初心者でも怖くない！NY在住ライターが取材したルーフトップバー3選と攻略法

夜の帳が下りると、ニューヨークは昼とは別の顔を見せます。マンハッタンの摩天楼はゴージャスにきらめき、その華やかさに旅人は一瞬で心奪われるでしょう。早く眠ってしまうには惜しいニューヨークの夜、ちょっとドレスアップしてルーフトップバーへ出かけてみませんか？憧れのニューヨークのルーフトップバーですが、「どこにあるの？」「どんな服装で？」「初めてだから不安」という方に向けて、ニューヨーク市在住の筆者がルーフトップバーを取材してきました。ぜひ参考にしてみてください。

せっかくルーフトップバーに行くのなら、マンハッタンの摩天楼がバッチリ望めるところがいいですよね。摩天楼を代表するエンパイア・ステート・ビルディングが見えるルーフトップバーであれば最高。

情報収集した結果、エンパイア・ステート・ビルディングに最も近いといわれている「クラウド・ソーシャル・ルーフトップバー」へ行ってみました。

マンハッタンのコリアンタウン（韓国人街）は32丁目を中心に広がってるので、34丁目にあるエンパイア・ステート・ビルディングはすぐ近くです。コリアンタウンにある、小規模なホテルの屋上にあるのが「クラウド・ソーシャル・ルーフトップバー」。場所は32丁目の5番街と6番街にあります。

小さなホテルなので、見逃しやすいのですが、隣は「パリス・バゲット」というパン屋があり、通りを挟んで向かい側に、韓国の牛骨スープのソルロンタンで有名な「ガンミオク」（2階）、人気の韓国料理「ファイブセンス」（1階）があります。

旅行客向けというよりは、住居用のような生活感のあるホテル（Nyma Hotel）の入口から小さなエレベーターに乗ると、ルーフトップバーに着きました。

筆者がこのルーフトップバーを選んだのは、エンパイア・ステート・ビューのほかに、ルーフトップバーでは珍しく「ハッピーアワー」があるからでした。この店のハッピーアワーは日〜水曜日で、休みの日曜日にハッピーアワーがあるのは嬉しいものです。

事前に情報を得ていたものの、エレベーターが17階に着くまで「この小さなホテルのルーフトップバーって、どんなもの？」と不安でした。

バーエリアに着いてみると、きちんとしたバーで安心。今回の取材時（2023年8月中旬の日曜日、16:00過ぎ）は、店内には2組いるだけでガラガラでした。

入口にいたちょっと強面のフロント（セキュリティ）はID（身分証明書）をチェックすることもなくスルーでしたが、日本人は若く見えるので、パスポートなどの身分証明書を必ず持参してくださいね。アメリカでは飲酒は21歳以上からで、アルコールを提供する施設ではIDを確認する義務があるからです。

フロントが席に案内してくれたものの、筆者はどこにエンパイアが見えるのか？とあたりを見回しました。始めに案内された席は涼しくて快適なものの、エンパイアは見えません。

エンパイアを求めてウロウロした挙げ句、バーの中央席の上空にエンパイア・ステート・ビルディングを発見。

ビルに設置してある水道タンクがちょっと邪魔ですが、エンパイアはどーんと間近にありますね。夜にライトアップされたら、さぞや豪華なことでしょう。

お得なハッピーアワーでは、缶ビールが7ドル（税・チップ別）。隣のテーブル上を見ると、フードはサラミやチーズのプレートやチップスなど。バーには本格的なキッチンが設置されてないようで、電子レンジで温めたと思われるピザもあったものの、今回は注文しませんでした。カクテルも見たところ、失礼ながら本格的とは言い難いものだったので、ここを訪れるなら缶ビールを注文するのがよさそうです。

