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【世界最大の美しいターミナル駅】ニューヨークのグランド・セントラル・ターミナルの歴史と見どころ

青山 沙羅

青山 沙羅

アメリカ・ニューヨーク特派員

更新日
2024年2月16日
公開日
2024年2月16日
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ニューヨーク旅行でおすすめしたい名所のひとつが、「グランド・セントラル・ターミナル」。ニューヨーク郊外とマンハッタンをつなぐメトロノース鉄道、ニューヨーク市内を網羅する地下鉄やバスなど国内最大級の交通拠点です。大理石がふんだんに使われたボザール様式の駅は、単なる交通機関としての役目だけでなく、非の打ちどころがないほど美しいのです。多くの人が集まっているにも関わらず、ざわめきがささやくように静かなのは、天井が高いせいかもしれません。大理石の階段からコンコース(中央ホール)における人の流れを眺めたり、天井の星座を見上げたりしていると、不思議と心が鎮まっていきます。ちょっと疲れちゃったなというときに、訪れたくなる場所なのです。今回はそんなグランド・セントラル・ターミナルについて、歴史や見どころを紹介します。

世界最大のプラットフォーム数がある駅

©︎HideyukiTatebayashi 利用客数が、連日75万人と言われる「グランド・セントラル・ターミナル」

ニューヨーク市のグランド・セントラル・ターミナル(グランドセントラル駅)は、プラットフォーム数が世界最大で、ギネス世界記録に認定されています。1869年に鉄道王でありアメリカ史に残る三大富豪のひとりコーネリアス・ヴァンダービルト氏が前身であるグランド・セントラル・デポを建設、1913年にグランド・セントラル・ターミナルが完成しました。地下2階に44のプラットフォームと67の線路があり、ニューヨーク市マンハッタンとニューヨーク州北部のウェストチェスターやコネチカット州のニューヘブンなどを繋いでいます。利用客数は、連日75万人といわれています。

現在、地下鉄では4、5、6、7、Sの路線がグランド・セントラル・ターミナルに乗り入れています。

©︎HideyukiTatebayashi 44のプラットフォームがあり、ギネス世界記録に認定されている。ニューヨーク州北部へ帰宅を急ぐ利用客

グランド・セントラル・ターミナル110年の歴史

©︎HideyukiTatebayashi 1966年再開発による取り壊し計画が撤回され、1967年に歴史建造物に指定
  • 1869年 鉄道王でありアメリカ史に残る三大富豪のひとりコーネリアス・ヴァンダービルト氏により、グランド・セントラル・ターミナルの前身であるグランド・セントラル・デポが建設
  • 1913年 グランド・セントラル・ターミナルが完成
  • 1942年 地下200メートルに大統領専用の地下ターミナルが完成。ウォルドルフ・アストリアホテルの地下に直通する、フランクリン・D・ルーズべルト大統領の脱出用列車(専用線)の秘密のプラットホーム
  • 1960年代 ホームレスの巣窟になり、治安が悪化
  • 1966年 再開発計画による取り壊しが公表。ジャクリーン・ケネディ・オナシス氏の反対運動等により計画は撤回
  • 1967年 歴史建造物に指定
  • 1998年 1億6000万ドルの費用をかけた大改装工事実施
  • 2011年 駅構内にApple Storeがオープン
  • 2023年 ロングアイランド鉄道(LIRR)が新駅「グランド・セントラル・マディソン」に乗り入れ開始。草間彌生、キキ・スミス氏の壁画が見もの

多くの映画の舞台になった、旅情あふれる駅

©︎HideyukiTatebayashi 年末のホリデーシーズンには、クリスマスリースが飾られて美しい

グランド・セントラル・ターミナルは、『恋に落ちて』や『ゴシップガール』など、多くの映画やドラマの舞台になっています。どこを切り取っても絵になるので、ただたたずむだけで自分が物語の主人公になったように感じられます。

グランド・セントラル・ターミナルが舞台になった映画・ドラマ

  • 1984年『恋に落ちて』同駅発着の通勤電車が舞台
  • 1998年『アルマゲドン』では隕石に破壊された駅
  • 2002年『メン・イン・ブラック2』では宇宙人が暮らしているロッカーがある駅(実際には駅にコインロッカーは設置されていません)
  • 2007年ドラマ『ゴシップガール』では第1話で主人公のセリーナがニューヨークに戻ってきた場所
  • 2012年『アベンジャーズ』ではチタウリ軍団とのバトルが行なわれたエリア

ニューヨークの映画のロケ地については、以下の記事でまとめていますので参考にしてみてください。憧れのロケ地を歩けば、映画の主人公の気分になれますよ。

グランド・セントラル・ターミナルの見どころ4選

見逃してはもったいない、グランド・セントラル・ターミナルの見どころを4つ紹介します。予備知識があれば、さらに楽しめますよ。

1.12星座と2500個の星が煌めく、セルリアンブルーの天井を見上げよう

©︎HideyukiTatebayashi プラネタリウムのように、星座が描かれたセルリアンブルーの天井

プラネタリウムを思わせるメイン・コンコース(中央ホール)のセルリアンブルーの天井には、12星座と2500個の星が金箔で描かれ、59個の星はLEDライトで輝いています。その美しさは眺めていて飽きることがありません。この星座は神様が上から見下ろした視点を描いているかのように、反転になっています。

2.誤差は「200億年に1秒以内」という、驚くべき正確な時計がある案内所

©︎HideyukiTatebayashi コンコース(ホール)中央にある、待ち合わせ場所で有名な時計のある案内所

グランド・セントラル・ターミナルで待ち合わせるなら、時計がある中央の案内所。はじめて訪れる場合でもすぐわかります。

案内所が掲げる時計の正確さは驚くべきもので、誤差は「200億年に1秒以内」。ワシントンDCにある、アメリカ海軍天文台の原子時計に合わせられています。この時計で時間を確認していれば、電車に乗り遅れることはないですね。時計はオパール製で、2000万ドル(約28億2000万円)の価値があるそうですよ。

3.直径約4m!世界最大のティファニー社製の時計

©︎HideyukiTatebayashi 42丁目駅玄関口の上方には、世界最大のティファニー社製のステンドグラス時計がそびえる

42丁目に面した駅玄関の上方にあるステンドグラスの時計は直径約4mあり、世界最大のティファニー製時計です。時計を囲む3体の彫刻は、ローマ神話のマーキュリー、ミネルヴァ、ヘラクレスの神々。

4.プロポーズの名所「ささやきの回廊」

©istock

「グランド・セントラル・オイスター・バー」の入り口正面にあるアーチの対角にふたりで立ち、壁に向かって囁くと、まるで目の前で囁くかのように壁から相手の声が聞こえてきます。「ささやきの回廊(Whispering Gallery)」と呼ばれるニューヨーク旅行客に人気のスポットなので、誰かが試しているのを見ることができるでしょう。

プロポーズの隠れた名所で、恥ずかしがりのあなたでも、ここでなら彼女あるいは彼に気持ちを打ち明けられそうですよ。

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