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パレルモから内陸に約8㎞。標高310mのカプート山に広がるモンレアーレの町は緑のコンカ・ドーロ盆地とその先に紺碧の海を見下ろす。イタリアでも屈指の美しいモザイクと回廊付き中庭(キオストロ)が残り、イスラム、ビザンチン、ロマネスクを融合したノルマン芸術の至宝として、2015年ユネスコの世界遺産に登録された。
豪壮華麗にモザイクで飾られたドゥオーモは、グリエルモ2世によって1174~1182年に、修道院、王宮などを含めたひとつの建築群として建てられた。とりわけドゥオーモはパレルモのパラティーナ礼拝堂に続いて建設されたため、より一層豪華で贅を尽くしたもの。正面には堂々とした2つの塔が並び、ファサードの青銅扉はボナンノ・ピサーノによる12世紀の物で聖書の場面が描かれている。
側面の16世紀の柱廊から内部へ入ろう。三廊式の内部には16世紀の床モザイクが広がり、古代の円柱がアーチを支える。高い天井のより高みの後陣(丸天井)には巨大なキリスト像『パントクラトール=全能のキリスト』、その下には『玉座の聖母と諸天使』、その下に『十二使徒』。やや見づらいが、玉座の上の壁には「キリストに王冠を授かるグリエルモ2世」、「聖母に大聖堂をささげるグリエルモ2世」。圧倒されるほどのモザイクだ。身廊には旧約聖書が描かれ、後陣に向かって左には『アダムとイブ』『カインとアベル』『ノアの箱舟』などが続き、物語性の高いモザイクはその美しさとともにいつまでも見飽きることがない。
堂内後方右側から屋上テラスへの階段が続 いている。キオストロを見下ろして上がると、海とコンカ・ドーロ、パレルモの町を見下ろすすばらしいパノラマが広がる。
その他の見どころ
ドゥオーモ外壁後方(後陣)の装飾側面もすばらしい。ドゥオーモ正面から門を抜けて進むと見晴らし台。ドゥオーモのテラスへ行けなかったら、ここからパノラマを楽しもう。
12世紀にドゥオーモ付属のベネディクト派修道院として建設された。中庭には金色に輝く柱がアーチを支えて整然と並び、シチリアの光と影が美しい。2本ひと組となった228本の柱が尖塔アーチを支えて47×47mの中庭を囲み、ひとつおきに金色のモザイクが幾何学模様を描く。身近で詳細に見るモザイクは、いかに手のかかった物かを再認識させてくれる。柱頭には動物、植物、聖書の場面などが彫り込まれ、一本ずつ異なる装飾が施されている。中庭の一角の囲みには、シュロの木をモチーフにした柱が立つアラブ風の噴水が置かれている。
●バス
パレルモ中央駅前Via LincolnからAST社のプルマン利用で。平日のみ6:10~19:45に1時間~1時間30分に1便程度の運行、所要40分。切符$1.90、往復$3(車内購入可)。または王宮前のインディペンデンツァ広場から市バス389番(㊐㊗も運行)で終点下車。
●車
パレルモからS186。