エンパイアを間近で見上げながら、昼ビール。ちょっと首が痛くなりますが、迫力あるビルを見ながら飲むビールは最高です。

【在住者の本音コメント】
・注文したもの：ハッピーアワーの缶ビール 7ドル
・価格：$$（やや高い） ハッピーアワー以外はやや高め
・眺め：★★★★（星4）
・オシャレ度：★★★（星3）
・グルメ：★★（星2）
・ドレスコード：カジュアル（規定なし）
・トイレ：★★★★★（星5）個室 広くて清潔

実はこの店が筆者のルーフトップバーデビューでした。入口のセキュリティもスムーズに通れ、気取った感じがないので敷居は低いです。筆者が行ったときは空いていたので、どこでも好きな席に座らせてくれたのも好印象。洗練された感じはありませんが、あっさり好感触な接客や混みすぎていないところ、トイレが清潔だったところはよかったです。

缶ビール(Montauk Summer Ale)は、酸味が強くてイマイチ。カクテルも薄そうだったので、ドリンクやフードには期待しない方がよさそう。

エンパイア・ビューは、よく見えるものの水道タンクが邪魔で、「遊びに行った友人の住むアパートの屋上で、ラッキーにもエンパイアが見える」という感じ。それでも個性的なスタッフをはじめ、ディープな感じがおもしろくて、筆者は嫌いじゃありません。スタバで高い飲み物を買うなら、ここのハッピーアワーでゆっくり座わることを選びます。

初めてルーフトップバーに行くという方、気取らない雰囲気でゆっくりと過ごしたい方にはおすすめです。

ご紹介する2軒目も、ハッピーアワーがあるルーフトップバーで探して見つけた「カステル・ルーフトップ・ラウンジ」。2023年8月31日に訪れました。入ってみると、大人好みの落ち着くインテリア。客層も雰囲気もよく、食べ物もおいしくてとても気に入りました。

ハッピーアワーのあるルーフトップバーは少ないので、タイムズスクエア近くの4つ星ホテルで見つけられたのは驚きでした。総じてルーフトップバーは季節ものであり（1年中オープンしているところもある）、摩天楼の眺めが売りなので、価格設定はかなり強気だからです。

Google mapで探しながらたどり着くと、想像以上に豪華なホテルでした。外観も内装も新しく、客層もよさそうです。ホテルはタイムズスクエアとポートオーソリティ・バスターミナルの間にあり、観光にも交通にもアクセスがいい便利な場所。ニューヨークタイムズ本社ビルが向かいにあるせいか、ホテル前の通りについては雰囲気が悪くありません。

エレベーターで21階に降りると、予約確認係の女性がいましたが、筆者たちはID（身分証明書）を求められることもなくするりと店内に入れました（基本的には求められますので、行かれる方は必ずパスポートなどIDを持参ください）。

大人っぽくて、落ち着いたインテリアにテンションが上がります！ 素敵ですね～。

バーカウンターを中心にした屋内席の窓からは、エンパイア・ステート・ビルディングが見えます。筆者たちが案内された屋外席からは、ミッドタウンの高層ビルが間近に。利用客はホテルの滞在者が多いようで、皆景色を楽しみながら、カクテルやビールを飲んでゆっくりくつろいでいます。

こちらではハッピーアワー価格のビールを頼みました。冷えたトールグラスに入って、１杯6ドル（税・チップ別）はマンハッタンではかなりお値打ち。ハッピーアワーでもきちんとグラスで出してくれるところも嬉しいですね。

マルガリータやモスコミュールなどハッピーアワーのカクテルは12ドル（税・チップ別）。カクテルはマンハッタンでは20ドル以上が標準価格なので、かなりお得。ほかのテーブル席のカクテルやフードをチェックすると、本格的できちんとしているので、安心して頼めそうですよ。

筆者たちはクリスピー・シーソルト・ポテトのアイオリソースがけ（Crispy Sea Salt Potatoes, Smoked Pimentón, Aioli）を注文しました。こちらはハッピーアワー価格ではないですが、ルーフトップ・バーにしては価格設定は低め。しかも手をかけて作っているのがわかるおつまみで、アツアツでおいしい！

