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ニューヨークでは、世界で最も多く映画やドラマが撮影されていると言われます。筆者もニューヨークが舞台の映画を見て、実際にロケ地を訪れてはワクワクしました。あなたも憧れの映画のロケ地を巡って、映画の感動を実体験してみませんか。今回は筆者のお気に入りロケ地を7つ選んでみました。
目次
1837年文房具雑貨店として創業した「ティファニー」は、上品なアクセサリーが人気の老舗高級ブランド。日本をはじめ世界に326店舗(2019年現在 Statistaによる)展開していますが、ニューヨーク5番街が本店です。
ティファニーニューヨーク本店では、1961年映画『ティファニーで朝食を』(原題:Breakfast at Tiffany's、主演:オードリー・ヘプバーン)が撮影されました。主人公のホリー・ゴライトリーの乗ったイエローキャブが、早朝の5番街ティファニー前に停車するところから映画は始まります。
パーティ帰りなのかジバンシイのブラックドレスを着て、店のショーウインドーをのぞきながら、クロワッサンとコーヒーの朝食を取る、魅力的なオープニングシーンは世界的に有名になりました。ホリー・ゴライトリーは、ニューヨークで心のままに生きる女性で、こよなくティファニーを愛しているのです。
作曲家ヘンリー・マンシーニは、映画『ティファニーで朝食を』の主題歌として「ムーン・リバー」を作曲しました。
自由に生きながらも満たされぬ気持ちを抱える、主人公ホリー・ゴライトリー(オードリー・ヘプバーン)が、窓辺でつぶやくように歌った「ムーン・リバー」。第34回 アカデミー賞で歌曲賞ほか2部門を受賞、アンディ・ウィリアムスやフランク・シナトラもカバーした世に残る名曲です。
『ティファニーで朝食を』名セリフ(歌詞) “Oh, dream maker, you heart breaker Wherever you're goin', I'm goin' your way” 私を夢心地にさせるのも、その夢を砕くのもあなただけど、 あなたが行くところなら、どこへでもついていくわ……(意訳:青山沙羅)。
Breakfast at Tiffany’s Movie CLIP – Moon River (1961)
ティファニー ニューヨーク 本店
詳細をみるグランド・セントラル・ターミナルは、ニューヨーク郊外とマンハッタンをつなぐメトロノース鉄道、ニューヨーク市内を網羅する地下鉄(4、5、6、7、Sの地下鉄路線)やバスなど米国内最大級の交通拠点。大理石がふんだんに使われたボザール様式の建築物には、星座の描かれた天井、美しいアーチを描くガラス窓などがあり、世界で最も美しい駅のひとつといわれます。
1984年映画『恋におちて』(原題:Falling in Love)はニューヨーク郊外住宅地(北方のウエストチェスター、閑静な高級住宅地)間の通勤電車が舞台になる、フランク(ロバート・デ・ニーロ)とモリー(メリル・ストリープ)の大人の恋物語でした。
グランド・セントラル・ターミナルはほかに以下の作品でも登場しています。
参照
『恋におちて』名セリフ "I think about him every day. Last thought before I fall asleep and first thought when I wake up. " 毎日彼のことを想っているの。眠りに落ちる寸前まで彼を想い、目覚めた途端彼を恋しく想うの(意訳:青山沙羅)
Falling in Love (1984) IMDb
グランド・セントラル・ターミナル(グランドセントラル駅)
詳細をみるリンカーン・センターはマンハッタンのアッパーウエストに位置し、オペラやバレエの劇場、クラシックやジャズのコンサートホール、名門ジュリアード音楽院、図書館など11の芸術団体の施設が集まった世界有数の舞台芸術施設。ニューヨークの芸術の最高峰であり、華やかな社交場でもあります。レブソン噴水は表現芸術の象徴として、リンカーン・センターの中央に位置します。
兄の婚約者ロレッタ(シェール)に恋してしまうロニー(ニコラス・ケイジ)の恋愛を描く、1987年映画『月の輝く夜に』(原題:Moonstruck)。オペラ観劇のためにリンカーン・センターのレブソン噴水前で待ち合わせ、ドレスアップして現れた彼女の美しさに目を奪われるシーンは、有名かつロマンティックな名場面。ニコラス・ケイジのような男性から思い焦がれる目つきで見られたら、女性冥利に尽きるかも。シェールはこの作品でアカデミー賞主演女優賞を受賞。
