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ツェルマットで見逃せないマッターホルンの絶景と村の楽しみ方完全ガイド

地球の歩き方ウェブ運営チーム

地球の歩き方ウェブ運営チーム

更新日
2023年9月1日
公開日
2023年9月1日
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狭いマッター谷のどんづまりにある標高1604mの素朴な村が、なぜこれほど多くの人々に愛されているのだろう?周囲には4000mを超える峰が29も集中しているが、谷が深過ぎて村からはほとんど見えないし、輝きながら蛇行する無数の氷河もまた、どれひとつ見えないのに。

答えは、たったひとつの山にある。村の奥に鎮座するマッターホルンMatterhorn(4478m)だ。
周囲の者を寄せつけず、ちょっとうつむきがちに村をのぞきこむ姿は、思春期の苦悩する少年のよう。ところが、5分も歩いて川の対岸へ渡ると、彼はいきなり巨人となって村に覆いかぶさる。さらに、ロープウエイや登山電車で角度を変えて見れば、ドレスをまとった貴婦人から、あぐらをかいた頑固親父まで、劇的な変身を見せてくれる。

18世紀の昔から、人々はマッターホルンに憧れてツェルマットへやってきた。今でもアルピニストの聖地であることに変わりはなく、スイスでは最高の名誉職といわれる多くの山岳ガイドがここを拠点にしている。
古い木造家屋が軒を連ねる町並みや、排気ガスに汚染されていない清澄な空気も魅力だけれど、やはり主役にお目にかかれなければ来た甲斐がない。山の天気は変わりやすいだけでなく、時期によっては厚い雲が1日中山の姿を隠してしまうこともある。そんな不運に遭わないためにも、ぜひ3泊以上滞在することをすすめる。

ツェルマットの歩き方

まず、村を南北に貫くマッター・フィスパ川Matter Vispaと、川と並行に延びるバーンホフ通りBahnhofstrasseを覚えよう。北にあるMGB駅から南のロープウエイ駅あたりまでが村の中心。ゆっくり歩いて20分ほどの距離だ。
観光案内所はMGB駅を出てすぐ右側、駅前広場に面している。まずはここで最新の時刻表をもらおう。ホテルを予約していない場合は紹介してもらうといい。駅構内にもホテル予約電話がある。荷物が多いなら、駅前から村内バスかホテル送迎用電気自動車に乗り込む。タクシーも利用できる。

駅前広場からバーンホフ通りを挟んで、左奥にあるガラス張りの建物がゴルナーグラートへの登山鉄道GGBの駅。広場の正面、ギフトショップの奥にスーパーマーケット「Coop」があり、右側にはバーンホフ通りが谷の奥へ延びる。
「列車が駅に到着する寸前、ちらりと姿が見えたマッターホルンはいったいどこ?」

まあ、待って。にぎやかなバーンホフ通りを歩き出せば、ほどなく彼は右側前方にちらりと顔をのぞかせる。しかし、ここでがっかりしないように。実はこの通りから見たマッターホルンは、手前の山の稜線がじゃまをしているせいか、脇役の面持ち。大スターの晴れ姿はもう少しお預けだ。

バーンホフ通りには近代的な建物がほとんどなく、花を飾った古いシャレーが続く。ギフトショップ、ホテル、スポーツ用品店などが軒を並べ、年間を通じて多くの観光客でにぎわう。一般車は村内へ入ってこられないので、ほとんど歩行者天国だ。
駅から300mほど歩き、郵便局を右側に見て、途中から道が細くなる手前の右側にアルパインセンター(山岳ガイド協会)がある。バーンホフ通りをさらに進むと、通りの両側に旅行者向けのレストランがずらり並び、いつもにぎわいを見せている。
そのまま進むと由緒あるホテル、モンテ・ローザMonte Rosaはすぐそこにある。ホテルの壁にはマッターホルン初登頂を果たしたウィンパーのレリーフがはめ込まれている。

やがて教会と役場のある小さなキルヒ広場Kirchplatzに出る。ここまでゆっくり歩いて約10分。マーモットの泉と、アイベックスの像がある所で左へ曲がろう。教会の時計塔の先に望遠鏡が設置されている。実は、マッターホルン登攀の様子はここからでも観察できる。条件がよければ、山頂の右端に立つ十字架も見えるはずだ。
正面には墓地Friedhofが広がる。この村とアルプスを愛した人はもちろん、マッターホルンで命を落とした登山家の多くが眠っており、ピッケルやザイルを刻んだ墓碑が生前をしのばせる。
墓地の向こうはマッター・フィスパ川。氷河の水を集めた川に特有のミルク色は、日本では見られないものだ。ここでついに、「坐したる巨人」と新田次郎が評した姿とご対面。川に架かるこの橋はマッターホルンを狙う絶好のフォトスポット。

Googleマップには「日本人橋」とポイントされていて、カメラを構える多くの観光客の姿を見ることができる。
ここから川沿いの道を上流へ歩けば、約10分でマッターホルン・グレッシャー・パラダイス&シュヴァルツゼー行きロープウエイ駅。散策するなら、橋のたもとにある階段で川岸の歩道に下り、下流へ歩いてみよう。
川沿いの道を下流へ歩けば約10分でスネガ行き地下ケーブルカー駅に出るが、次の橋を渡り、斜め左に延びる細い路地を上がってみよう。両側にネズミ返しのある古い穀物倉庫が並び、まるでこの通りだけ時間が止まってしまったかのよう。
坂を上りきった所はにぎやかなバーンホフ通り。アルパインセンターの前に出る。

マッターホルン博物館
雨天時におすすめの見どころ。アルプス誕生の秘密から今日にいたるまで、マッターホルンの生い立ちにスポットを当てており、博物館というよりは体験型ミニパークといった造り。展示室は地下に設けられている。館内にはマッターホルンが初登頂された時代のツェルマットの村を再現してあり、ヴァリス地方独特の家屋14軒の中にさまざまな展示がある。初登頂の悲劇の展示も豊富で、初登頂後にガイドが滑落してしまったときの切れたザイルの実物が展示されている。

ツェルマットへのアクセス

MGB鉄道Matterhorn Gotthard Bahnは、1891年に開通した登山鉄道。フィスプVispからツェルマットまで所要約1時間6〜10分。約1時間に2本運行。チューリヒやベルン、ジュネーヴ方面からもフィスプで乗り換え。スイストラベルパス、ユーレイルグローバルパス有効。チューリヒ空港から約3時間40分、ジュネーヴ国際空港から約3時間50分、そしてイタリアのミラノからも最短3時間30分で到着する。乗り換えなしでツェルマットまで入れるのがサン・モリッツから来るグレッシャー・エクスプレスだ。

基本情報

ヴァリス/ヴァレー
使用言語
ドイツ語
標高
1604m
郵便番号
CH-3920
エリアコード
027(市内通話の場合でも初めにエリアコードをプッシュする)
ZermattTourismus
住所
Bahnhofplatz5
電話番号
(027)9668100
URL
www.zermatt.ch
開館時間
8:00〜20:00
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