このカステル・ルーフトップ・ラウンジ、アタリでした。SNSの映えを意識しすぎない大人のインテリアとくつろげる雰囲気がとてもよかったです。マンハッタンにしては良心的な価格なので、次回は夜に訪れてみようと予定しています。

【在住者の本音コメント】
・注文したもの：
ハッピーアワーのビール 6ドル
アイオリソースをかけたクリスピー・シーソルト・ポテト 11ドル
・価格：$$（やや高い） ハッピーアワー以外はやや高め
・眺め：★★★★（星4）
・オシャレ度：★★★★★（星5）
・グルメ：★★★★★（星5）
・ドレスコード：ドレスコードはないが、ホテル内での外食にふさわしい装いで。
※参考：よくある質問（英語）
・トイレ：★★★★★（星5）個室 広くて清潔

個人的に、今回取材した3店のなかで一番好みのバーでした。ニューヨークでは、多くの店がビアガーデン的な急ごしらえのインテリアが多いなか（部分的にSNS映えスポットは設置している）、こちらはインテリアにお金をかけており、ゴージャス。落ち着くインテリアで、ワイワイするよりもドリンクを楽しみながらゆったりくつろぐのに向いています。スタッフも洗練された接客で、客層もいいです。

冷えたグラスやフードの盛り付け・味にも気配りが感じられ、電子レンジで温めたものでないのがわかります。ハッピーアワーもお値打ちで、本当は誰にも教えたくない穴場。

眺めは、ミッドタウンに所在するため、高層ビルに囲まれており、摩天楼の全景は見られません。それでも都会の雰囲気を感じることはできます。

３軒目は、ヘラルドスクエア34丁目にあるデパート、メイシーズ(Macy's)のすぐそばにある「モナーク・ルーフトップ」。ヒルトン系のホテル「ヒルトン・ガーデンイン」の屋上階にあるルーフトップバーです。

2023年8月に様子を見に来たときも行列でしたが、秋になった2023年10月1週の取材当日でも行列ができていました。遮るものなしにエンパイア・ステート・ビルディングが望める絶景ビューであり、人気が高いルーフトップバーなのでしょう。

行列に並んでいる人を見ると、女性はワンピースかスーツで、バッグも通勤用とは違う勝負バッグを持っています。これまで訪れたルーフトップバーより皆がドレスアップしており、夜遊びするぞというテンションの高さが感じられました。エレベーターに乗り込む前に、セキュリティがID（写真付き身分証明書）をチェック。雰囲気はバーというよりもクラブのほうが近いかもしれません。

ぎっしり詰めこまれたエレベーターでルーフトップバーに上がると、立錐の余地もないほど超満員！

テラス席を企業のパーティーに貸し切っているようでパツパツ、さらに予約客や筆者のような飛び込み客まで入場させているのです。せめてエンパイア側の景色だけでも眺めたいところですが、貸切のテラス席に入れないようラインで仕切っているので、奥までは進めませんでした。ただ、奥まで行けなくても、ここのテラスからはエンパイアの全体像がよく見えることがわかりました。

エンパイアが望めるダウンタウン方向の一角は、企業の貸切客と予約客で超満員。6番街を挟んだ西側、メイシーズ方向の一角は目玉になるランドマークがないせいか、ややスペースがありました。ただし、混み合ったクラブのような店内で立ってドリンクを飲みたいとは思わなかったので、飲食はしませんでした（写真を撮っただけ）。

こちらはいつもかなり混み合っていることもあり、ハッピーアワー（現在は月曜日と金曜日のみ）にまた来てみて、座れたらラッキーかなというところ。DJが盛り上がる深夜にはさらに混んでいそうです。

