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ニュージーランドの首都ウェリントンは、国家の首都としては世界最南端に位置する。都市としての歴史は比較的古く、イギリスの移民を送り出す組織であるニュージーランド会社New Zealand Company設立後、その最初の入植地となった場所である。1860年代初めにはオタゴ地方や西海岸で次々と金鉱が発見されたことにより、南島はゴールドラッシュに沸いた。そこで1865年、南島に近く、かつ国全体のほぼ中央に位置するウェリントンに、オークランドから首都が移転されたのだ。 町は港を囲むように広がっており、海峡から強風が吹き付けることも多いため“ウィンディ・ウェリントン(=風の町)”とも呼ばれている。海外貿易の中心であるほか、南島ピクトンへのアクセス拠点でもある。
市内には国会議事堂や大企業のビル、大学や博物館、美術館、劇場などが集まり、まさに政治と芸術、そして文化の中心地といえる。特に質の高い劇場や映画館はウェリントンが文化都市として愛される理由のひとつであり、近年は映画産業でも世界の注目を集めている。
町の中心部はウェリントン港を取り囲むように広がっており、直径は2kmほど。繁華エリアは端から端まで20分ほどで、徒歩でも十分に観光できる。
鉄道やバスでウェリントン駅に到着すると、付近には国会議事堂や旧政府公邸など、国家の首都であるウェリントンを代表する歴史的建物が点在している。ここから海岸まで出て港沿いに南下すると、ウオーターフロントのクイーンズ・ワーフQueen’s Wharfに着く。このエリアにはしゃれたカフェやレストランが数軒あり、海の町らしい雰囲気を満喫することができるだろう。
クイーンズ・ワーフから少し内陸側に入ると、曲がりくねったラムトン・キーLambton Quayという通りが延びる。この周辺は、スーツを着たビジネスパーソンたちが早足に歩く官庁、ビジネス街。都会的な雰囲気が漂うカフェやショップが多い。
ラムトン・キーを南下してウィリス・ストリートWillis St.に入ると、シビック・スクエアCivic Squareがある。ここは観光案内所アイサイトをはじめ、図書館や市役所、アートギャラリーなどの建物に囲まれた広場になっている。
シビック・スクエアから延びるキューバ・ストリートCubaSt.は、若者の多いにぎやかな学生街で、一部歩行者天国になっている。また、1本入った小道のエヴァ・ストリートEva St.とリーズ・ストリートLeeds St.には個性的な店が多いので、要チェックだ。
週末や夜に最もにぎわう繁華街は、コートニー・プレイスCourtenay Place。各国料理のレストラン、バーなどのほか、フードコートも多く、食事をする場所には事欠かない。
町の南東側には、オリエンタル・パレードOriental Pde.と呼ばれる気持ちのよい海沿いの道や、ウェリントンの町が一望できるマウント・ビクトリアMt. Victoriaがある。さらに、ウェリントン出身の映画監督ピーター・ジャクソンが手がけた『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの大成功により、この町は「ウェリウッド」と呼ばれるほど映画産業の発展が目覚ましい。空港近くのミラマー地区にある「ウェタ・ワークショップ」では映画制作の現場が垣間見られ、世界中から映画ファンが訪れる。
1998年に完成した、ニュージーランドで唯一の国立博物館
国立博物館 (ニュージーランド)
詳細をみる首都ウェリントンを象徴する建物
ニュージーランド国会議事堂
詳細をみる1866年に建てられた木造建築の真っ白な教会
オールド・セント・ポール教会
詳細をみる海洋関係の展示を行っている博物館で、歴史的にも貴重な建物。
ウェリントン博物館
詳細をみる日本からのウェリントンへの直行便はないが、オーストラリアのシドニーやメルボルン、ゴールドコーストなどからカンタス航空やニュージーランド航空が運航しているので、経由便を利用することができる。シドニーからは所要約3時間15分。フィジーのナンディからもフィジー・エアウェイズFiji Airwaysの直行便がある。所要約3時間50分。国内の主要都市からはニュージーランド航空、ジェットスター航空、サウンズ・エアのフライトがある。空港は1階が到着ロビー、2階が出発ロビーになっている。