リンカーン・センターのレブソン噴水はほかにも以下の作品で登場します。
参照
『月の輝く夜に』名セリフ ” I love two things. I love you, and I love the Opera. If I can have the two things that I love together for one night, I will be satisfied to give up the rest of my life.” 僕が愛するものが ふたつある。君とオペラだ。もし両方が僕のものになる一夜があれば、残りの人生には何も望まない(意訳:青山沙羅)
MOONSTRUCK IMSDb
リンカーン・センター
詳細をみるセントラルパークのザ・モールは、セントラルパークの中央66丁目から72丁目に続く並木道。映画やドラマでよく登場するため知名度が高く、美しい紅葉や雪の日は多くの人が訪れます。
2000年の映画『オータム・イン・ニューヨーク』(原題:Autumn in New York)は、親子ほど年が離れたウィル(リチャード・ギア)とシャーロット(ウィノナ・ライダー)の恋愛映画で深い内容はないものの、秋のニューヨークが美しく描かれていました。映画の恋人同士が秋色のセントラルパークを歩くのを見て、「私も同じ場所を歩いてみたい」と思った方も多かったはず。
セントラルパークのザ・モールではほかに以下の作品で登場しています。
秋のニューヨークにおける、最強のデートコースといえるでしょう。写真を撮りたい方は、人が少なく落ち葉が踏まれていない朝がおすすめ。
『オータム・イン・ニューヨーク』名セリフ Will : ”You think I'm too old for you?” Charlotte : ”Oh, no… I collect antiques, or I aspire to.” ウィル「僕では君に年寄りすぎるだろうか?」 シャーロット「そうでもないわ、私アンティークが趣味なの」(意訳:青山沙羅)
Autumn in New York (2000) IMDb
セントラルパーク
詳細をみるロウアー・イースト・サイドにある1888年創業「カッツ・デリカテッセン」は、ニューヨークで最も有名なサンドイッチを売る老舗デリ。各国のニューヨークガイドブックに載っているのか、旅行者の多くがこの店を訪れます。
1989年の映画『恋人たちの予感』(原題:When Harry Met Sally…)では、恋人未満のサリー(メグ・ライアン)とハリー(ビリー・クリスタル)が訪れました。大衆食堂的なイメージのカッツ・デリカテッセンは、ロマンティックな雰囲気はまったくありません。デート用の気取った店ではなく、気のおけない相手とおいしいものを食べるのに向いた店なのです。そして映画のように、恋愛対象外の友人を真剣な相手に変化させてしまう魔法を持つ店かもしれません。実は筆者も、長い付き合いの友人が「うまいものを食おう」と連れてきてくれた店で、その数年後友人は配偶者になりました。
ちなみに『恋人たちの予感』のシーンで、ハリーはパストラミ・サンドイッチ、サリーはターキー(七面鳥)のサンドイッチを食べています。映画のファンの方は、同じメニューを頼んでもいいかもしれませんね。
参照
『恋人たちの予感』名セリフ ”And I love that you’re the last person I want to talk to before I go to sleep at night” 1日の終わりに話したい相手は君なんだ(意訳:青山沙羅)
When Harry Met Sally… (1989) IMDb
カッツ・デリカテッセン
詳細をみるニューヨークは居住エリアによって、生活レベルの予想がつく都市です。マンハッタン住まいなら標準以上、クイーンズやブルックリンなら一般庶民というのがおおむねですが、もちろんそれぞれ例外もあります。
スタテンアイランドは、通勤や通学で島外から出る交通手段が車かフェリーに限られ、ニューヨーク市の主要交通網である地下鉄がつながっていません。マンハッタンへのアクセスの悪さから、ニューヨーク市の5つの行政区の中では、家賃は比較的安く、ブルーカラー(事務職以外の仕事)の白人が多く住むといわれます。
