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ブルターニュ行きの列車では、グレーの屋根に木骨組みや石造りの素朴な古い民家が目に飛び込んでくる。ヴァンヌは、そんな民家と大聖堂が城壁の向こうに寄り添う静かな町。夏はモルビアン湾のクルーズや旧市街巡りの観光客でにぎわう。歴史をひもとけば、古代にはガリアの中心都市として、9世紀にはアルモリカ(ブルターニュの旧名)の首都として栄えた町でもある。カルナックなどに残る先史時代の巨石群を訪ねる起点でもあり、秘境ブルターニュを知るうえで通り過ごせない町だ。
駅から町までは徒歩で約10分。見どころはサン・ピエール大聖堂 Cathédrale St-Pierre周辺の旧市街に集まっている。花崗岩でできたこの大聖堂は一見ゴシック風だが、内陸部のものとはちょっぴり違った雰囲気だ。形の違うふたつの塔があるが、正面から見て左のものは、創建当時の13世紀から残っているもの。
旧市街の周りには城壁が残っており、外堀沿いは整然と手入れされた庭園になっている。花の季節には、城壁につながる跳ね橋の上から、美しい花々が見られる。
15世紀のガイヤール城 Château Gaillardの中にある歴史・考古学博物館 Musée d'Histoire et d'Archéologieも訪れてみよう。近郊のカルナックをはじめとする巨石群を訪ねる前の予習に最適だ。
ガイヤール城の向かいにある建物「ヴァンヌの家」の隅にはユニークな男女の胸像がくっついているが、これは『ヴァンヌとその妻 Vannes et sa Femme』と名づけられ、ヴァンヌ市民に愛されている。ほかに、町を流れるマルル川沿いには、19世紀の屋根付き洗濯場が今も残っている。
パリ・モンパルナス駅からTGVで約2時間30分。レンヌからTERで約1時間15分。
2023年5月現在工事のため休館中。