ウェリントン国際空港Wellington International Airportは市内中心部から南東に約8kmほど行ったロンゴタイRongotai地区にある。市内への交通手段は市バスのエアポート・エクスプレス・バス Airport Express Busが安くて便利。乗り合いで目的地に行くエアポートシャトルなども利用できる。それぞれ乗り場は空港の到着ゲートを出てすぐの所にある。
エアポート・エクスプレス・バス Airport Express Bus
空港と鉄道駅間を結ぶ市バス。飛行機と電車の発着時間に合わせ、10~20分間隔で運行されている。車内には大きな荷物を置ける棚やUSBポート、Wi-Fiも備わっていて便利。運賃は現金、ICカード乗車券のスナッパー・カードSnapper、クレジットカードのいずれかで乗車時に支払う。ほかに、市バス#2でも市内へ行くことができるが、#2が停車するバス停は、空港から徒歩7分ほど離れたHobart St.にある。
エアポートシャトル Airport Shuttle
乗客の人数がある程度揃ったら出発するスーパー・シャトルSuper Shuttleが運行するシャトルバン。空港から市内へ行く際は予約なしで利用できるが、それぞれの目的地を回るのでほかの移動手段に比べると少々時間がかかる。確実に利用したい場合は電話や公式サイトで事前予約するのがおすすめ。
タクシー Taxi
市内中心部までの料金の目安は$40〜50。所要約20分。クレジットカードでの支払いもできる。配車アプリのUberも利用可能。ドアの開閉は自動ではないので、自分でドアを開けて乗り降りする。
長距離バス
長距離バスはインターシティなどが主要都市間を運行している(長距離バスの利用方法)。インターシティのバスの発着所はウェリントン駅の10番プラットホームの横にある。夜行便も運行されている。
長距離列車
オークランドとウェリントンを結ぶキーウィ・レイルのノーザン・エクスプローラーNorthern Explorer号が運行している。オークランドのストランド駅からは、月・木・土曜の7:45発、ウェリントンからは水・金・日曜の7:55発。所要約10時間55分。パーマストン・ノースからはキャピタル・コネクションCapitalConnection号もあり、所要約2時間5分。ウェリントン駅はバスターミナルと直結しており、ここから市内の各方面へと市バスを利用できる。
また、ウェリントン駅には都市部とワイララパWairarapa地方などの郊外を結ぶメットリンク社Metlink運営のローカル列車も発着する。
フェリー
南島のピクトン間のクック海峡Cook Straitを運航している。インターアイランダーは3時間30分、1日6便運航。ブルーブリッジは約3時間30分、1日2〜4便程度運航。インターアイランダーのターミナルは市中心部より約2km北にあり、ウェリントン駅の10番プラットホームから無料シャトルバスが運行されている。ブルーブリッジのターミナルはウェリントン駅付近。
メットリンク Metlink
ウェリントン駅に直結するバスターミナルを起点に、メットリンク社が運営する市バス。ほとんどのバスが主要通りを走り、郊外の見どころへもアクセスできるので上手に活用すれば観光の幅が広がるだろう。料金はゾーン制で、市内中心部なら大人$2.5。現金のほか、バスやローカル列車、ケーブルカーで共通利用できるスナッパー・カードSnapper CardというICカード乗車券で支払う。
ケーブルカー The Wellington Cable Car
ウェリントン名物の真っ赤な車体のケーブルカー。10分ごとにラムトン・キー沿いの乗り場から丘の上の住宅地ケルバーンKelburnまで運行し、市民の足としても活用されている。
タクシー Taxi
日本と同じメーター制。主要ホテルやウェリントン駅などにあるタクシースタンドから乗車する。初乗り料金は会社によって異なるが$3.5くらい。配車アプリを使うと便利。