1988年の映画『ワーキング・ガール』(原題:Working Girl)では、マンハッタンのオフィスで働くテス(メラニー・グリフィス)が、スタテンアイランドで恋人と同棲中。派手な髪型と化粧の外見とは裏腹に、夜学に通いキャリアアップの野望を抱く上昇志向の会社員。互いに求めるものが違う恋人(彼女の誕生日プレゼントに下着をくれるセンス)や、代わり映えのしない仕事(と上司)の現状から、自らのパワーで人生を切り拓いていくストーリー。ラストシーンは求めるものを目指していけば人生はおもしろくなると信じさせてくれ、胸がスカッとします。オープニングに流れる曲も秀逸で、何度も見たくなる大好きな映画です。
テスの同僚(ジョーン・キューザック)が、彼女の秘書のふりをしてくれ、来客(ハリソン・フォード)に飲み物がいるか尋ねるシーンがおもしろくて印象的。アメリカ人は来客に対しても随分フランクなのねと感じるシーンです。ちなみにニューヨークの女性会社員は、現在でも『ワーキング・ガール』のようにスニーカー(あるいはぺったんこな靴やサンダル)で通勤している女性がほとんど。オフィスでヒールの靴に履き替えています。地下鉄の上り下り、道路の舗装状態の悪さから、ヒールで通勤するのは危険だからです。
『ワーキング・ガール』名セリフ "Can I get you anything? Coffee? Tea? Me?" 何かお持ちしましょうか。コーヒーか紅茶、それとも私がいいかしら?(意訳:青山沙羅)
Working Girl (1988) IMDb
スタテンアイランド
詳細をみるリバーサイド・パークはマンハッタンの最西端の59丁目から155丁目までハドソン川沿いに細長く伸び、川向こうにニュージャージーを望む公園。近くのセントラルパークに比べると旅行客は少なく、アッパーウエストの住民が犬を散歩させたり、子供を遊ばせたりして、のんびりと過ごしています。
1998年映画『ユー・ガット・メール』(原題:You've Got Mail)では、オンラインのメル友だったキャスリーン(メグ・ライアン)とジョー(トム・ハンクス)がついに顔をあわせるラストシーンが91丁目花壇で撮影されました。やっと会えたふたりが実は……というハッピーエンドの場所として、映画ファンが訪れる人気の場所になりました。
映画撮影用には、プロが手を加えて花をかなり増やしたそうで、実際の花壇は映画よりも雑然としています(笑)。花壇に近いリバーサイド・パークの90〜96丁目のあたりは、4月中旬頃可憐なクラブアップルツリー(リンゴの種類)の並木道が美しく、ぜひ一緒に見ることをおすすめします。
『ユー・ガット・メール』名セリフ "I wanted it to be you. I wanted it to be you so badly." あなたならいいなと思ってた。あなたであってほしかったの。(意訳:青山沙羅)
You’ve Got Mail (1998) IMDb
リバーサイド・パーク
詳細をみるまだまだ有名なニューヨーク市のロケ地がありますので、機会があれば次回ぜひ紹介したいですね。
ニューヨーク在住の筆者は、映画かドラマ撮影のロケバス(出演者の控え室になる大きなトレーラー)が停まっているのを、通りがかりに幾度となく見かけています。残念ながら、有名人だと認識したことは一度もありませんが、ニアミスしているかもしれません。トレーラー脇には出演者やスタッフ用にパンやフルーツ、飲み物が並ぶテーブルや、フード・トラック(車両内で調理して料理を提供)が用意されており、おいしそうで手を伸ばしたくなります(笑)。ニューヨーク市で映画やテレビの撮影をするには許可が必要で、使用料を支払う必要があります。
ニューヨーク旅行にいらしたら、お気に入りの映画で見た感動を実感しに、ぜひロケ地に足を運んでくださいね。映画のヒーローやヒロインの気分になれますよ。ニューヨークで、お待ちしています!
TEXT:ニューヨーク特派員 青山 沙羅
PHOTO: Hideyuki Tatebayashi
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監修:地球の歩き方
※掲載情報は2023年8月時点の情報です。各施設へ訪問の際は、事前に必ず公式サイトなどで最新情報をご確認ください。