
- ナポリ
プローチダ島が2022年のイタリア文化の首都に!
2021.1.19
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ナポリ湾で人が暮らす一番小さな島、プローチダ島。カンピ・フレグレイの火山活動でできた島で、入り組んだ海岸線に深い緑が広がる。とりたてた見どころはないが、地中海が作り出した自然美とのんびりとした時間が流れる。映画「イル・ポスティーノ」の舞台にもなり、主人公マリオが亡命詩人に贈るために集めた『波の音』、『風の音』……、そんな場面に共感してしまうだろう。船はグランデ港Porto Grandeに到着する。ミニバスが頻繁に走っているので、これを利用しよう。20分もバスに揺られれば、島のどこへでも行くことができる。まずはこの島一番の高台から島を眺めよう。バスC2番は白く細い坂道を上り、レモンやオレンジの果樹の間をすり抜け、車窓からは海を見下ろす。ヴァスチェッロ城Castel Vascello/サン・ミケーレ修道院Abbazia di S.Michele(バスはここから折り返し運転)手前の見晴らし台 Belvedereからは、コッリチェッラの浜が一望できる。カラフルな家並み、青い海、岬の先に広がる緑の林など、プローチダらしい風景が広がる。
港を出た、ほぼ正面の坂道の下にバス停がある。また、下船後海岸を左に見て進んだサンティッシマ・マリア・デッラ・ピエタ教会 Ss.Maria della Pietà前の小さな広場がバスターミナル。ここからなら、ほぼ座れる。全経路(4線)のバスが集合している。バスは約20分間隔で運行され、町のいたるところにバス停がある。
バスが来たら、手を上げて乗車の意思を示そう。運転手さんは親切なので、行きたい場所を告げれば、下車地や乗り換え場所などを教えてくれる。 L1番はグランデ港←→キャイオレッラへ。L2、C1、C2は循環バスなので、グランデ港から島を回って港へ戻る。
時間がない場合や、何人かで利用できるならタクシー(ミニバン)の貸切も便利。島を一周するなら、約1時間30分で€30~40程度。最初に時間と料金を確認してから利用しよう。
坂が多いプローチダ島。特にコッリチェッラ地区から見晴らし台への道はかなりの急勾配の石畳と階段が続く。スニ
ーカーなどで出かけよう。また、宿泊の際に大きな荷物がある場合はタクシーが便利。坂道と階段の多い島なのでスーツケースの車輪はほとんど機能しないようだ。ホテルによっては、港からの送迎サービスを実施。
見晴らし台から坂と階段を下ると、コッリチェッラの浜Marina di Corricellaへ到着する。海岸には小さな漁船やレジャーボートが浮かび、魚網が広がる。カラフルに塗られた家々は、島特有の造りで小さなベランダと外階段があるのが特徴だ。この海岸通りを少し進むと、映画「イル・ポスティーノ」の舞台となったタベルナが今も営業している。入口近くに撮影地の表記があるのですぐにわかるはずだ。舞台となったこの店をはじめ、あたりにはパラソルを広げた飲食店が並び、観光客や長逗留のバカンス客で夏はにぎわいを見せる。
1563年に建てられた城跡がある旧市街。サン・ミケーレ教会付近からは海を見下ろすパノラマが開ける。ここからのコッリチェッラ地区の眺めはすばらしい。絶好のビューポイント。
バス通りまで戻って再びバスC2に乗り、途中でL2に乗り換えてキャイオレッラの浜Marina di Chiaiolellaへ向かおう。長い砂浜に海の家が並び、カラフルなパラソルが花盛り。夏にはたいへんなにぎわいを見せる。砂浜の左手、桟橋が続く深い緑が覆うのがヴィーヴァラ島Isola di Vivara。18~19世紀のブルボン王朝の時代にプローチダ島は王室専用の狩猟公園とされるほど自然に恵まれていた。なかでも、ヴィーヴァラ島は貴重な地中海性の植生や動物保護のため入島は規制されている。
若きアラン・ドロンによる「太陽がいっぱい」(1960年)から同じ原作で再映画化された「リプリー」(1999年)、そして「イル・ポスティーノ」(1994年)などの映画が撮影されたプローチダ島。カラフルな町並みや美しい海岸線は実に絵画的でフォトジェニック。近隣のカプリ島やイスキア島に比べて観光客も少なく、物価も安めでどこか素朴な雰囲気だ。映画のひとコマを見つけに出かけてみよう。