当てのパンが無ければスタッフに聞いてみましょう。
それでは、こちらのミカエリ・ベーカリーで購入したおすすめのパンを紹介します。
薄いクロワッサン生地が何層にも重ねられて、みっちりと密度が高いアーモンド・クロワッサンは、熱いコーヒーとともに日曜日の朝を幸せにしてくれます。パンというよりはパイ菓子のミルフィーユを思わせ、日本人の口にも合う甘すぎない繊細な味。ていねいな工程で作られたであろうクロワッサンからは誠実さが感じられます。
「アーモンド・クロワッサン」実食評価 ★★★★★(星5 満点)
ショーケースの中央に並び、目が釘付けになったのは「スパイシー・チーズスティック」。チーズ好きの筆者としては見逃せませんでした。表面のチーズはパリパリ、中のクロワッサンはしっとり。濃厚なチーズは、かなりスパイシーな大人の味。コーヒーといただくのもよいですが、おいしいワインと合わせれば至福の時間に。
「スパイシー・チーズスティック」実食評価 ★★★★★(星5 満点)
ルグラーはユダヤの伝統菓子で、中にクルミがぎっしり詰まったものやクッキー風のものもありますが、このルグラーは小振りのチョコレート・クロワッサンといってよいでしょう。内側は極薄のクロワッサン生地とチョコレートが完璧な層をなしており、最高の味。見た目に反して甘さは控えめです。
「ルグラー」 実食評価 ★★★★★(星5 満点)
ひと口メモ
ミカエリ・ベーカリーはコーシャー(ユダヤ教の食の規定に準じた食物)認証店であり、コーシャーではパンに乳製品の使用を禁じているため、クロワッサンにはバターを使っていないと思われます。そのため、密度が濃いクロワッサンでも重い感じがせず、繊細な印象を受けました。筆者はおいしさが忘れられず取材後に再訪して「ブレカ(ブレカス)」(チーズやマッシュルーム、じゃがいも、ほうれん草の種類があるユダヤの伝統的パイ)を購入。特にマッシュルームのブレカは秀逸です。ぜひお試しください。もちろんニューヨーカーを夢中にさせたバブカもお忘れなく。アッパー・イースト・サイドにも店舗あり。
参考:イスラム教ハラルのようにユダヤ教にもたくさんの食料品の加工や食べ方に関する規定があるそうです。そのうちのひとつは「パンに乳製品を使ってはいけない」という規定。https://coop-weblabo.jp/ouendan/bob/10719
「メル・ザ・ベーカリー」(以下、メルと表記)は、週後半の金曜日から日曜日の3日間、9:00から15:00までと短時間営業のベーカリーです。
2024年4月注記:以前はミカエリ・ベーカリーからDivision Street経由で1分の距離にあったこちらの店ですが、現在では移転しています。詳細はこちらのページでご確認ください。
ショーケースには、焼き上がっているパンがサンプルとして並んでいます。種類はそれほど多くなく、パンのセレクト・ブティックという雰囲気。ブルーが店のテーマカラーのようです。
「チョコチップ・クッキーをちょうだい」と来店する、クッキー目当ての男性客も見かけました。アメリカではスイーツ好きの男性が多く、食後のデザートもペロリと平らげます。
「ハム&チーズ・クロワッサン」
グーグルレビューで「50年後、孫たちがこのクロワッサンの話をしているだろう」と絶賛されていたのを見て、絶対買おうと決めていたもの。極薄の生地は何層にもていねいに巻いてあり、みっちりとした密度の高さを実感できます。溶け出したパリパリチーズのお焦げにも誘惑されます。酒のつまみにもなりそうです。
実食評価 ★★★★★(星5 満点)
「ピスタチオ・アーモンド・クロワッサン」
翌日に食べてもさっくりしていたクロワッサンは、甘さ控えめで日本人の口にも合います。薄いパイ層は繊細で、ひと口ごとに幸福な気持ちにさせてくれます。
実食評価 ★★★★★(星5 満点)
