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トゥガナンは、バリ島の先住民「バリ・アガ」の住んでいる村。バリ・アガの村としてはキンタマーニ高原のトルニャンが、ヒンドゥー教がバリ島へ広く伝来する11世紀以前の文化を守っていることで有名だが、ここトゥガナンは11世紀初頭に始まるジャワ島のアイルランガ王朝の影響を受けたバリ初期のペジェン王朝時代のヒンドゥー教を守っている。村には約700人が住んでいるが、今も村の伝統文化や戒律が保たれている。
山の緩い斜面にあるこの伝統村は、石で造られた壁で囲まれた長方形の敷地に、民家、村長の家、集会場、小学校、寺院、市場などが整然と並んでいる。地面は石で敷き詰められ、通りの中心部に緩く傾斜させて排水機能を設けてあるなど、まるで古代ローマの計画都市のアジア版のようだ。いくつかの家では、カンベン・グリンシンの織物や編みカゴなどの店を営んでいる。
トゥガナンは村のレイアウトも、一般のバリ人の村とは大きく異なる。緩やかな山の斜面に造られたこの村は、南北500m、東西250mの長方形のなかにすっぽりと収まるようにできている。村の周りには塀が巡らされ、外部からの侵入を拒んでいるようにも見える。村の中には、テラス状の大通りが南北に3本とおり、大通りに面して長屋形式の家屋が並んでおり、また、大通り中央部には村の共同体で使われる集会場や市場などが建てられている。トゥガナンを見学するということは、まず村の造りを見ることだ。
トゥガナンは世界的にも珍しい経緯絣(たてよこがすり)カンベン・グリンシンKamben Gringsingを織る村でもある。グリンシンとは無病息災を意味する言葉で、この布はもともと魔よけとして身につけられた。伝説によると、インドラ神がトゥガナンの女性にカンベン・グリンシンの織り方を授けたのだという。
普通、イカットは縦糸か横糸のどちらか一方のみを染めて織り上げるが、カンベン・グリンシンは縦糸、横糸ともに染めて織る、とても手の込んだもの。しかも糸染めは3ヵ月に1度、実際1枚の布を織るのに必要な糸を染めるだけで何ヵ月も要する。さらに織り上がるまでには、数年の歳月を要する大作もある。
大通りに面した長屋の一角では、カンベン・グリンシンの実演販売を行っている。長さ1m程度で1枚US$50〜だが、手間暇を考えると決して高くはない。
ツアーやチャーター車で訪れるのが一般的。南部リゾートエリアから1.5〜2時間、ウブドから1.5時間。
チャンディダサからは約5km。パンデス川の橋を渡ったT字路から、客待ちしているオジェック(バイクタクシー)を利用可。10分、片道Rp.2万〜。