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人口約166万人、国内の約3分の1の人々が暮らすオークランドは、ニュージーランド経済・商業の中心地にして、国内最大の都市。1841年から1865年までは首都に定められていた歴史もあり、文化的な施設も多い。都会でありながら、緑豊かな景観や美しいビーチに恵まれているのもオークランドの魅力のひとつ。一帯はオークランド火山帯に位置しており、マウント・イーデンをはじめ約50の火山が点在しているが、その多くは休火山となっている。また、北はワイテマタ湾、南はマヌカウ湾に面していることから、マリンスポーツが非常に盛んなのも特徴だ。ヨットやボートなど小型船舶を所有する市民の人口比率は世界一といわれており、「シティ・オブ・セイルズ(帆の町)」の愛称をもつ。おしゃれな町と美しい海、緑の公園など町歩きの楽しみは尽きないだろう。
町の中心部は、高層ビルが立ち並ぶニュージーランド経済の中枢エリアであり、ショップやレストラン、エンターテインメント施設が集まる国内最大の文化発信地にもなっている。
まずは、オークランド最大のランドマークであるスカイ・タワーSky Towerに上って、360度のパノラマを堪能しよう。展望台から眼下に広がるオークランドの町並みを一望できるだろう。
クイーン・エリザベス2世スクエアから南へ延びるクイーン・ストリートQueen St.は、みやげ物店から、レストラン、映画館、銀行までひととおりの商業施設が揃うオークランドのメインストリートだ。この大通りをそぞろ歩けば、行き交う人々の人種の多さから国際色豊かな移民の町であることが実感できるだろう。この大通りに面して立つブリトマート駅は市内交通の拠点となっており、駅の正面には2020年6月にオープンしたショッピングモール、コマーシャル・ベイCommercial Bayが立つ。また、駅の東側にもおしゃれなショップやレストランが並び、夜遊びスポットとしても人気だ。
ヴァイアダクト・ハーバーViaduct Harbourやウィンヤード・クオーターWynyard Quarterといったウオーターフロントエリアには、豪華クルーズ船やカラフルなヨットが停泊し、“シティ・オブ・セイルズ”らしい光景が楽しめる。入江を囲むように洗練されたレストランやバーが立ち並び、週末の夜にはオークランダーたちでおおいに盛り上がる。
ダウンタウン西側にあるポンソンビーPonsonbyは、おしゃれなカフェやレストランが見つかるエリア。個性的な店が集まっているビクトリア・パーク・マーケットVictoria Park Marketとあわせて訪れたい。また、ポンソンビーや市内南部を東西に延びるカランガハペ・ロードKarangahape Rd.(通称Kロード)はバーやクラブが集中するオークランドの歓楽街として知られており、オークランダーのナイトライフを垣間見ることができる。 ダウンタウンから東へ約2.5km、しっとりと落ち着いた町並みのパーネルParnellはメインストリートのパーネル・ロードParnell Rd.沿いに、雰囲気のいいレストランや雑貨店、アンティークショップが軒を連ねる。また、アートギャラリーが点在しているのもパーネルの特徴だ。ニュージーランドのアーティストたちによる作品を鑑賞したあとは、オープンカフェでお茶を楽しもう。
パーネル・ロードを南へ進むと、ブロードウエイBroadwayと通りの名前が変わる。パーネルの落ち着いた雰囲気とは打って変わって、都会的なショップがずらりと並ぶのがニューマーケットNewmarketだ。ブロードウエイを挟んだ両側にはショップが立ち並んでおり、一大ファッションエリアになっている。
郊外エリアで足を延ばしてみたいのが、市内中心部から車で東へ6kmほど行ったミッション・ベイMission Bay。小粋なカフェやレストラン、緑豊かな公園と美しいビーチが揃ったこのエリアは、老若男女を問わずキーウィたちに非常に人気がある。
フェリービルディングからフェリーで12分ほど、車だとハーバー・ブリッジを渡った先がデボンポートDevonportだ。ヨーロッパ人が最初に定住を始めた地域のひとつで、ビクトリア調の建築物が数多く残る。ビュースポットとして知られるマウント・ビクトリアMt.Victoriaに登ったあとは、19世紀そのままの雰囲気を醸し出す町並みを散策したい。居心地のいいB&Bも多いので、滞在地としてもおすすめだ。
オークランド周辺には約50の島々が点在している。なかでも、フェリーで40分ほどの所に位置するワイヘキ島Waiheke Islandは、良質のワインや、アーティストが多く住むことで知られている人気のリゾート地だ。ティリティリマタンギ島Tiri TiriMatangi Islandで、絶滅の危機に瀕する鳥たちなど希少な野生動物を観察して1日過ごすのもおすすめ。自然が残されたウエストコーストをツアーで訪れるのもポピュラーだし、アクティビティの種類も豊富なのでさまざまな過ごし方で楽しむことができる。
