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世界中から愛される老舗高級ブランド「ティファニー」。日本にも数多くの支店がありますが、本店はニューヨークにあります。2019年2月から4年にわたる長期間の改装工事が終了したニューヨーク本店は、2023年4月末にリニューアルオープン。ニューヨークの名所でありながら、いまひとつ時代遅れで地味な印象があった本店は、仏高級ブランドLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)の買収により、どのように生まれ変わるのか注目されていました。ティファニーのイメージカラー「ティファニーブルー」から「ティファニーイエロー(ティファニー・ダイヤモンドのカナリアイエロー)」にブランドカラーを変更するとの噂もあり、筆者も気になっていました。そこで、注目のティファニーのニューヨーク本店がどのように変わったのか、取材してきました!
目次
ティファニーといえば、映画通ならオードリー・ヘップバーン主演の『ティファニーで朝食を』を、ファッション通ならスターリングシルバーのアクセサリーやダイヤモンドの指輪を思い浮かべるのではないでしょうか。「愛」を表すハートモチーフや「永遠」を誓うインフィニティなどティファニーのアクセサリーは、シンプルなデザインで主張しすぎず上品、年齢もファッションも選ばず似合うことから、世界中から絶大な人気があります。
そんなティファニーの創業から現在までの年表を振り返ってみましょう。
映画『ティファニーで朝食を』の主人公ホリー・ゴライトリーは、ニューヨークで心のままに生きる女性で、こよなくティファニーを愛しています。クロワッサンをかじりながら店前からウインドーを眺めるオープニングシーン、好きになりかけている男性を店に連れてくるシーンなど、店内外ともティファニーが登場しました。
彼女はティファニーについて、こう言っています。
「赤信号が点滅している気分になった時は、イエローキャブに飛び乗って、ティファニーに行くの。すぐに気持ちが落ち着くわ。ここは静寂さとプライドが満ちている。嫌なことは、何ひとつ起こらないのよ。(意訳:青山沙羅)」
2023年4月下旬、ティファニー本店は4年ぶりにリニューアルオープンしました。名称も「ティファニー・ランドマーク(Tiffany Landmark)」に変更し、人々が訪れやすい観光名所としてアピールしています。
リニューアルオープン後の各階は、下記の通りです。
ドアマンがいる回転扉を押して入ると、店内にマンハッタンの摩天楼の景色が広がります。ニューヨーク色を強めた、新生ティファニーにテンションが上がります。摩天楼はビデオウオールで映し出されるもので、オフにすると鏡になるそうですよ。
高級店でありながら、カジュアルな服装の客が多いので、服装に気後れせず入りやすいのが嬉しいです。
ティファニーのダイヤモンドが入ったブルーボックスを捧げてプロポーズされるのは、女性の夢かもしれませんね。業界最高水準のダイヤモンドはかなり高価ですが、高品質が保証されており、サイズ直しや修理のアフターケア(有償)も整っているので安心。クリーニングは無償で利用可能です。
3階にある素敵なシャンデリアは、ダイヤモンドを連想させますが、実はアルミホイルでできています。驚きですね。ニューヨークで活躍したアーティスト、アンディー・ウォーホール(故人)の「ファクトリー」(同氏の作業場兼社交場で、壁や天井がアルミホイルで覆われていた)へのオマージュだそうです。
エレベーターや階段でアクセスできますが、一般客はほぼいなかった高級ジュエリーコレクションの4階。
ニューヨークの夜空をイメージしたシャンデリアは必見。『ティファニーで朝食を』のテーマ曲「ムーン・リバー」のイメージを呼び起こします。
各フロアのなかで、最もにぎわっていたのがスターリングシルバー・ジュエリーのコーナー。ショーケース内には、ティファニーの顔であるオープンハートやリターントウティファニー、インフィニティ、ティアドロップなどのネックレスやブレスレットが並びます。
リニューアルオープンの目玉のひとつである、『ティファニーで朝食を』展示コーナー。ティファニーを世界的に有名にした映画『ティファニーで朝食を』のオープニングシーンのフィルム、およびオードリー・ヘップバーンが着ていたジバンシィのブラックドレスのレプリカが展示されています。
観光客が憧れる映画のイメージを、ティファニーの店内で現実に確認できるのが嬉しいですね。観光名所にしてしまおうと潔く腹をくくった、新生ティファニーの集客作戦です。
6階も人気の階で、テーブルコレクション(食器など)と「ザ・ブルー・ボックス・カフェ」があります。
テーブルコレクション
目の保養になるテーブルコレクションのコーナー。セットになった食器は持って帰れなくても、紙コップ風のティファニー・コーヒーカップやエスプレッソカップなどは、比較的手頃な値段でおみやげによさそうです。
オードリー・ヘップバーン気分で「ザ・ブルー・ボックス・カフェ」
多くの女性が憧れるティファニーでの朝食。ニューヨークを訪れたら、叶えたい夢のひとつかもしれませんね。ティファニーブルーを基調としたザ・ブルー・ボックス・カフェで、夢が叶います。
カフェメニュー
