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新型コロナウルスの感染拡大も落ち着き、今年のゴールデンウィークでは多くの日本人が海外を旅行しました。中東でもUAEやカタールなどは治安が良く、エミレーツ、エディハド、カタール航空は中東御三家とも言われ、成田や羽田など日本にも就航しています。特に、ドバイを中核とするUAEは近年旅行先で日本人にも人気で、駐在する人も多くいます。では、実際のところUAEの治安はどうなっているのでしょう。
まず、中東といえばテロが怖いですが、近年、UAE国内においてテロ事件の発生は確認されていません。以前、在UAE米国大使館とドバイ米総領事館は2020年2月、UAE国内で米国人を狙ったテロや誘拐などの恐れがあるとして注意喚起を発出しましたが、それ以外大きな注意喚起はありません。イスラム国やアルカイダなどの動きもほとんどありません。また、2022年1月には、イエメンを拠点とする武装勢力フーシ派が発射したミサイルがUAEの首都アブダビに到達し、着弾したミサイルによって3人が死亡しましたが、今年になってフーシ派と対立してきたサウジアラビアやUAEとの間で和解に向けた動きが本格的に始まっており、フーシ派によるミサイルリスクは幸いにもなくなってきています。
UAE政府は犯罪統計を公表していませんが、国内の治安は比較的良好で、日本と同程度と考えていいと思います。しかし、現地に土地勘がない外国人旅行者を狙った性的暴行や痴漢などの性犯罪、スリや置き引きなどの窃盗が比較的多く見られます。人が集まるショッピングモールやバスステーションではひったくりが、高級エリアなどでは空き巣事件が発生していますが、こういった犯罪は人口の8割を占めるとも言われる南アジアやアフリから出身の外国人労働者によるものと見られます。ロシアによるウクライナ侵攻により世界各国で物価が上昇するなか、今後はUAEでも外国人労働者の間で経済的不満が拡大し、それによって治安が悪化する可能性もあります。
また、UAEは当然ながらイスラム教国ですので、王族批判や女装、結婚関係にない男女間での性的関係など日本で犯罪となっていないものが犯罪と規定されているので、現地の刑法には注意する必要があります。犯罪と思っていない行為が法に触れてしまうケースも考えられます。最近ではSNS上で人を中傷、侮蔑する投稿をして逮捕されるケースが増えているようです。具体的には公共のモラルに反する内容が摘発対象となり、ハラスメントや侮辱、脅迫や恐喝などが該当するようです。
UAEの治安が良いのは事実ですが、多くの渡航者は現地の土地勘はないので、以下のような注意を心がけるべきです。
冒頭でも示したように、今日UAEを取り巻く地政学リスクはどちらかというと改善傾向にあり、差し迫った脅威があるわけではありません。しかし、世界的な物価高が国内の治安に今後影響を及ぼし始める可能性もあり、引き続き治安情勢には注意して頂きたいです。