
- スペイン
- 観光
2度目のスペインの目的地はどこにする? マドリード・バルセロナ起点の行くべきエリア6選。
2023.1.16
キーワードで検索
ワーグナーがオペラ『パルシファル』でこの景観を舞台背景に使い、ガウディも訪れては建築のインスピレーションを得たというモンセラート。標高1235m の山の中腹には、11 世紀に創建されたベネディクト派の修道院がある。後に教皇ユリウス2 世となるジュリアーノ・デラ・ローヴェレも修道院長を務めるなどその権勢は強大なものだったが、1811 年にナポレオンのフランス軍によって破壊され、現在見られる建物のほとんどは19~ 20 世紀に再建されたものだ。
12 世紀にひとりの羊飼いが洞窟で黒いマリア像を見つけて以来、モンセラートは多くの巡礼者が訪れる聖地となった。ナポレオン軍が当地に侵略してきた際にも、このマリア像だけは土地の人の手によって隠され守られたという。また過去においてカタルーニャ語が何度か禁圧されたときも、ここだけは終始カタルーニャ語による祭儀をマリア像の前で行っていた。いわばカタルーニャ地方の守護神ともいえるものだ。そんなことを考えながら毎週日曜に修道院前の広場で踊られる民族舞踊サルダーナを見ると、カタルーニャ人の民族意識がひときわ強く感じられる。
モンセラートに到着したら、まず修道院付属の教会堂Basílica を目指そう。登山鉄道やロープウエイが到着する山頂駅からは歩いて5 分ほど。途中には、みやげ物屋、カフェテリア、ホテルなどが並んでいる。
教会堂の祭壇上部には、洞窟で見つかった黒いマリア像が祀られている。ラ・モレネータLa Morenetaと呼ばれるこのマリア像は、12 世紀のものと推測される木彫りの像で、聖母のひざに座るキリストは19世紀に復元されたもの。信者たちは教会堂の脇を通ってマリア像の前まで行き、祈りをささげている。
聖母像と並んで有名なのがエスコラニアEscolania と呼ばれる少年合唱隊。14 世紀から続くヨーロッパ最古級の少年合唱隊のひとつで、通常は13:00(日曜と祝日は12:00)から行われるミサでその美しい歌声を聴くことができる。
土曜、7 月上旬~ 8 月下旬、クリスマス、年末年始などは休み。詳しいスケジュールは以下リンクから確認できる。
時間があればケーブルカーFunicular に乗って、サン・ジュアンSanJoan の展望台まで上ってみよう。周囲には奇岩の山並み、そして天気がよければピレネー山脈から地中海まで、すばらしいパノラマが広がる。ここからは、かつて隠修士が住んでいたサン・ジュアン祈祷庵やサン・ジェロニ祈祷庵までハイキングも楽しめる。
また黒いマリア像が発見されたというサンタ・コバSanta Cova の洞窟へは、ケーブルカーの終点から徒歩20 分ほど。途中にはロザリオの秘跡を表す15 のモニュメントがあり、そのなかの第一秘跡『キリストの復活』はガウディの作品だ。洞窟は小さな礼拝堂になっており、マリア像の複製が置かれている。