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山登りに縁のない人でも、アルプスの名峰モン・ブランの名を一度は耳にしたことがあるだろう。標高4808mのモン・ブランは、フランスとイタリアの国境にそびえるヨーロッパ大陸の最高峰。シャモニ・モン・ブラン(通称シャモニ)は、その北側の麓にあるフランス領の町だ。
4000m級の山々の懐深くに抱かれ、秘境と呼ばれるにふさわしいこの町が、リゾートとして、またアルピニストの登山基地としてにぎわい始めたのは、1786年のこと。この年の8月、長い間“魔の山”と人々から恐れられていたモン・ブランが、シャモニの猟師ジャック・バルマと医師ミシェル・パカールによって征服されたのだ。
この大冒険はヨーロッパ中の注目を浴び、アルプスの寒村にすぎなかったシャモニの名も一躍有名になった。以来、大勢の観光客や登山家たちがこの地を訪れるようになり、そのなかにはゲーテやバイロン、ジョルジュ・サンドなどの姿も見られた。200年ほど前まで、ジュネーヴからロバの背に揺られ10時間もかかった道のりは、今では車で1時間余り。町はしゃれた店が並ぶ洗練されたリゾートとなり、ロープウエイに乗ってモン・ブランの山のすぐそばまで気軽に行くこともできる。だが今でもアルプスの山々は、昔の人が驚嘆したであろうすばらしい景観を変わらずに見せてくれる。
ジュネーヴからの定期路線バスは駅前に到着する。駅前には何もないので、散策しながら観光案内所の近くにあるシャモニ・バスのターミナルGare Routiéreを目指そう。
駅前のミシェル・クロ通りAv. Michel Crozを進んでいくと、交差点の手前右側に山岳博物館Musée Alpinが見える。シャモニの歴史と登山史が詳しくわかる博物館だ。このあたりからは道の両側にみやげ物屋などが並び、人も増えてにぎやかになってくる。
川の手前を左に入るとソシュール広場Pl. de Saussureに出る。モン・ブランの初登頂を果たしたバルマと、賞金を設けて登頂成功に情熱を傾けたジュネーヴの科学者ソシュールを記念する、バルマとソシュールの像が立っている。バルマの指さす方向には、白き頂がまぶしいモン・ブラン、その手前には青白いボソン氷河Glacier des Bossonsが見える。そのまま歩いてきた方向に目をやると、駅の裏側の針葉樹が、圧倒的な高さで町を見下ろしている。
川を越えてすぐ左には郵便局、メインストリートのパカール通りR. du Dr. Paccardの両側には両替所が何軒か並んでいる。パカール通りはレストランやみやげ物屋が並び、華やかな雰囲気。夜遅くまで営業している店が多く、必要なものはほとんど揃えられる。さすがにスポーツ用品店が多い。パカール通りの1本奥のマジェスティック通りに観光案内所がある。観光案内所の奥に見えるのはステンドグラスが美しいサン・ミシェル教会Eglise St-Michel。シャモニ・バスのターミナルは観光案内所から南西に200mほどの所にある。シャモニの町は小さいので歩いて回れるが、少し遠く(グラン・モンテへのロープウエイ乗り場など)へ行くときには、ここからシャモニ・バスを利用するといい。
ジュネーヴから直通バスが1日1〜5往復。ダイヤは日によって異なるので要確認。途中で乗り継ぎの場合もあり。直通バスで所要1時間15〜30分。片道CHF30、往復CHF60。乗り場はモン・ブラン通り裏側にある観光バスターミナルGare Routiére