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スイスのチーズを代表するグリュイエールチーズは、この村の周辺で作られている。
村は、200mほどの石畳のメインストリート1本と中世の城からなる。時が止まったかのように静かで、かわいらしい村だ。古い家々のほとんどはチーズ専門店、みやげ物店、レストランなど。本場のフォンデュやラクレットを味わっていこう。
店の看板やみやげ物にツルの姿が多く描かれているのは、グリュイエールの“グリュGrue”がフランス語でツルを意味しているからで、この村のシンボルとなっている。
駅から村までは、小高い丘を登ること約15分。スイスの名だたる古城のひとつに数えられるグリュイエール城Château de Gruyèresは、11世紀から16世紀にかけて19人の伯爵が住まいとした歴史ある城だ。1938年以降はフリブール州が管理・維持をしている。内部は博物館になっており、代々伝わる家具や調度、絵画などの美術品が展示されている。
また、城へ行く途中には映画『エイリアン』の生みの親であるギーガーH.R.Gigerのギーガー博物館Musée HR Gigerがある。グロテスクでありながら、アート性を併せもつ独特の世界を展開するギーガーの、膨大な作品とシュールレアリズムのアートを中心とした彼の個人的なコレクションを展示。いかにものどかなこの村にギーガーの世界があること自体、まさにシュール。
チーズの里だけに、グリュイエールチーズ作りが見学できるところもある。駅前のチーズ実演製造所La Maison du Gruyèreは近代的な製法で、見学者はガラス越しに見て回る。入場者は試食用のチーズをもらえたり、日本語のオーディオガイドがあるのがうれしい。
また、グリュイエールからバスで15分ほどのモレゾン村Molèsonには、17世紀から伝わる手法でグリュイエールチーズを作っているチーズ小屋アルプス高原チーズ製造所From-agerie d'Alpageがあり、牛乳を入れた大鍋を薪の火にかけるという、昔ながらの製法でチーズを作っている。こちらの実演のほうが見て楽しい。モレゾン村からはケーブルカーとロープウエイで、モレゾン山Le Molèson(2002m)に上ることもできる。
グリュイエール駅からモレゾンへのバスは便数が少なく、チーズ製造の実演見学にちょうどいい便があるとはかぎらないので、十分な時間の余裕が必要。時間のない人は、ジュネーヴなどからグリュイエールとベルンをセットにした1日ツアーに参加するのも一案だ。
ベルンからはフリブールとビュールBulleで乗り換えて約1時間25分(ビュール間はバス便の場合もあり)。ローザンヌからはパレジューPleziéux乗り換えで1時間14〜16分。モントルーからはモンボヴォンMontbovon乗り換えで1時間8分。