【在住者の本音コメント】
・注文したもの：満席だったため、オーダーなし
・価格：$$$（高い） ハッピーアワー以外は高い
・眺め：★★★★★（星5）
・オシャレ度：★★★★★（星5）
・グルメ：？（未確認）
・ドレスコード：週末はトレンディなファッション、平日はビジネスカジュアル可能
タンクトップ、Tシャツ、スニーカー、ビーチウェア（ビーチサンダルを含む）、野球帽は不可
※参考：よくある質問（英語）
・トイレ：★★（星2）個室 身動きがとれないほど狭い

一般的に想像する、派手な雰囲気のルーフトップバー。華やかな雰囲気を求める人におすすめです。眺望も訪れた3店の中でベスト！ ただし、ナイトライフを楽しみに訪れる人が多そうなので、おしゃれをしていないと浮くかもしれません。騒がしいのが苦手な人には向きません。

編集部からニューヨークのルーフトップバーを取材するよう依頼があったとき、筆者はギクリとしました。旅行者時代を含めニューヨークに関わって長く、過去にルーフトップバー記事を書いた経験もありますが、実際にはルーフトップバーに行ったことが一度もなかったからです（汗）。

メディアに頻出している有名なルーフトップ・バーの情報収集してみると、「予約必須」でありオンライン予約を見るとシーズン中は満席、口コミでは「ツーリスト・トラップ（観光客からぼったくる店）」、「フロント（セキュリティ）が意地悪で入店させてくれない」、「常連客が優遇され、一般客は肩身が狭い」、「スノッブ（気取っている）」など、尻込みしたくなるコメントを目にしました。加えて「カナダの山火事」によるニューヨークのひどい大気汚染（オレンジ色のスモッグで覆われる）、「気温が低い」、「雨」、「暑すぎる」などルーフトップに向かない天候も続き、行くのを躊躇していたのです。

しかしながら編集部に「やります」と言ってしまった手前、責任を果たさなければなりません。ルーフトップかつお手頃価格の店はないのかと、調査に乗り出しました。

調査をすすめてみると、中には「ハッピーアワー」があるルーフトップバーがあり、お手頃価格で楽しめることを発見。1軒目はドキドキでしたが、３軒目の取材ともなると「ルーフトップバーなんて慣れたものよ」のフリまで、できるようになりました（笑）。

筆者のようにルーフトップバー初心者は、混み合ってないハッピーアワータイムの利用がいいかもしれません。またルーフトップバーは夏のイメージがありますが、冬にオープンしているルーフトップバーも多いです。摩天楼の夜景は空気の澄む冬が最も美しく、店内はガラスで仕切られますので、暖かく夜景が楽しめるでしょう。各店舗の様子や最新情報は、公式SNSで確認するのがわかりやすいですよ。

今回ご紹介した3軒はハッピーアワーが設定されており、年中営業（定休日を除く）しているので、時間に融通がきく旅行者に向いているでしょう。ハッピーアワーは早い時間帯なので、日没が20:30以降の夏期は夜景が楽しめませんが、日暮れが早い晩秋〜冬期は夜景に間に合いそうです。

貸切パーティや天候によりクローズする場合もあるので、限られた旅程でどうしても行きたい店がある場合は、事前に電話かメールで確認したほうがいいでしょう。

ニューヨーク旅行の夜は、ぜひルーフトップバーで、ゴージャスな夜の街を堪能しましょう。利用客の半数は旅行客なので、臆することなく楽しんでください。ニューヨークで、お待ちしています！

TEXT：ニューヨーク特派員 青山 沙羅
PHOTO： Hideyuki Tatebayashi
*Do not use images without permission.
監修：地球の歩き方

※掲載情報は2023年10月時点の情報です。商業施設情報やハッピーアワー、価格などは変更になる場合がありますので、事前に必ず公式サイト（およびSNS）などで最新情報をご確認ください。
※2023年10月時点で、1ドル：約150円です。