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植物の茎のごとく曲がった柄にチューリップ形のフードが付いたランプ。つる草のような鉄柵をもつパリの地下鉄の入口。これらはみなアールヌーヴォーの世界だ。ナンシーは19世紀末にこの新芸術が生まれた町。その1世紀前には貴族好みのロココ美術が花開いた町でもある。生活に溶け込んでいるアールヌーヴォーと、貴族のために作られたロココ。一見相反するふたつのアートが同じ町で展開したのは興味深い。
ナンシーの最大の見どころでもあるスタニスラス広場は駅から徒歩で約10分。駅を出て左に進むとスタニスラス門 Porte Stanislasがあり、広場までスタニスラス通り Rue Stanislasで結ばれている。広場の一角にある凱旋門をくぐると、スタニスラス広場と同じくエレ設計のカリエール広場 Pl. de la Carrière。突き当たりのロレーヌ博物館(ロレーヌ公宮殿 Palais Ducal)の西側は旧市街で、Grande Rueに沿って古い町並みがクラッフ門 Porte de la Craffeまで続く。この門から東へ行くとペピニエール公園 Parc de la Pépinièreに通じる。やはりエレによる設計で、中央に華麗な噴水がある。ロココの名残をひととおり訪ねたら、ナンシー派美術館でアールヌーヴォーの世界へ。
パリ・東駅からTGVで約1時間30分。ストラスブールからTERで約1時間30分。