オークランド国際空港Auckland International Airportはニュージーランド国内で最も乗降客の多い空港だ。日本からオークランドへは、成田国際空港からニュージーランド航空と全日空の共同運航便がある。空港はシティ・オブ・セイルズをテーマに設計されたモダンなデザイン。1階は到着ロビーとチェックインカウンター、2階は出発ロビーになっている。国内線ターミナルは1kmほど離れた所にある。
オークランド国際空港は市内中心部から南へ約22kmのマンゲレMangere地区に位置する。交通手段はいくつかあり、空港バスのスカイドライブ・エクスプレスSkyDrive Expressの利用が最も一般的。空港から市内中心部のスカイシティまでノンストップで運行されている。長距離バスのインターシティ)も同じルートを通る。最も経済的なのは、エアポート・リンクもしくは市バス#38と鉄道を乗り継ぐ方法。運賃の支払いにはICカード乗車券AT HOPカードが必要だが、国内線ターミナルの停留所にある自動販売機で、クレジットカードで購入できる。荷物や人数が多いときは、エアポートシャトルやタクシーも便利だ。
市バスのメトロMetroが運営するエアポート・リンクが、国内線ターミナル、国際線ターミナル、プヒヌイPuhinui駅を経て終点のマヌカウManukau駅まで運行。中心部へはプヒヌイ駅もしくはマヌカウ駅でブリトマート駅行きの列車、東線(イースタンラインEastern Line)に乗り換える。メトロ#38でオネハンガOnehanga駅へアクセスし、そこからニューマーケットNewmarket駅行きの列車、オネハンガ線Onehunga Lineに乗り換えることもできる。
乗客の人数がある程度揃ったら出発する、乗合タクシーのようなもの。公式サイトからの事前予約がおすすめ。
国際線ターミナルを出てすぐにタクシー乗り場がある。市内中心部まで所要約40分。日本と同じメーター制で、料金の目安は$75〜90ほど。配車アプリのUber、DiDiも利用可能。
インターシティIntercity Coachlinesが北島のほぼ全域をカバーしている。オークランドを発着するバス会社には、ロトルア、ワイトモなどへのツアーバスを運行しているグレートサイツGreatSightsなどがある。
バスは、スカイ・タワーの西側のホブソン・ストリートHobson St.沿いにあるスカイシティ・トラベル・センターSkycity Travel Centreに発着する。このトラベル・センターから鉄道駅やフェリー乗り場までは徒歩でも十分歩ける距離だが、目抜き通りのクイーン・ストリートから巡回バスのシティ・リンクCity Linkを利用することもできる。
中心部と近郊を結ぶオークランド・トランスポートAucklandTransportの列車はクイーン・ストリートQueen St.に面したブリトマート駅Britomart Stationに停車する。駅周辺には市内バスの発着所も集中しており、一帯はブリトマート・トランスポート・センターBritomart Transport Centreと呼ばれている。路線はブリトマート駅を起点にスワンソンSwanson方面行きの西線、プケコへPukekohe行きの南線、マヌカウManukau行きの東線、ニューマーケットNewmarketを起点とするオネハンガOnehunga方面行きのオネハンガ線の4本。切符は乗車前に自動券売機か窓口で購入し、改札を通って乗車する。事前に購入していないと無賃乗車とみなされ、罰金を徴収されるので要注意。また、ICカード乗車券のAT HOPカードを利用すれば割引運賃になる。AT HOPカードはフェリーやバスでも利用できる。運賃はゾーンに応じて変動。ブリトマート駅から徒歩15〜20分の場所にあるオークランド・ストランド駅Auckland Strand Stationにはオークランド〜ウェリントンを結ぶキーウィ・レイルKiwi Railの長距離列車、ノーザン・エクスプローラーNorthern Explorer号と、オークランド~ハミルトンを結ぶテ・フイアTe Huia号が発着する。テ・フイア号ではクイーンズタウン、ダニーデン、ロトルアなど10地域共通のICカード乗車券Bee Cardが利用できる。
オークランド市内を走るバスのなかで、シンプルな路線とわかりやすい料金形態で観光客でも利用しやすいのが3種類のリンクバスLink Busだ。リンクバスを上手に活用すれば、市内のほとんどの見どころを回ることができる。また、郊外まで足を延ばすならメトロMetroも便利だ。運賃はいずれもバスやフェリーなど各交通機関で共通利用できるICカード乗車券のATHOPカードで支払う。
〈シティ・リンク City Link〉
目抜き通りのクイーン・ストリートを中心に、市内中心部を走る循環バス。ウィンヤード・クオーターから、ブリトマート駅、クイーン・ストリートを経由し、カランガハペ・ロードに停車する。
〈インナー・リンク/アウター・リンク Inner Link/Outer Link〉
