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【NY在住者解説】トレーダー・ジョーズで買うべきおすすめお土産7選!ばらまき用からお菓子まで徹底紹介
2024.12.6
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全米に拡大中のドイツ系スーパーマーケット「アルディ(ALDI)」を知っていますか? アメリカに1976年にアイオワ州に上陸して以来、全米38州に2300以上の店舗を展開しています(2024年時点)。ドイツらしい「質実剛健」なスーパーマーケットで、ファッション性の高い「イメージを売る」トレーダー・ジョーズやホールフーズとは異なります。徹底的に無駄を省いた経営方針により、他店の半額ほどの低価格で、質のいい商品を提供してくれます。物価高のニューヨーク市で、庶民のお財布に優しいアルディは筆者の大好きなスーパーです。そこで今回は、ニューヨーク市在住の筆者がアルディの魅力を紹介します。
目次
筆者の愛用するスーパーマーケット「アルディ」ですが、日本では知名度が低いと思うので、改めて調べてみました。
アルディは、第二次世界大戦後にカールとテオ・アルブレヒト兄弟が母親から引き継いだドイツ郊外の小売店として設立。戦後のドイツの経済混乱の中、基本食料品だけに商品を絞り、低価格で販売したところ人気が出て、個人経営の小売店はチェーン店に拡大しました。
アルディとは、ファミリーネームの「アルブレヒト」と「ディスカウント」(割引)から名付けられています。1955年に100店舗まで増大しましたが、タバコ販売について兄弟の意見が分かれ、兄弟は会社を分割(兄カールがAldi Süd(アルディ南)、弟テオがAldi Nord(アルディ北))。兄カールのAldi Süd(アルディ南)はドイツ南部、アメリカ、英国、ハンガリー、スイス、オーストリア、アイルランド、スロベニア、イタリア、オーストラリアに、弟テオのAldi Nord(アルディ北)はドイツ北部、フランス、オランダ、スペイン、ベルギー、デンマーク、ポーランド、ルクセンブルク、ポルトガルに展開しています。
ややこしいですが、アルディはAldi Süd(アルディ南)とAldi Nord(アルディ北)のふたつあるのです。また1976年Aldi Süd(アルディ南)はアメリカに進出、1979年Aldi Nord(アルディ北)がトレーダー・ジョーズを買収と、アメリカにおいては分割されたアルディの両方が事業展開しています。
アメリカに店舗を出しているAldi Süd(アルディ南)とトレーダー・ジョーズの親会社Aldi Nord(アルディ北)は分割された別企業で経営が異なるため、アメリカのアルディとトレーダー・ジョーズは親子関係ではなく、強いて言えば従姉妹関係になるでしょうか。
アルディ(アルディ南)は、世界11カ国に6600以上の店舗を運営。アメリカにおいては1976年にアイオワ州にオープン以来、2024年現在は全米38州に2300以上の店舗があります。さらに2028年末までに国内に800店舗を出店する計画を発表。
2024年 世界の小売業売上高ランキング「Top 50 Global Retailers 2024」(世界の小売企業トップ50 2024)では、第4位(1位ウォルマート、2位アマゾン)に輝いています。
他社商品の半額近くの価格で、圧倒的な人気を得るアルディ。低価格を維持するのに、どのような工夫がされているのでしょうか。
商品陳列は、段ボール箱を開けて積むだけ。スタッフが商品を一つひとつ棚に並べる手間が省けます。商品がなくなったら、買い物客が空の段ボール箱をどけて、新しい段ボール箱から取り出します。段ボール箱を買い物かご代わりにしたり、エコバッグ代わりにする人もいます。
アルディでは、ナショナルブランド(認知度が高い有名ブランド)の商品はほぼなく、90%以上がアルディのプライベートブランド(自社製品)です。はじめて訪れた人は、見慣れたブランドがなく、代わりにそっくりなパッケージのアルディ自社製品が並んでいることに戸惑うかもしれません。
例えば、プライベートブランドのティーバッグは、100パック入りが2.25ドルと激安。ナショナルブランドのリプトンなどであれば、100パック入り6〜7ドルするので、1/3ほどの価格。風味にも違いが感じられず、筆者宅では愛用しています。商品の品質は安定しており、4万人の米消費者の調査を元に選ばれた「2024年 今年の商品」受賞の48商品のうち、アルディのプライベートブランド5商品も選ばれ、消費者が信頼を寄せていることがわかります。アルディの商品は、安かろう悪かろうではないのです。
