ニューヨークのベスト・サンドイッチ4選!現地特派員が食べ歩いて厳選
2024.1.22
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ブルックリンにあるレッドフックは、どこを切り取っても絵になる港町。インテリアショップIKEAのオープンをきっかけに注目され、個性的なショップやレストランが続々と誕生しています。今回は、レッドフックとはどんな場所なのか、どういうショップがあるのかをレポートします。
目次
ブルックリンのレッドフックは、1636年にオランダ人によって村として作られ、赤粘土質の土壌とイーストリバーに鉤型に突き出た形状から「レッドフック(赤い鉤)」と名づけられました。1850年代には大西洋国内で最も賑わう港のひとつになり、1950年代の最盛期には2万人を超える港湾労働者が住んでいました。
禁酒法時代のシカゴマフィアのボスで、アメリカ史上最も有名なギャング、アル・カポネはレッドフックの出身。1899年1月にイタリア人移民家族の9人兄弟の4番目に生まれ、父は理髪師、母は裁縫師をして生計を立てていました。アル・カポネはレッドフックのストリートギャングとして犯罪者としてのスタートを切り、喧嘩で負った顔の傷から「スカーフェイス」という別名でも呼ばれ、映画のタイトルにもなりました。1920年代、アル・カポネは酒の密造、ギャンブル、売春、恐喝、殺人、脱税などの違法行為で年間約1億ドルもの収益を上げる犯罪帝国を築き上げたのです。
1950年代の全盛期以降、ウォーターフロントの仕事はニュージャージー州に移り、レッドフックは失業率、人口の減少、公共交通機関へのアクセスの悪さによる地理的な孤立に苦しめられました。麻薬が蔓延し、犯罪率が高くなり、治安の悪さで知られるようになったのです。
1980〜1990年代になると、マンハッタンの家賃の高騰に耐えきれなくなったアーティスト、ミュージシャン、俳優などが手頃な家賃と広いスペースを求めてレッドフックに移住しはじめました。これらのアーティストらにより発展が進み、現在ウォーターフロントの住民は比較的裕福な層が流入しています。自由の女神とウォーターフロントの景色に魅せられ観光客も集まり、レッドフックは注目されるようになりました。
レッドフックは最寄りの地下鉄駅からは徒歩約30分と遠いため、フェリーでのアクセスが便利。土日限定になりますが、IKEAの無料フェリーがお勧めです。乗り場はミッドタウン(39丁目)とウォール・ストリートの2ヵ所から選べ、ミッドタウンからは1日5本の便があり所要時間30〜40分、ウォール・ストリートからは1日4本の便で10〜15分ほどでIKEA駐車場近くの発着所に着きます。フェリーからは、自由の女神やマンハッタンの摩天楼を眺められ、無料で観光船に乗った気分を味わえますよ。
土日に都合がつかない場合でも、有料フェリー(片道4ドル)がありますので、平日のアクセスももちろん可能です。
それでは、ブルックリン・レッドフックが近年人気が出ている理由をまとめてみましょう。人々は何に惹かれて、この町に集まるのでしょうか。
レッドフックを歩くと、あちこちでグラフィティアートが見られます。赤レンガの壁とのコントラストが写真映えしますね。
かつてはにぎわった港の倉庫街であったため、多くの倉庫が現存しています。現在倉庫は、ギャラリーやアーティストのイベントスペース、バイクショップ、インテリアショップ、レストラン、ワイナリー、ブリュワリーなどに姿を変え、再利用されています。また天井が高く広いので、住居としても人気があります。
港町レッドフックでは、自由の女神を正面に望むことができます。マンハッタンからは自由の女神を見ることはできませんので、レッドフックの大きなアピールポイントといえるでしょう。
港町として栄えていた頃は港湾労働者が多く住んでいましたが、現在はウォーターフロントの広い住居空間として、比較的裕福な30〜40代のカップルやファミリーに人気が高まり、ジェントリフィケーション(※)が進んでいます。静かで眺めがいい公園もあり、子育て向けの環境とされるほど、治安がよくなっているようです。
ジェントリフィケーション:都市において、比較的低所得者層の居住地域が再開発や文化的活動などによって活性化し、地価が高騰すること。
では次に、レッドフックの見どころをご紹介しましょう。
日本でもお馴染みの”IKEA”(アメリカでは「アイケア」と発音)。ニューヨーク市では、現在唯一の店舗がブルックリン・レッドフック店。地下鉄から離れたアクセスの悪い場所なので、週末の無料フェリーにより集客しています。
家具店だけにファミリー客が多く、子供が退屈しないようなディスプレイや手軽に買えるソフトクリームなど工夫が見られます。店内は広く綺麗で、見やすく整理されています。