ダウンタウンからパーネルやニューマーケットまで、人気の観光エリアをカバーする。インナー・リンクは緑色、アウター・リンクはオレンジ色の車体と色分けされていてわかりやすい。ほとんどの観光エリアはインナー・リンクで行くことができるが、オークランド大学や郊外へはアウター・リンクが便利。それぞれ1本のルートを時計回りと反時計回りで走っているので、路線が複雑なメトロと比べて利用しやすいのが特徴だ。
〈タマキ・リンク Tamaki Link〉
ブリトマート駅からケリー・タールトンズ・シーライフ水族館やミッション・ベイなどを経由してグレン・インズGlen Innesへ向かう。
市民の足としてオークランド全域に路線を張り巡らせているバス。エリア別に数社が運行しているが、利用方法はすべて同じ。中心部では、ブリトマート・トランスポート・センターの周辺にバス乗り場が点在している。運賃は距離に応じて変動するゾーン制を採用。
〈バスの乗降の方法〉
バスは前方から乗車する。運賃の支払いはAT HOPカードのみ。乗車時に車内の読み取り機にカードをタップする。多くのバスで各バス停に停まる前に車内アナウンスがあり、モニターにはどこを走行しているのか表示される。目的地が近づいたら赤いストップボタンを押す。降車は前後どちらのドアからでもよく、乗車時と同様、読み取り機にカードをタップする。降りる際に「Thank you, Driver!」とひと声かけよう。
基本的に流しのタクシーはないのでクイーン・ストリートやカスタムズ・ストリートCustoms St.などの大通りにあるタクシースタンド、または大型ホテルから乗車する。電話や公式サイトから予約もできる。料金はメーター制で、初乗り料金は会社によって異なるが$3前後が一般的。配車アプリのUber、DiDiも利用可能。
市内の主要な見どころ9ヵ所を回る観光バス。乗り降り自由で、どちらの路線も1周約1時間。24時間券・48時間券の2タイプがあり、それぞれ最初に乗車した時間からカウントされる。オプションで博物館や水族館などの施設入場券がセットになったパスもある。パスは公式サイトのほか、スカイ・タワー前で待機しているスタッフや観光案内所アイサイトから購入可能。ダウンタウンのカスタムズ・ストリートCustom St.から最初のバスは9:00に、最終バスは16:00に出発し、30分おきの運行。バス内では英語の解説アナウンスがあり、Wi-Fiも使える。
市内観光には、AT HOPカードというリンクバスやメトロ、列車、フェリーなどで使用できる共通ICカード乗車券が便利。現金を持ち歩く必要がなく、割引きが適用される。また、バスではAT HOPカード以外で運賃の支払いができないので、バスに乗る場合は必須だ。列車はゾーンごと、フェリーは行き先によって割引価格が決まっている。 AT HOPカードを利用すると、バスと列車を1日にどれだけ使っても残高から最大$20までしか引かれないため、実質$20で1日乗り放題となる。この料金にはデボンポート、ベイズウオーターBayswater、バーケンヘッドBirkenhead、ノースコート・ポイントNorthcote Point行きのフェリーも含まれる。
〈AT HOPカードの購入方法〉
ブリトマート駅構内のカスタマー・サービス・センターやコンビニなどで1枚$15で販売。このうちカード代は$5で、$10分が運賃として使用できる。残額が減ったらTop Up(チャージ)して繰り返し使用できる。
〈Top Up(チャージ)方法〉
カスタマー・サービス・センター、一部のコンビニなどでもTop Up可能。駅やフェリー乗り場にあるTop Upマシーンならいつでも自分でTop Upができるので便利。①Top UpマシーンのリーダーにAT HOPカードを入れる。② 画面が切り替わり、残高が表示される。画面内のHOPmoney Top Upを選択。③Top Upする金額を選択。④支払方法を現金(Cash)またはカードから選択。 現金の場合は画面右上に硬貨、AT HOPカード挿入口の右に紙幣を入れる場所がある。クレジットカードの場合は硬貨挿入口の下に精算機があるのでクレジットカードを挿入し、クレジットを選択。暗証番号を入力する。⑤レシートのプリント画面が表示され、レシートが出てきたら完了。
〈AT HOPカードの使い方〉
バスの場合は前方の扉付近に専用の読み取り機があるので、そこにカードをタッチすると「ピッ」という音が鳴る。残高が不足している場合は「ブブッ」という音が鳴る。降りる際は前方、後方どちらかの読み取り機に再度タッチして降りる。乗車時に読み取り機にタッチすることをTag on、降車時はTag offという。Tag on/Tag offを忘れた場合は無賃乗車になってしまうので気をつけよう。
オークランド中心部では電動のスクーターやバイク(自転車)のレンタルが人気。専用アプリで最寄りのポートを探し、QRコードを読み取って利用する。料金は距離や時間に応じて異なり、$1.65~。おもな会社はLimeとBeamの2社。