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ヌーシャテル州の州都。アレクサンドル・デュマが「バターの塊をくり抜いた」と表現したように、黄土色の四角い建物と、赤茶色のツンととがった瓦屋根の旧市街の家々は、全体が柔らかな輝きをもっている。スイスのフランス語はベルギーのフランス語とともに、パリあたりのフランス人にからかわれがちだが、この地のフランス語はスイスのなかで最も純粋なフランス語と評価されている。ジュネーヴやヴォー州が、フランスでも山国のサヴォイの領土だったのに対し、ここヌーシャテルはパリジャンの香りを漂わせるオルレアン公の荘園だったから、その違いが出るのサ、と土地の人は言う。
ジュネーヴからIC(1時間に1本)で約1時間10分、ベルンから35〜50分、ローザンヌからICで約40分、バーゼルからIC(OltenもしくはBiel/Bienne乗り換え)で約1時間30分。
ヌーシャテルの駅は湖を見下ろす高台にあり、湖岸に開けた町の中心へは坂を5分ほど下る。
駅前の通りを渡るとすぐ下にデュ・ペイロの館Hôtel du Peyrouが見える。18世紀に建築されたこの邸宅は、ジャン・ジャック・ルソーの友人デュ・ペイロの住まいだった。その美しい庭園を抜けて町なかへ下ることもできるが、旧市街へはバスの通る駅前通りAv. de la Gareを下ると早い。5分ほどで市庁舎前に出る。右側に建つ市庁舎Hôtel de Villeは、18世紀末の建築。内部に、当時のヌーシャテルの町の模型が展示されている。
湖に向かって市庁舎通りRue de l'Hôtel-de-Villeを行くと、船着場の手前の左側に中央郵便局がある。観光案内所はこの中に入っている。船着場のすぐ西の河岸には、ヌーシャテル湖の眺めがすばらしい公園がある。
さて、旧市街へは先ほどの市庁舎前の広場へ戻り、市庁舎の北側から西に入る。16世紀の泉を見ながら細い坂道を上っていこう。バターの塊のような町並みが続き、強い日差しでフニャフニャに溶けてしまいそうな家の窓辺には、ゼラニウムの赤と緑がアクセントをつけている。上り詰めた所が参事会教会Eglise Collégialeと城Château。城内に教会大学と刑務所があり、城の一部は州庁舎として使用されている。
城から下る途中には牢獄塔Tour des Prisonsがある。坂道をさらに下って、旧市街で最もにぎやかな一角、市場広場Pl .des Hallesへ出てみよう。小さな広場の大部分はカフェのテーブルで占められていて、老夫婦がのんびりコーヒーを飲んでいたりする。広場の北側、通りにせり出すように建つ趣のある建物(現在はレストラン)が、1570年頃建築の中央市場Maison des Halles。領主オルレアン公が所有したことを示す紋章が見られる。
市場広場からさらに湖に向かって進むと、バス停があるピュリー広場Pl. Puryに出る。ヌーシャテルの町の建設に莫大な資産を投じた資産家の名前がつけられたこの広場は、町の交通の中心になっていて、町を走るすべてのバスやトラムがここを通過する。