キーワードで検索
シオンはヴァリス州(=ヴァレー州)の州都だけあって活気のある明るい町。人口は約3万5000人と大きい町だが、昔ながらのたたずまいを残す旧市街があり、のんびり歩いて回るのにちょうどよい広さだ。夕方になるとレストランの外にテーブルと椅子が並び、小路は人でいっぱいになる。歴史的な建物や博物館がある文化的な町であるとともに、ウインタースポーツの基地としても有名だ。この町のランドマークともいえるのが、ヴァレールValèreとトゥルビヨンTourbillonのふたつの丘の上に建つ古い教会と城。ブリーク方面から列車に乗った人は、シオン駅への到着直前に、右の車窓を眺めていると見えてくる。
ブリークから列車で30〜40分、モントルーから35〜50分、ローザンヌから55分〜1時間10分、ジュネーヴから1時間45分〜2時間、ベルンからフィスプ乗り換えで1時間30分。
駅前周辺は新市街なので、見どころが多い旧市街へ向かおう。シオン駅前から正面に延びる広い通りがラ・ガール通りAvenue de la Gare。ここを真っすぐ10分ほど歩いてローザンヌ通りRue de Lausanneを地下道で渡ると、赤茶色の敷石を敷き詰めたモダンなプランタ広場Place de la Plantaに出る。このあたりから丘の上の教会が見える方角が町の中心部。観光案内所はこの広場から徒歩2分にあり、おもな見どころもほとんどこの周辺に固まっている。ローザンヌ通りを、教会方面に突き当たりまで行って左に曲がって少し進むと、通りの右側に市庁舎Hôtel de Villeがある。1657〜1665年にルネッサンス様式で建てられた白色の建物で、上部には天文時計が取りつけられていたが、現在は取り外されている。
市庁舎の横の路地を上っていくと左側に、ヴァリス地方ゆかりの画家やヴァリスの人々や風景を描いた作品を集めた州立美術館Musée d'art du Valaisがある。もとは司教館の一部だっただけあって、石造りの城のような建物だ。中世の美しい建物を眺めながら散歩しよう。
坂道Rue des Châteauxをさらに行くと、上り詰めた所に駐車場があり、左右に道が分かれる。右へ行くと、町からずっと見えていたヴァレールの丘の教会へ、左に行くともうひとつの丘の上に見えるトゥルビヨンの城Château de Tourbillonにいたる。どちらの丘もきつい坂道を上ることになるので、時間をたっぷり取って、のんびり行こう。
教会と呼ぶにはその城壁はあまりにも武骨で、むしろ城塞に近いヴァレール教会Valère Basilicaは、ヴァレール城Château-église fortifiée de Valèreとも呼ばれている。12〜13世紀に建造され、フランス革命までは司教の居城であった。ロマネスクやゴシックの様式が混在している。内部にある世界最古の演奏可能なパイプオルガンは必見。教会には歴史民俗学博物館Musée d'Histoire(=ヴァレール博物館Musée de Valère)も併設されていて、家具や武器、衣類などが展示されている。
ヴァレールの丘の隣のトゥルビヨンの丘には1788年の火災で廃墟となった城が建ち、ヴァレールの丘と合わせてシオンの町のシンボルとなっている。