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“バーデン”とは、ドイツ語で入浴(温泉)を意味する言葉。その名のとおり、この町は2000年以上も前のローマ時代からすでに“Aquae Helveticae(スイスの水)”として知られた、歴史の古い温泉リゾートだ。しかし浮わついた感じはなく、町全体にしっとりと落ち着いた雰囲気がある。
駅をリマト川側に出ると目の前を横切るのがバーンホフ通り。左はカジノやかつての湯治場方向で、右は旧市街へいたる。観光局は駅を出てすぐ目の前右側だ。まずは駅を背に真っすぐ進んでリマト川の手前を右折して旧市街に向かおう。しゃれたブティックやイギリス風のパブ、レストランが並び、ここがただのチューリヒ近郊の町ではなく、リゾートであることを認識させられる。5分ほど歩くと市の塔 Stadtturmをくぐり抜ける。この先が旧市街だ。のんびり散策してみよう。見どころのひとつである屋根付きのホルツ橋 Holzbrückeを渡る前に、上流にある新しい橋、ホッホ橋 Hochbrückeから「スイスで最も美しい旧市街のひとつ」といわれる町並みを眺めておこう。褐色の屋根にいくつもの天窓をあけた切妻屋根の家並みが川沿いに続いている。
ホルツ橋を渡った所には、18世紀末まで代官が居住していたという代官屋敷 Landvogteischlossがある。すぐ隣にある近代的な建物は歴史博物館 Historisches Museum。再び対岸に戻り、今度はリマト川沿いのプロムナードを散歩気分で温泉地区へ向かおう。バーデンには計18の源泉があり、47℃、約100万ℓの硫黄塩化ナトリウム質の湯が毎日湧出しているという。温泉を利用したスパ施設を備えたホテルがいくつも営業している。
かつて宗教改革で厳格な改革派に改宗したチューリヒ市民にとって、バーデンは一番近いカトリックの地であり、気晴らしに遊びにいく所だった。なのでスイスで最初の鉄道が敷かれたのはチューリヒ~バーデン間だったこともうなずける。たくさんのイベントが開かれるバーデンに、今も多くのチューリヒ市民が訪れている。
チューリヒから急行で約15〜20分、Sバーン12番で28分、6番で38分。