キーワードで検索
ふたつの海に挟まれ、東西に広がるターラント。その歴史は紀元前8世紀にまでさかのぼる。ギリシア人たちが住んだ時代、アテネ文化が大輪の花を咲かせ、この町はマーニャ・グレーチャの中心地として栄えたのだった。その栄華はすでに地下に埋没しているが、大量の遺品が出土し、はるかいにしえの繁栄をしのばせる品々には国立考古学博物館で出会うことができる。
町はいくつもの顔を見せる。旧市街はどこか人を寄せ付けないような古い町並みが続き、小路には光が届かず、日中でもやや薄暗い。しかし、ドゥオーモ内部には美しい至宝が残る。
新市街へ向かう途中には、紀元前6世紀に築かれたポセイドン神殿の名残が見られ、確かにここがマーニャ・グレーチャの地であったことを教えてくれる。
城砦として機能したアラゴン城を越えて、ジレヴォレ橋を渡ると新市街だ。アラゴン城を見下ろし、磨かれたような敷石が広がる海岸通り、1860年代に整備された碁盤目状の道には街路樹が続き、散策が楽しい。
軍港を抱えたターラントは水兵の町でもあり、白いセーラ服姿が闊歩する。旧市街のマーレ・ピッコロではムール貝の養殖が盛んで、屈強な若い漁師が忙し気に働く姿が見られる。
見どころは小さな範囲内なので、徒歩での観光が可能だ。
新市街から鉄道駅までは距離があるのでバスを利用するとよい。駅前からは1、2、3、8番などほとんどのバスが新市街までを結んでいる。旧市街は軽々しくは入り込めない雰囲気がある。一般的な警戒は怠らないで気を引き締めて歩こう。
1887年、かつての修道院を改装して誕生した博物館で、南イタリア屈指のもの。
ターラントとその周辺地域からの出土品を展示し、先史時代から栄華を誇ったマーニャ・グレーチャの歴史と高い芸術性を知るには必見の見どころだ。見学は、2階(1° Piano)と3階(2° Piano)。
15世紀末にアラゴン家のフェルディナンドが小さな要塞跡に建造。円筒形の隅塔が配された伝統的な形で、ジレヴォレ橋からの眺めがよい。長くイタリア軍の施設として使用されていたが、現在はガイド付きで見学でき、ターラント観光の新しい目玉となっている。
さまざまな時代の痕跡を随所に見せる11世紀の教会。町の守護聖人サン・カタルドを祀ってあることから、サン・カタルド教会とも呼ばれる。ファサードはバロック様式、側面にはロマネスク、クーポラはビザンチン風と、時代の遍歴を多方面から見ることができる。内部は3廊式で、右奥のサン・カタルド礼拝堂Cappella di S. Cataldoの大理石の象嵌細工は華やかで見事のひと言に尽きる。
全長1㎞足らずの小島。もとは現在の新市街と陸続きであったが、ナヴィガービレ運河が開通したため孤立した。ギリシアの植民都市としてここから繁栄を始め、往時には新市街Via Leonida付近まで町は拡大した。現在の旧市街は、のんきな顔では入り込めない独特の雰囲気がある。フォンターナ広場Piazza Fontanaからマーレ・ピッコロへと魚屋や小さな漁船の波止場が並んでいる。