商品は人気のある日常遣いの基本アイテムに絞られており、通常のスーパーマーケットの1/10ほどの商品数ともいわれます。商品数が少ないことで管理がしやすく、過剰在庫や賞味期限切れのリスクも抑えられます。
アルディのレジ係は椅子に座って、レジ打ちをしています。立ち仕事につきものの身体への負担が軽減され、レジスピードも早くなることから、座って仕事するスタイルが採用されています。レジ係が座っているのは全米のスーパーマーケットで、アルディだけだそうです。
ではレジ係は座ってラクして仕事ができるのかといえば、そうではありません。みっちり研修で学んだ後、レジ係にデビュー、スキャニングスピードは95%の速度(1分間あたり平均57点のスキャニング)が課せられます。スピードが83%(1分間あたり平均50点未満)ならクビの対象となるそうです。シフトの終わりには成績表(速度を示す業績評価レポート)も渡されているそうで、かなりプレッシャーが高い仕事です。そういえば、新しいレジ係は見かけなくなることも多く、優秀なレジ係しか生き残れないことがわかります。ちなみに求人募集サイトIndeedで見ると、ニューヨーク市のアルディのレジ係は20〜22ドルで募集していますので、時給がいい代わりに、仕事において高いスキルが求められるということでしょう。
筆者はクイーンズ区のアルディで約15年前から買い物していますが、当時からアルディではレジ袋がなく、買い物客はマイバッグ持参が基本。そのため、「今日はアルディで買い物をする」と予定した日には、エコバッグを数枚用意しました。またレジで精算後は、買い物かごに商品を入れて渡され、買い物客自身でマイバッグに詰めます。困ったのが、偶然近くを通りかかり買い物した際にマイバッグを忘れていた時で(精算時に気がつくことが多い)、買い物客が置いていった他店のレジ袋や空のダンボール箱(前述した商品の陳列棚)を拾って商品を入れ、自宅まで持ち帰ったものでした。
ニューヨークのレジ袋廃止は4年前(2020年3月)ですので、15年以上前からレジ袋を省いていたアルディは時代の先端を行っていたといえます。
アルディにあるのは、「安さ」と「信頼できる商品」。イメージを売るトレーダー・ジョーズやホールフーズなどと異なり、おしゃれさは全くありません。商品のパッケージはナショナルブランドとそっくりで、わかりやすさがウリ。店内には気分を盛り上げるBGM(バックグラウンドミュージック)もありません。徹底的に装飾を省いたノーフリル(no-frills フリルなし)、実質本位の店なのです。
他店で力を入れているエコバッグは、アルディでは比較的最近置くようになったもので、オシャレさは微塵も感じないデザイン(失礼)です。したがって、街中でもアルディのエコバッグを持っている人を見ることは稀です。
いいところもあれば、もちろん欠点もあります。
ニューヨーク市在住筆者のお気に入りスーパーマーケット「アルディ」のおすすめアイテムをご紹介します。
筆者は日本のキューピーなどの酸っぱいマヨネーズより、アメリカ製の甘めのマヨネーズが大好きです。ナショナルブランド ヘルマン社製にそっくりなプライベートブランドのマヨネーズは1kg近くあって、セール時は1.99ドルとお得! 味も値段も気に入っているので、愛用しています。ケチャップも同様に、1kgで3ドル以下と嬉しい価格。
パスタソースはたっぷり入って、2ドル前後という安さ。1〜2人家族なら、2回分くらい使えます。筆者は4種類のチーズを使ったホワイトクリームソースのアルフレッドがお気に入り。トマトソースもおいしいです。
砂糖(グラニュー糖)も2kgが3〜4ドルとどこよりも安く、愛用しています。
ヨーロッパ最大の酪農大国ドイツゆえ、乳製品もおすすめ。筆者のお気に入りはバター、生クリーム(ヘビークリーム)、サンドイッチ用のスライスチーズ(スイスチーズ)、オーガニックミルク、クリームチーズなど。特にバターは味も気に入っており、惜しげなく使えるのでありがたいです。パルメザンチーズ(粉チーズ 220g)も約3ドルとお手頃で、おいしいので愛用。ヨーグルトも安いのですが、味が筆者の好みではありませんでした。
世界トップレベルのチョコレート大国ドイツゆえ、アルディのチョコレートはおすすめ。ハーシーなどのザラっとして舌にアクが残るアメリカ製チョコレートは個人的にあまり好きでないので、ヨーロッパ系のチョコレートはおいしいなと思います。値段も手頃。筆者の好みは、トフィークランチやキャラメル・シーソルト、ホワイトチョコなど。