1600年代に海運業が盛んだった頃賑わった桟橋は、開発されて水上公園になりました。桟橋からは、自由の女神、ガバナーズ島、マンハッタンの摩天楼、スタテン島が望めます。公園の名前は、消防士「ルイ ヴァレンティノ Jr」から名付けられました。彼は生前、消火活動と人命救助に全力を尽くし、そして負傷した消防士の捜索中に命を落とした、勇気ある消防士だったそうです。
ベンチが多い公園で、それほど混み合わないので、ゆっくりとくつろいで自由の女神を眺めることができます。
次にグルメスポットをご紹介します。レッドフックではいったい何が食べられるでしょうか。
2013年にオープンした「ホームタウン・バーべキュー」は開店前から行列ができる、レッドフックでいちばん人気のレストラン。バーベキューは、牛の肩バラ肉”Brisket”、豚の”Pulled Pork”などが人気。価格は高め。
シーフード好きなら「ブルックリン・クラブ」へ。蟹やロブスター、牡蠣が食べられます。夏〜初秋の陽気のいい時期はテラス席がおすすめ。価格は高め。
「ルイス バレンチノ Jr. パーク アンド ピア」公園の近くにある、サンドイッチの移動屋台「ユナイテッド・サンドイッチ・オブ・アメリカ」。朝食メニューやハンバーガー、サンドイッチなどが提供され、朝食メニューは終日注文可能です。天気がいい日に、公園のベンチで自由の女神を眺めながら食べるのがおすすめです。
フロリダ州で有名なキーライム・パイが、ブルックリンで食べられる「スティーブズ・オーセンティック・キーライム・パイ」。100%純粋なフレッシュ・ライムを使用。凍らせたパイにチョコレートをかけた夏向けデザート、スウィングルもあります。
ビール、ワイン、バーボン、ウイスキーの醸造所があり、アルコールには不自由しないレッドフック。飲み過ぎには要注意!
レッドフックにある飲食店のなかで、自由の女神ビューの特等席があるのが「ストロング・ロープ・ブリュワリー」。自由の女神を見ながらおいしいクラフトビールが飲める、完璧な休日が過ごせます。利用客はビールを片手にご満悦の様子でした。
住宅街のなかに現れる「ケグ&ランタン・ブリュワリー」は、洗練された雰囲気が目を引きます。利用客は、ウォーターフロントに住む地元客が多い様子。筆者はテイスティング・フライト(4種のビール)を注文しました。
注意したいのは値段。メニューには16ドル(2023年5月時点)と掲載されているものの、会計時には税金とサービス料が追加され22ドルの請求でした。店を利用したい方は、メニュー価格と会計はイコールと考えない方がよさそうです。
ニューヨーク州ロングアイランドのノースフォーク、またはフィンガーレイクスから調達されたブドウのみを使用し、自社生産ですべてニューヨーク産のワインを提供してくれる「レッドフック・ワイナリー」。紹介したレッドフックの飲食店のなかで、雰囲気が最もすてきでした。ロマンティックなデートにもぴったり。ワインはグラスで11〜13ドルとお高め。
ニューヨーク州ローゼンデールにあるウィドウジェーン鉱山の純粋なミネラルウォーターを使用した「ウィドウ・ジェーン蒸留所」。アメリカ最大の出品数を誇るコンペティション「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション」で、審査員全員から金賞の評価を受けた作品に授与されるダブルゴールドを受賞した実績があります。
ウイスキーの蒸溜所では、熟成、樽詰め、ブレンド、瓶詰めが手作りで行われているそうです。金土日にはツアーが行われており、ひとり27ドルでウイスキー製造過程を見学後、テイスティングができます。
1890年創業のレッドフックで最古参のバー「サニーズ」。港湾労働者や船員のたまり場だったバーは、アーティストの隠れ家となり、口コミの評判を聞きつけて人々が集まりました。店名の伝説的オーナー、サニー・バルツァーノ氏は、バーの上の部屋で誕生し、2016年に逝去されるまでその部屋に住んでいたそうです。
港町レッドフックのキーワードは、「赤煉瓦の倉庫」、「ウォーターフロント」、「グラフィティアート」、「自由の女神の眺め」です。アクセスは、マンハッタンの摩天楼や自由の女神を眺められる、ウォーターフェリーの利用がおすすめ。飲食店は多いですが、マンハッタン並みに高価ですので、サンドイッチなどを持参してもよいでしょう。公園で自由の女神を眺めながら、潮風に吹かれてピクニックで過ごすのもすてきな思い出になります。夕陽の美しさも必見ですよ!
TEXT:ニューヨーク特派員 青山 沙羅
PHOTO: Hideyuki Tatebayashi
*Do not use images without permission.
監修:地球の歩き方
※掲載情報は2023年6月時点の情報です。価格や商品構成などは変更になる場合がありますので、必ず事前に公式サイトで最新情報をご確認ください。
※2023年6月時点で、1ドル:約140円です。