ひと口メモ
「メル」と「ミカエリ・ベーカリー」はクロワッサンの製法や味がよく似ていると感じました。ミカエリ・ベーカリーはユダヤ系のパン(宗教に準じたもの)の品揃え、メルは宗教色がなくパンのブティックのような雰囲気と、それぞれ店のイメージは異なります。
ちなみに「メル」は、デンマーク語で小麦粉を意味する「mjöl」に由来しているそうです。
ミカエリ・ベーカリーとメルから徒歩3 – 4分程度の距離にあり、エセックス・ストリート沿いにある「パーティバス・ベイクショップ」。ミカエリ・ベーカリー、メル、そしてパーティバス・ベイクショップの3店舗は、筆者のなかでは「ロウアー・イースト・サイドのパン屋御三家」といえるほどのレベルの高さ。パン好きの方はぜひ立ち寄ることをおすすめしたいベーカリーです。
この店のシグナチャーは、写真映えする「ピスタチオ・ローズ・クロワッサン」なのですが、日曜日の朝10:00前(オープンから約1時間後)には、すでに売り切れており残念でした。こちらのお店もオープン時間に合わせて買いに行くのがよさそうです。
ほかにもこの店では、ホームメイドのパイやマフィンもあり、心惹かれます。
事前調査でバゲットの断面写真を見て、絶対買おうと決めていました。こちらのバゲットは、エアポケットと呼ばれる空気穴がバランスよく空いています。ひと口かじった時に広がる芳ばしい香り、外皮もおいしく、中はもっちり。口の中にはおいしさの余韻が残り、つまんだ指先からはバゲットの香りがふんわりと漂います。今回ピックアップしたベーカリーのパンの中で、圧倒的総合優勝はこのバゲット。また、買いに行かなきゃ。
「クラシック・フレンチ・バゲット」 実食評価 ★★★★★(星5 満点)
「チョコレート・クロワッサン」
前述の2店(ミカエリ・ベーカリーとメル)に比べると、軽い生地で、空洞が多め。甘みを抑えたチョコレートが美味。
実食評価 ★★★★(星4.5)
「アーモンド・チョコレート・クロワッサン」
チョコレートとナッツがぎっしり詰まっており、甘みは強め。食べ応えあり。
実食評価 ★★★★(星4.5)
ひと口メモ
映えを意識した女性好みの店と思いきや、筆者の訪れた時間帯の客は全員男性でした。周辺環境はあまりよいとはいえないので、注意を怠らないようにしましょう。購入必須のバゲットは半分でも購入可能で、サンドイッチも作ってもらえます。バゲットのほか、フォカッチャ、ブリオッシュもおいしそうでした。人気商品は早い時間帯に売り切れてしまうので、早起きして出かけましょう。
クロワッサンとドーナツを融合させたハイブリッド・スイーツの「クロナッツ」で一世を風靡したドミニク・アンセル。2021年7月にベーカリー専門店「ドミニク・アンセル・ワークショップ」をオープンしました。
マディソン街と5番街の間の27丁目にある店は女性をターゲットにした店構えで、次々と女性が吸い込まれていきます。ソーホーの本店よりも洗練された印象を受けますね。店内に飲食スペースはなく持ち帰りのみですが、すぐに味見したい人はコーヒーも一緒に買って店外にあるテーブル席(4席のみ)でどうぞ。
ソーホー本店では依然としてクロナッツのために行列ができているようですが、27丁目のドミニク・アンセル・ワークショップは待たずに買えることも魅力。
「コーヒークリーム・ブリュレ」(写真右から二列目)
クリーム・ブリュレ好きには見逃せませんね。コーヒークリームとバニラ・クリーム・ブリュレの相性がよい、ブリオッシュ。クロナッツとイメージは近いかも?
実食評価 ★★★★(星4)
「ハム&チーズ・クロワッサン」(写真左から4列目)
甘いものが多い中で、堅実に売れ行き好調なのがハム&チーズ・クロワッサン。グリュイエール・チーズの味がしっかりと中心軸にあり、美味。隠れたベストセラーかも?
