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ここもコート・ダジュール独特の中世の村だが、エズやサン・ポール・ド・ヴァンスほど観光地化されていない。生活の匂いがほどよく感じられる気持ちのいい村だ。村外れには、画家マティスが造り、自ら「陽気さのあふれた教会。人々を幸せにする空間」と評したロザリオ礼拝堂Chapelle du Rosaireがある。
シュロの木に囲まれひっそりとたたずむ小さな礼拝堂へは、村の中心から歩いて15分くらい。彼は晩年の4年間をかけてこの礼拝堂を制作した。内部には、選び抜かれた3色(ウルトラマリンブルー、濃い緑色、レモンイエロー)で構成されたステンドグラス、そこから差し込む陽光を受ける白いタイル、そして壁面には黒の素描『十字架の道行』と『聖ドミニク』の図。すべての色彩が完璧といってもいいくらい調和して、とりわけ黒い太い線が全体の明るさを決して殺していないのは驚きだ。マティスは黒という色を最もよく理解した人だったに違いない。
ニースからTERで約10分のカーニュ・シュル・メールに行き、駅前から655番のバスで約30分。