- ニューヨーク
- ショップ
【NY在住者解説】ニューヨークおすすめお土産53選!日本で買えないハイセンスな雑貨まで徹底紹介
2024.12.10
キーワードで検索
グルメの街ニューヨークには、世界中から一流のスイーツが集まってきます。なかでも、軽くて持ち運びやすいチョコレートはおみやげとして不動の人気。ただし古いガイドブックやインターネットの情報を見ていると、移り変わりが早いニューヨークでは、目当ての店がなくなっていることもしばしば。ニューヨークは店舗の賃貸料が高いので、かなりの売上がないと赤字になり、やむを得ず撤退する店が多いからです。そこで今回は「有名」「大人向け」「おしゃれ」「パケ買い」としてメディアに出た有名チョコレート店について、最新状況を調べてみました。なかにはスキャンダルで閉店を余儀なくされたブランドも……。ニューヨークのおみやげ選びの参考として、お役に立てば幸いです。
目次
“ミスター・チョコレート”と呼ばれる、フランス人のセレブ・ショコラティエの名を冠した「ジャック・トレス」。
2000年にブルックリンのダンボに1号店と工場をオープンし、そのチョコレートのおいしさに人々は夢中になり、ダンボ地区人気の火付け役になるほどでした。当時筆者も、お遣い物にはデザインがかわいらしい一粒チョコレートの詰め合わせやNYコレクションを選び、自分用にはチョコチップ・クッキーを買い求めたものです。オリジナルのチョコレートアイスクリームも人気でした。全盛期にはニューヨーク市内に12店舗ありましたが、「当初の味とは変わったかも?」と感じているうちにコロナ打撃もあり、現在は2店舗に縮小。
ブルックリン店は雰囲気がありすてきですが、足を伸ばす時間のない方は、グランド・セントラル・ターミナル店へどうぞ。同社のオレンジ色のパッケージは華やかで美しく、おみやげにぴったりですよ。
製菓用のチョコレートチップ・クッキーやチョコレートも販売しているので、お菓子作りが趣味の方は、プロの味を再現してみてはいかがでしょうか?
ライラックの紫色がブランドカラーの1923年創業「ライラック・チョコレート」は、マンハッタンで最も古いチョコレートショップ。ギリシャ出身のジョージ・デメトリアス氏がフランスでチョコレート修行をしたあと、ニューヨークに移住しグリニッジビレッジのクリストファー・ストリートに店を開いたのが始まりです。
デメトリアス氏は、アーモンドバーク、バタークランチ、ヘーゼルナッツトリュフスクエア、レジェンダリーファッジなどのレシピを完成させ、当時の知識人やアーティストなど、近所のなじみ客を納得させるチョコレートを作りました。
2014年同社は、ブルックリンのサンセットパークにあるインダストリーシティにチョコレート工場を新設。施設内では、見学用の窓からチョコレート作りを見ることができます。巨大複合商業施設のインダストリーシティは、個性的なグルメやおしゃれなショップ、ジャパン・ビレッジ(日本食のフードコート、スーパーなど)があるので、ニューヨーカーにも人気のスポットです。
バッグやリップスティック、自由の女神、エンパイア・ステート・ビルディングを形どったチョコレートは、ニューヨークみやげにぴったりです。オールドファッションのアメリカ製チョコレートが好みの方に。日本のチョコレートのような滑らかさはないので、好き嫌いは分かれるかもしれません。
10年ほど前に「ブルックリン発」「ビーントゥバー」「スタイリッシュなパッケージ」で、世界中のニューヨーク旅行客の心を鷲掴みにしたチョコレートを、覚えているでしょうか。オシャレなニューヨークみやげはこれ!と日本のメディアでももてはやされた「マスト・ブラザーズ(現マスト・マーケット)」。当時、高級スーパーマーケットにも並んでおり、すてきな包装紙に包まれているにしても、チョコレートが1枚10ドルもするのに筆者は驚愕したものです。もっと驚いたのが、一般の板チョコの5倍もの値段のチョコレートが、旅行者に大ヒットしたことでした。
2007年創業(2006年製造開始のち法人化)のマスト・ブラザーズは「ビーントゥバー(カカオ豆を仕入れて板チョコレートになるまでの全製造工程を一貫して行う)」のクラフトチョコレートであることを全面に出し、「ブルックリン発」と「スタイリッシュなパッケージ」というメディア受けのよさも追い風になり、チョコレート業界でひとり勝ちの順風満帆でした。
ビジネスメディアQZ.comによると、人気がピークだったときのブルックリン・ウィリアムズバーグ店は、12月の週末だけで2万8000ドル(414万9180円※)のチョコレートを販売したというのですから、空前の人気だったのです。
2024年1月28日時点の円換算
一世を風靡したこのブランド。最近見かないけどどうなってるんだろう? とウェブ検索してみると、「ブルックリン店は閉店」、「チョコレート・スキャンダル」など、想像しなかった不吉なワードが出てきました。