天井から降ってくるような、ティファニーの箱のオブジェが印象的なザ・ブルー・ボックス・カフェ。世界中にレストランを持つ、セレブリティー・シェフのダニエル・ブールー氏がプロデュースしていることも話題に。オードリー・ヘップバーン気分で、ティファニーで朝食を召し上がれ。おもなメニューは下記のとおり。
ザ・ブルーボックス・カフェ
詳細をみる生まれ変わったティファニー本店の見どころを、5つのポイントにまとめてみました。来店予定がある方は予習として、予定のない方でもこれを読めば訪れることなくティファニー通になれますよ。
ティファニーを世界的に有名にした、映画『ティファニーで朝食を』の映像およびオープニングシーンで着用していたブラックドレス(レプリカ)が展示されています。観光客が漠然と抱いていた映画のイメージを、ティファニーの店内で現実に確認できるのが嬉しいですね。
ニューヨーク5番街のティファニー本店のリニューアルオープンを記念して、新デザインによる 「ティファニー・ダイヤモンド」が展示されています。ティファニー・ダイヤモンドは1877年に南アフリカで発見された、世界最大級の287.42カラット。「ティファニー・ダイヤモンド」の新デザインは、過去にセッティングされた小鳥のブローチから着想を得て制作され、ブローチとペンダントの両方で楽しめるハイジュエリーに姿を変えました。
「ティファニー ・ダイヤモンド」は時を経てデザインを変えていますが、着用した女性は史上4人のみ。
新しいデザインの「ティファニー・ダイヤモンド」は、誰が身に着けるのか気になりますね。店内スタッフに確認したところ、「ティファニー・ダイヤモンド」は非売品だそうです。
1974年よりティファニーに加わり、40年に渡ってデザインを手掛けたエルサ・ペレッティ(2021年逝去)による、3階から8階へ美しい曲線を描く階段。同氏は、流行となったオープンハートやビーンなど、ティファニーの時代を作り上げたデザイナーでした。
ニューヨークのアッパー・イーストにある、らせん状のスロープが特徴のグッゲンハイム美術館をイメージするのは、筆者だけではないかもしれません。
新生ティファニーは、美術館のごとく、アートを身近で見ることができます。ニューヨークで活躍したアーティストを中心に、イメージカラーの「ティファニーブルー」で統一されたアートです。
一部で噂だったブランドカラーは「ティファニーイエロー(ティファニー・ダイヤモンドのカナリアイエロー)」になることなく、「ティファニーブルー」は健在です。やっぱりティファニーといえば、この色ですよね。筆者も大好きな色です。
筆者のテンションが上がった「ブルーボックス・カフェ」(入り口から覗いただけ)。女性客が多いためか、スタッフはほぼ男性で、イケメン率が高いです。「値段が高すぎる」「約100ドルのアフタヌーンティーが、たったの1段だけ!」とイマイチな評判のカフェですが、これだけのイケメンに会えるなら、価値があるかも?
ティファニーの商品には値段は付いていません。ティファニー通でない筆者は「いったいいくらするの?」と思いました。商品を手に取り隅々を見てみましたが(苦笑)、価格札は付いていません。店内スタッフはどなたも感じがよく、聞きやすい雰囲気ではありますが、買い物が目的ではないので、結局価格を聞くことはありませんでした。
そこで、目についたものを公式サイトで調べて見ましたので、参考にしてください。
リターントウティファニー・ハートタグ・ビーズネックレス(写真下)475ドル
リターントウティファニー・ブルーダブル・ハートタグ・ペンダント(写真上)550ドル
*価格は2023年7月現在のものであり、変更する可能性があります。本体価格のほか、税金などが加算されます。
安いと感じるか、高いと感じるかは個人によると思いますが、ダイヤモンドの婚約指輪はさすがに高価です。クリーニングやサイズ直し、修理などのアフターケアは生涯利用できる(有償)ので、一生ものと考えれば価値のある買い物かと思います。
大事な記念日の証として購入する利用客も多く、シルバーのチャーム売り場では子供(女の子、3歳くらい)に、チャームを選んでいる富裕層の中国系家族を見かけました。子供の誕生日プレゼントに毎年ブレスレットのチャームを増やすのではないかと思われ、お母さんの指に輝くダイヤモンドの指輪もティファニー製のようでした。
筆者が「高いな〜」とびっくりしたのは、1階の売り場でもれ聞こえたブレスレットの値段。チラッと見ただけですが、ダイヤモンドでもゴールドでもないバングル(留め金なしのはめるタイプ)のブレスレットが4200ドル! でも、公式サイトで確認したら、ブレスレットの値段では安い方でした……。
というように、庶民(筆者)が富裕層の生活レベルの高さを実感する場所でもありました。
ティファニー ニューヨーク 本店
詳細をみるニューヨーク旅行にいらしたら、新装オープンして観光名所として訪れても楽しいティファニーへ、ぜひ足を運んでください。ニューヨークで、お待ちしています!
TEXT:ニューヨーク特派員 青山 沙羅
PHOTO: Hideyuki Tatebayashi
*Do not use images without permission.
監修:地球の歩き方
※店内撮影については、店舗スタッフの許可を得て撮影しています。
※掲載情報は2023年7月時点の情報です。店舗へ訪問の際は、事前に必ず公式サイトなどで最新情報をご確認ください。