実食評価 ★★★★(星4)
ひと口メモ
期間限定のメニューもあり、筆者が訪れた時は「Mochi Cake(モチ・ケーキ)」でした。アメリカでモチ(餅)は人気なのです。愛想のよいマネージャーに「絶対おいしいから、試してみて」とおすすめを受けましたが、「私たち日本人だから、餅はしょっちゅう自宅で食べるのよね〜」と答えたら、苦笑していました。
個人的には、ソーホー本店のハイブリッド・スイーツよりもサクッと買える27丁目店のベーカリーの方が優秀なのではと感じました。
ドミニク・アンセル・ベーカリーは、日本に上陸しましたが2021年に撤退しています。もともとベーカリーのファンの方も、今回初めて知った方も、今現在日本では食べられないのでぜひ訪れてみてくださいね。
5店目に紹介する「オー・メルベイユ・ドゥ・フレッド」は、フランスが本店で、実は日本の東京都神楽坂にも上陸しています。
筆者は今回の取材が終わってから知り、「日本はアメリカより小さい国なのに、世界のほとんどの人気店があるのでは?」と日本のグルメぶりに驚きました。フランス発ということで、クロワッサンもおいしいそうです。
ニューヨーク店は歩道脇にパンが並んだショーウインドーがあり、ガラス越しに商品を吟味することができるので誰もがガラスに張り付いて、どれにしようかと思い悩んでいるようです。
筆者がこの店を選んだのは、店のシグナチャー「メルベイユ」が気になっていたから。チェリー味のメルベイユを見て、「いちごのかき氷みたい」と思ったのです。実際にはメレンゲとホイップクリームでできています。ミニサイズのメルベイユは女性に人気で、買った途端に嬉しそうに食べている方も見かけました。
2020年8月放送の国民的アイドルグループが出ているテレビ番組にも登場したそうですよ。ミニサイズの詰め合わせは、プレゼントにも最適。筆者も欲しくなってしまいました。
ミニ以外に、おひとり様サイズもあります。ミニサイズで口に合うか試してみて、気に入ったら大きめサイズを買うとよいでしょう。
「ミニ・メルベイユ」コーヒー味
ひと口食べて飛び上がるほどのおいしさ。コーヒー味のメレンゲとふわっとした生クリームの食感のバランスが新鮮で、つぶつぶのコーヒーメレンゲのトッピングも楽しい。次はミニサイズではなく、おひとり様サイズをがっつり食べようと決めました。
実食評価 ★★★★★(星5 満点)
「レーズン&シュガーパール ブリオッシュ」
シュガーパールの名前に惹かれて、選んだ品。シュガーパールとは、真珠大の砂糖のことです。レーズンとシュガーの甘さはよいのですが、口中でダマになるパン生地がイマイチ好みではありませんでした。
実食評価 ★★★(星3.5)
ひと口メモ
メルベイユは絶対食べてほしい、想像以上のおいしさ。スタッフの対応のよさも印象に残りました。調べてみると、1982年フランス発祥のお店で、世界9か国にお店があり、日本では東京都神楽坂に出店しています。2020年8月1日放送の日本の人気バラエティ番組でも紹介されたので、知っている方も多いかもしれませんね。
最後に、筆者が食べ歩いたニューヨークの人気ベーカリーの商品ベスト3を選んでみました。
食べ歩き結果 勝手にベスト3
店全体のレベルでは「ミカエリ・ベーカリー」が群を抜いていると感じました。一つひとつがていねいに作られており、新たに試してみたい商品も多かったですよ。ニューヨークにいらしたら、当記事を参考にベーカリーの食べ歩きをしてみてくださいね。お待ちしています!
TEXT:ニューヨーク特派員 青山 沙羅
PHOTO: Hideyuki Tatebayashi *Do not use images without permission.
監修:地球の歩き方
※掲載情報は2022年10月時点の情報です。価格や商品構成などは変更になる場合がありますので、事前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。
※記事内の料金は、1ドル:約149を参考に計算しています。