ピーター・ラビット好き必読!イギリス湖水地方お手軽周遊ガイド
2015.9.17
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日本でもファンの多いピーター・ラビットの作者、ビアトリクス・ポター。彼女が愛したイギリスの湖水地方、ニア・ソーリー村ににぽつんと建つ石造りの建物がHill Top(ヒルトップ)です。湖水地方の美しくのどかな風景に魅せられたポターは、39歳の時にヒルトップ農場を購入します。ここには彼女の“お気に入り”が集められており、室内の調度品や家具をはじめ、周辺の自然環境や景観を守るために絵本の収益で一帯の土地を購入したという話からも、彼女のこだわりが感じられます。絵本シリーズ全23巻のうち、13冊はヒルトップの庭や周辺の自然からインスピレーションを受けたといわれています。特に「サミュエル・ウィスカーズの物語」では挿絵の家具や階段がそのまま残っており、ヒルトップのガイドブック代わりにこの絵本が販売されているほどです。
新型コロナウイルスの流行に伴い、人数制限が厳しくなったことから事前予約が無いと入場できない日程も多いため、前日までにHPから予約することを強くおすすめします。
万が一事前予約が売り切れてしまっている場合は、当日施設の窓口に行くと先着順で入場予約ができる場合があります。しかし、ヒルトップのあるニア・ソーリー村は景観を守るため買い物や飲食で時間をつぶせるようなお店がありません。(筆者が確認したところパブが一軒のみ)なるべく早く到着して希望の時間のチケットの空きを狙うと良さそうです。
ヒルトップへのアクセスはウィンダミア湖をフェリーでわたり、バスに乗り継いでいくという方法がメジャーでしたが、筆者が訪れた2022年8月時点では、新型コロナウイルスの影響によりバスの運行がストップしていました。訪れる際には最新の情報を確認しましょう。
今回筆者はフェリーで対岸にわたったあと、ヒルトップまで徒歩で移動しました。
体力に自信がある方はぜひご検討ください。
ウィンダミア駅から最寄りの船乗り場「Bowness Nab(ボウネスナブ)」まではバスでの移動が便利です。599番のバスに乗ると10分程度でボウネスナブに到着します。
ボウネスナブに到着後は徒歩でFerry Nab(フェリーナブ)に移動し、Windermere Ferry(ウィンダミアフェリー)に乗船します。
料金は片道大人1人£1、自転車持ち込み£2、車の場合は£5です。船着き場に並んでいると船員さんがカード決済の端末を持ってくるので、VISAタッチやApple payなどのタッチ決済で支払をします。事前の予約は不要、対岸到着までは10分程度の船の旅です。
フェリーで対岸に到着後、ヒルトップ方面に少し進むと道案内の表示があります。ヒルトップに向かう歩行者用のルートがあるので、看板の案内に沿って移動しましょう。
歩行者用ルートの入り口を見逃してしまうと、しばらく車道を歩く必要があり遠回りになってしまいます。夏の場合は日陰も無いので徒歩の場合は歩行者ルートがおすすめです。
木漏れ日や、気持ちよい空気を感じながらハイキング気分で森を抜けると、牧場や教会が現れ、ポターが守った古き良きイギリスの景観を見ることができます。
「ヒルトップ」と名がつく通り、目的地までは丘を上りながら進みます。日頃運動不足の筆者の足で船着き場からヒルトップまでは40分程かかりました。
※2019年まで運行していたフェリー到着地からヒルトップまでを結んでいたバス(Mountain Goat bus 525番)だと5分くらいの距離だそうです。
ヒルトップの入り口から建物までは一本の石畳が敷かれていてます。歩道脇のスイカズラや牡丹、季節のハーブなどがきれいに手入れされているのが印象的です。人間が手入れをしているのに自然風に見える素敵なイングリッシュガーデンでした。
敷地内に入ると絵本で見たことがある風景があちこちに!
建物の外で色々と見ているだけでもあっという間に時間が過ぎます。そうこうしているうちに入館の予約をした時間になりました。
予約時間が近づいたら、玄関でスタッフに予約名を伝えます。ヒルトップの簡単な説明や館内での注意事項を聞いて建物のなかに入りましょう。
建物のなかにも至る所に作品のモチーフとなった場所を見つけることができます。家具や暖炉、階段など当時の姿がそのまま残っているので、ピーター・ラビットを読んだことがある方はもちろん、作品を読んだことがないかたでも絵本を片手に見比べながら進むととても楽しいですよ。
ヒルトップの建物周辺以外にも、物語に登場する場所があります!
『あひるのジマイマのおなはし』では背景としてニア・ソーリー村唯一のパブ「Tower Bank Arms」が描かれています。店内はこぢんまりとして清潔感があり、定員さんもフレンドリーでとても安心できるパブでした。現在は宿泊もできる施設となっていて、ディナー以外は予約不要なので立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
こちらは『こねこのトムのおはなし』の挿絵として作品内に登場します。挿絵とは屋根の色が違うのですが、その特徴的な家の形から特定できます。白い建物を囲むように色とりどりの季節の花が咲き乱れ思わず写真を撮りました。今にも花の間から主人公たちがひょっこり顔を出しそうな雰囲気でした。
1943年にベアトリクス・ポターが亡くなったとき、彼女はこのヒルトップ一帯を「自分が遺した状態とまったく同じように保たれるようにする」という条件でナショナルトラストに譲渡しました。
これだけ多くの観光客が訪れる場所にも関わらず、彼女の意思を引き継いで1世紀近く開発が行われていない自然豊かなヒルトップ。イギリスの昔ながらの景色を楽しむことができる本当に素敵な場所でした。
ヒルトップ滞在をより楽しむために、訪れる前に読むべき作品は以下の4作品です。
・The Tale of Tom Kitten (こねこのトムのおはなし)
・The Tale of Samuel Whiskers(ひげのサムエルのおはなし)
・The Tale of Jemima Puddle-Duck(あひるのジマイマのおはなし)
・The Tale of two bad mice(2匹のわるいねずみのおはなし)
湖水地方を訪れた際にはぜひ立ち寄ってみてください。
監修:地球の歩き方