店内入ってすぐ右側にポテトチップスやナチョスなどスナック類が積んであり、ほぼ7割の人が買い物かごに放り込んでいます。通常スーパーで買うナショナルブランドのスナックの半額以下の価格。ついつい、安さに買ってしまいます。
クリスマス時期に出る、飴がけの上にさらにホワイトとダークのチョコレートがかかったポップコーンも楽しみ。くどいですが、ハマると病みつきになります。
朝目覚めたときにコーヒーが飲みたい筆者の最近のお気に入りが、フレーバーコーヒー。ヘーゼルナッツやフレンチ・ヴァニラなどコーヒー豆専門店に劣りません。特にヘーゼルナッツがお気に入り。豆が引いてあるグラウンドタイプとK-Cupのカプセルタイプがあります。
嗜好飲料では、オレンジジュースも濃くておすすめ。朝食用のパンケーキミックスはたっぷり1Kgで2ドル、パンケーキシロップも710mlで約3ドルと本当にお安いです。味もナショナルブランドと変わりません。
プライベートブランドが9割を占める中、日本のナショナルブランド マルちゃんのインスタント焼きそばを発見。アメリカ人に、カップラーメンや焼きそばが人気です。同じブランドでも、メイドインアメリカの場合、テリヤキビーフやオレンジチキンなど味が異なり「?」と思うことが多いので、アルディでの購入経験はありません。
アルディでは基本食料品のほかに、日用雑貨も愛用しています。意外なところで、洗顔料がおすすめ。まったく愛想のないパッケージですが(苦笑)、肌馴染みがよく、使用後はしっとり、香りもなく安心して使えます。ブルーのボトルのメイク落とし洗顔料やスクラブ洗顔料も気に入っていますが、入荷が不安定なので、見かけた時に購入しています。
またビタミングミ(サプリメント)もドラッグストアより安く、おいしいのでお気に入り。消費の多いラップ類やパーチメントペーパー(耐熱性クッキングシート)も安くて助かります。
トイレットペーパーとペーパータオルも比較的安いですが、値段が常に変動しているので、ドラッグストアと値段を見比べて買うことが多いです。
アルディは、家賃や物価が高いニューヨーク市で、庶民の暮らしを支えてくれています。筆者とアルディの縁ができたのは15年ほど前で、アルディ店舗の近所に住んでいた友人が「ここ安いのよ」と連れてきてくれて以来です。ショッピングモールの端っこの目立たない場所にあり、その当時は照明がなんとなく暗く、支払いは現金のみ、マイバッグを持参しなければならず、独特な雰囲気がありました。それでも一度買い物したら安さと価格の割に品質のよさを感じ、当時は地下鉄で1時間ほど離れたところに住んでいましたが、マイバッグを数枚持参して買い物に通ったものでした。15年前は、現在より内容量(グラム数)も多く、他店に対しての割安感も今以上にありました。
筆者がアルディへの信頼感を強めたのは、コロナ禍のときです。ほかのスーパーは、一斉に商品価格を2〜3倍に上げました。非常時であり、働く人や商品の流通が少ない状況をわかってはいましたが、目を剥く価格にため息が出ました。そんな時にアルディはほぼ通常価格、さらにセールまでしてくれたのです。セールをアピールすることもない淡々とした営業に、「大丈夫なの?」とこちらが心配になるほどでした。コロナで当時の勤務先が潰れてしまった筆者にはアルディがありがたく、消費者の気持ちに沿ってくれたアルディに絶対的な信頼を寄せました。おしゃれでなくても、レジが混んでいても、アルディが大好きなのです。ついにはアルディに徒歩圏内で行ける近所に引っ越ししたほどです。
アルディは、ニューヨーク市内では、クイーンズ区やブルックリン区、イーストハーレムの住宅地に所在するので、旅行者には行きづらいと思いますが、機会があればぜひ訪れてみてください。価格が安く安定したものが多いので、実質的なお土産を調達するのに向いています。
ニューヨークでお待ちしています!
TEXT:ニューヨーク特派員 青山 沙羅
PHOTO:Sara Aoyama
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掲載情報は2024年8月25日撮影時点の情報です。価格には別途消費税が加算されます。価格や商品構成などは変更になる場合がありますので、事前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。