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湖畔で人々が日光浴をする真夏のルツェルンから45分で、スキーが楽しめる場所がある。谷の奥に開けたリゾート、エンゲルベルクだ。12世紀に修道院が建てられたのが町の始まりで、その静かなたたずまいは「天使の山」の名にふさわしい。一方この町は、年間を通じてアクティビティが楽しめるベースタウンの顔ももつ。町を取り囲む山々の表情は険しく、ここが中央アルプスの一部だと実感できる。なかでも、ひときわ高い所から町を見下ろしているのがティトゥリス山だ。標高3000mを超える展望台からのパノラマもすばらしいが、途中の景色もまた圧巻。世界初という回転ロープウエイに乗って、次々に現れる景色をじっくりと堪能しよう。
ルツェルン中央駅の12〜13番線ホームに発着する赤い登山列車で所要約45分。ほぼ1時間ごと。澄んだ清流を見下ろしながら急坂を上り始める。やがて氷河から流れてきた乳白色の川が見えてくると終着駅Engelbergのホームにすべり込む。
エンゲルベルク駅からティトゥリスへのロープウエイ乗り場へは徒歩10分ほどだが、30分〜1時間30分ごとに無料のシャトルバスが走行。所要3分。
ロープウエイは10分でトゥリュプゼー Trübseeに到着。世界的にも珍しい回転ロープウエイに乗り換え、途中のStand駅まで10分、ここから山頂駅Titlisまで5分。運行はエンゲルベルク発8:30〜16:00。下り最終はティトゥリス発17:00。往復CHF96。スイストラベルパスで50%割引き。トゥリュプゼー〜ティトゥリス間は11月にメンテナンスのため休止期間あり。
ティトゥリスの山頂駅(標高3030m)にはセルフサービスのカフェテリアやピッツェリア、氷河をくり抜いたアイスグロットなどがある。トンネルの奥には展望窓もあるが、レストランのテラスからの眺めが気持ちよい。美しい白い連山はベルナーアルプス。グリンデルワルトの村を見下ろしていたヴェッターホルンが手の届きそうな距離に見える。天気がよければ、雪を踏みしめながら40分ほど登って標高3238mのティトゥリス山頂に立つこともできる(天候の急変に要注意)。
5〜10月ならグレッシャーパークで遊ぶのも楽しい。2012年に完成した、高さ3041mの所にある全長100mのヨーロッパ最高所のつり橋はスリル満点。足元が透けているので、高い所が苦手な人は途中で足がすくんで動けなくなってしまうかも。でもここからの眺めは間違いなくすばらしい。
帰りには、トゥリュプゼーで途中下車して、近くにある湖を1周するハイキングがおすすめ。ティトゥリスの姿を映す湖の周囲にさまざまな高山植物が咲き乱れている。1周40分〜1時間。
時間があれば、さらにGerschnialpまで2時間ほどかけて下ってもいい。ここでトロッティーバイク(スクーターバイク)という自転車を借りることができる。舗装路を15分ほどかけて下り、エンゲルベルク駅で返却。5〜10月の毎日。ひとりCHF8。
なお、ロープウエイ駅からのシャトルバスはエンゲルベルクの町を1周している。Klosterで下車するとベネディクト派修道院の前に出る。隣接した教会はスイスのバロック建築の代表的な建物で、中にあるパイプオルガンはスイス最大だ。