2015年12月、テキサスのフードブロガー(Dallas Food)スコット・クレイグ氏が、「マスト・ブラザーズは、初期の約2年間、業務用のヴァローナ・チョコレート(クーベルチュール)を溶かして成形していた」と4部構成の告発記事を発表。
クラフトチョコレート業界における最大のタブーである、再溶解したチョコレートをビーントゥバーと偽ったことに、ニューヨークタイムズやビジネス・インサイダーなど大手メディアが「チョコレート・スキャンダル」として報道したのです。同社がメディアや一般大衆をだましていたと非難が殺到、人気は急落し売上は激減しました。ブルックリン工場フラッグショップおよびロサンゼルス店、ロンドン店は次々と閉鎖、2019年に工場はニューヨーク州北部の郊外ウェストチェスター郡にあるマウント・キスコ(マンハッタンから郊外電車で1時間半から2時間北上)へ移転し、人々に忘れ去られていきました。
マスト・ブラザーズは「初期の実験段階で業務用チョコレートを溶かして試したことはあるが、売り物には使ってない」と声明しており、実際の真偽は不明です。ただし、告発記事のパート4の上から6枚目の写真を見ると、2009年3月頃までの同社販売チョコレートの成分ラベルには、ココアバター、バニラ、大豆レシチン(乳化剤)が表示されており、業務用のヴァローナ・チョコレート(クーベルチュール)にも同成分が含まれています。
騒動が下火になった2021年10月、マスト・ブラザーズは再びニューヨーク市に戻ってきました。マンハッタン・アッパーウエストのコロンバス・アベニュー(アメリカ自然史博物館すぐそば)に、オーガニック・フードとナチュラル・グッズの「マスト・マーケット」として復活しています。このマスト・マーケットと過去のマスト・ブラザーズを結びつける人は少ないかもしれません。
オーガニック・チョコレートは、シーソルト、オリーブオイル、ラズベリー、ミント、コーヒーなど種類が豊富で、以前と同様に「ビーントゥバー」を謳っています。包装紙のデザインは以前に比べてシンプルになっていますが、過去にファンだった方は、購入して味比べしてみてもいいかもしれませんね。価格はミニサイズ(28g)4ドル〜通常サイズ(70g)9ドル(税別)。
おみやげ用に包装された美しい柄のチョコレートが欲しければ、クリムトや北斎の名画に包まれたMet(メトロポリタン美術館)コラボチョコもありますよ。
ショップ名 | 特徴 | 住所 | 公式サイト |
マリベル(Mariebelle) | 絵柄が可愛い、ニューヨーク発高級チョコ | 66 Park Ave, New York, NY 10016 | https://mariebelle.com |
トイスチャー(Teuscher Fifth Avenue) | シャンパントリフが有名な、スイス製老舗チョコ | 620 5th Ave, New York, NY 10020 | https://teuschernyc.com |
レダラッハ (Läderach) | 量り売りの割れチョコが有名な、スイス製老舗チョコ | 731 Lexington Ave, New York, NY 10022 | https://laderach.com/us-en/ |
ゴディバ(Godiva) | ベルギー製高級チョコ | 2024年2月現在専門店舗なし | https://www.godiva.com |
5番街を中心にあちこちあったゴディバは、コロナ禍による営業不振のため、2021年ニューヨーク市内を含む北米全店舗が閉店。ただし、スーパーマーケットやドラッグストア、およびオンライン販売で購入可能です。
甘いチョコレートにも関わらず、コロナ禍以降のニューヨークのチョコレート業界はなかなか厳しく、ビジネスは甘くはないようです。
今回紹介したような、いわゆるおしゃれで高価なブティック・チョコレートでなくても、ニューヨークにはアメリカ製のチョコレートがほかにもあります。在住者の本音としては、きれいなパッケージのために高いお金を出さなくても、スーパーマーケットやドラッグストアで買えるM&Mやハーシーのチョコレートも十分おいしいですよ。パッケージもアメリカらしくカラフルで、おみやげにもぴったりです。以下の記事でも紹介していますので、よろしければご一読ください。
あなたのお気に入りのチョコレートを探しに、ぜひニューヨークにいらしてくださいね。ニューヨークでお待ちしています!
TEXT:ニューヨーク特派員 青山 沙羅
PHOTO:istock & Hideyuki Tatebayashi & Sara Aoyama
*Do not use images without permission.
監修:地球の歩き方
※掲載情報は2024年2月時点の情報です。価格や商品構成などは変更になる場合がありますので、事前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。
※2024年2月現在、1ドル:約150円です。