- イタリア
ナポリ民謡<帰れソレントへ>でお馴染みのソレントへ
2018.7.28
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ソレントはナポリ方言で「スッリィエント」と発音され、有名な民謡「帰れソレント」(トルナ・スッリィエント)に歌われる町。アマルフィ海岸への出発地でもあり、眼下に紺碧の海、眼前にナポリ湾の絶景が広がり、ナポリからソレントまで続く海岸線が美しい。
1544年にこの地に生まれた詩人タッソの名前を冠した、町の中心広場。ヤシの木が茂り、周囲には劇場、ホテルやカフェなどが並び、観光用の馬車やトレイン型のバスが客待ちをする。リゾートならではのにぎやかさと華やかさがあふれている。
タッソ広場の橋を越えて、右に曲がり、緩やかな坂を下ると市民公園。緑が茂るオアシスで、すばらしい眺望が楽しめる。海に面したバルコニーからは、眼下に海岸や港、眼前にはカプリ、イスキア島の島影とナポリ湾を一望する絶景が広がる。公園入口の右に建つ18世紀のサン・フランチェスコ教会S.Francescoの内部には14世紀の小さなキオストロが残り、緑と季節の花々の調和が美しい。
マリーナ・グランデへ向かう住宅街の一角、18世紀のフレスコ画などが残る邸宅にある。1800年代にソレント周辺で発展した寄せ木細工=インタルシオを知る博物館だ。テクニックやモチーフの解説をはじめ、著名作家による家具、絵画、調度品などから現代作家の作品を展示。特に名品の前にはモニターが設けられ、細部を詳細に見られ、興味をそそられる。
にぎやかなタッソ広場のすぐ北側に建つのがサン・アントニオ教会S.Antonio。14世紀の創建で町の守護聖人を祀る教会。内部はバロック様式で、天井・壁面にはフレスコ画が描かれ、18世紀のプレゼーピオが置かれている。
タッソ広場からやや薄暗い小路へ入ると、まるでお祭りのような風景が広がる。特にサン・チェーザレオ通りVia S.Cesareo周辺には、小さな通りにぎっしりとみやげ物屋、特産のリモンチェッロの製造販売の店などが並び、お店を眺めながらのそぞろ歩きが楽しい。
人込みに疲れたら、マリーナ・グランデMarina Grandeへ。昔ながらの漁村の雰囲気が残り、港に沿ってトラットリアが並ぶ。海越しにヴェスーヴィオ山の雄姿が広がる。
鐘楼が目印の堂々たる聖堂。15世紀に再建され、その後もたびたびの改築が施された。再建当時から残るのが入口右側の大理石の扉口、ファサードは1924年に改修されている。
内部はこの地の名高い寄せ木細工=インタルシオで装飾され、これを見るだけでも訪れたい。入口の内扉は寄せ木細工で、43年頃にこの地訪れたサン・ピエトロから1849年の教皇ピオ9世の来訪までの教会の歴史が描かれている。主祭壇周りも寄せ木細工で装飾され、主祭壇奥の聖職者の祈祷席Coroは芸術性が高い。また、主祭壇手前の説教壇には「キリストの洗礼」、その下の小祭壇には「聖母子とふたりの聖ヨハネ」の16世紀のレリーフが刻まれている。
この地を治めた貴族コッレアーレ一族のコレクションを展示する博物館。建物がある土地も、当時のナポリ王室アラゴン家から15世紀に寄贈されたもので、かつての邸宅を利用した博物館。階段の踊り場からは海を望み、また、緑が茂る庭園奥の展望台からはヴェスーヴィオ山とナポリ湾のすばらしい眺めが広がる。展示品や各所に置かれた家具、邸宅のたたずまいや庭園からも当時の豊かなソレントの雰囲気が感じられる。 第1室はコッレアーレ家の歴史に当てられ、一族の肖像画や紋章、家系図などを展示。1階から4階に広がる展示室には、古代ギリシアやローマの発掘品、絵画、陶磁器、時計、ガラス製品、当時の騎士の装束、植物画など多岐にわたる。