モンテ・サンタンジェロを訪れる理由 大天使ミカエルの伝説と巡礼地の魅力

大天使ミカエルが舞い降りた地、モンテ・サンタンジェロ。プーリア州西側、アドリア海に面したガルガーノ半島Promontorio del Garganoの高台に位置し、遠く海を見下ろし、段丘上に切妻屋根の白い家々が続く風景は1枚の絵
画のように美しい。

この町には490、492、493年の3度にわたり大天使ミカエルが現れたという。「最も神に近い天使」として、中世から南イタリアをはじめ、ヨーロッパでは「大天使ミカエル」＝サン・ミケーレへの信仰があつく、以降、町は一大巡礼地として発展していった。今も門前町の風情を残し聖所祈念堂Santuario de San Michele Arcangeloへ通じる路地
には露店が店を並べにぎわいが楽しい。フランスのモン・サンミッシェルから続く「ロンゴバルドの聖なる道」の巡礼路の最終地でもある。

大天使が出現したとされるのは、聖所祈念堂の地下の礼拝堂の「大天使の洞窟」Grotta dell'Arcangeloだ。5～8世紀、当時この地を治めいていたロンゴバルド族が聖域とし、さらに13世紀にはシチリア王カルロ1世=シャルル・ダンジューにより「サン・ミケーレの聖域」として整備され、2011年には世界遺産として登録された。洞窟手前部分はカルロ1世によるゴシック様式で、世界遺産に登録されたのはアーチを描く地下部分だ。

ロターリの墓から坂を下れば、白い家々が続き、フォトジェニックな風景が広がる。そのまま階段と坂道を下りVia Panoramica手前のダウノ広場あたりまで散策してみよう。見上げれば、南イタリアならではの太陽の下、白い家々が圧倒的なスケールで迫ってくる。

入口右に建つ塔はカルロ1世がカステル・デル・モンテ（世界遺産）をモデルに建てさせた八角形。高みから大天使が見守る祈念堂は入口から大階段が続き、導かれるままに到着するのが『大天使の礼拝堂』だ。
天然の洞窟をそのまま利用した内部は横に広がり、薄暗く、ゴツゴツした岩肌が天蓋のようで神秘的で荘厳な空間だ。ここに大天使が現れたとされている。正面の祭壇にはA.サンソヴィーノによる『聖ミカエル』が剣を手に黄金の羽を広げ、左にはライオンの台座に支えられた司教座が鎮座している。

洞窟を出た右のエレベーター近くからは付属博物館Musei TECUMへと続き、祈念堂からの彫刻、金細工、フレスコ画をはじめ大天使にまつわるさまざまなものを展示。この入口そばから扉を開けて階段を下ると、ロンゴバルド時代の遺物が展示され、さらに奥にロンゴバルドおよびそれ以前に遡るオリジナルのクリプタを見ることができる。

ロンゴバルド王の墓と呼ばれているが、一部を残し12世紀に再建された洗礼堂。入口には聖母子のレリーフが刻まれ、内部は石を積み上げた見上げるほどの高いドームの下に広々としたスペースが広がり、まさにロンゴバルド的空間だ。壁面には「十字架刑」のフレスコ画が描かれ、アーチを描く飾り柱の柱頭彫刻はそれぞれが異なる。隣のサンタ・マリア・マッジョーレ教会の扉口の彫刻にも注目を。いずれもプーリア・ロマネスクならではの大らかな彫刻が楽しい。

最寄り駅はfs線フォッジアFoggia。バーリ中央駅からFBフレッチャビアンカで1時間4分、ICで1時間15分、RVで1時
間23分～1時間29分、Rで1時間32分～1時間42分。1時間に1～3便。

フォッジア駅前からSITASud社のプルマンバス741番でマンフレドニアManfredonia乗り換えで所要1時間45分。一部直通あり。バスのほとんどは新市街入口のPiazza Marconeが終始点。旧市街の聖所祈念堂までは約600m坂を上る。平日は1時間に1便程度、㊐㊗はフォッジア発7:45、14:00、22:10のみ。モンテ・サンタンジェロからフォッジア行きは平日の早朝（6:45発）のみ旧市街のドゥーカ・ダオスタ広場Piazza Duca d'Aostaからの発車あり。