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今年夏、台湾は日本人の海外旅行人気先で2位となりました。近年はタピオカなど台湾の食文化が日本国内にも深く浸透し、台湾へ旅行する日本人が増加しています。また日本と台湾の関係が非常に良好で、台湾には親日的な人が非常に多く、そういった事情も日本人の台湾渡航に拍車を掛けています。
今日でも、台湾情勢を巡っては緊張が続いています。昨年8月はじめ、当時のペロシ米下院議長が訪台したことがきっかけで、中国は台湾を包囲するように大規模な軍事演習を行い、台湾周辺海域に向けて複数のミサイルを発射しました、この際、中国軍が8月4日に軍事演習を行ったことにより、韓国のアシアナ航空は5日に仁川国際空港)と桃園国際空港を結ぶフライトの運航を停止し、大韓航空も5日と6日の台湾便の運航を取りやめました。それから1年が経過し、それ以上の軍事的緊張は現在までに見られませんが、中国軍機が事実上の境界線である中台中間線を超え、台湾の防空識別圏に進入することは断続的に発生しています。台湾社会では女性が軍事訓練に参加し、一般市民が退避訓練を強化するなど、有事を見据えた動きが進んでいます。日本企業の間でもいつ台湾から社員やその帯同家族を避難させるべきかを検討する企業も増えているようです。
今後の台湾情勢でポイントになるのは、来年1月の台湾総統選挙です。今日、台湾への武力侵攻を辞さないか構えを貫く習政権は、この行方を注視しています。仮に1月の選挙の結果、中国との関係を重視する指導者が誕生すれば、台湾有事を巡るリスクはなくなり、日本人の台湾渡航でリスクを考える必要はなくなるでしょう。反対に、今の蔡英文政権の政策や考えを継承する総統が誕生すれば、習政権の姿勢にもよりますが、台湾有事を巡るリスクはさらに高まることになるでしょう。渡航リスクの視点で言えば、今年台湾へ渡航する上で旅行者が有事に巻き込まれることはないでしょう。しかし、来年1月以降は先行きが読めません。台湾の総統任期は1期4年ですので、2024年からの4年間は極めてリスクが高くなる恐れが地政学的に考えられます。もし、台湾を旅行したい人がいれば、年内に行っておく方がいいでしょう。今後の動向が懸念されます。