ぜひ訪れてほしいデルフトの新名所!陶製のデルフト地図「Keramieken Kaart van Delft」

公開日 : 2021年11月06日
最終更新 :
筆者 : あお

こんにちは、デルフト特派員のあおです。

さて、ここまで長々と引っぱってきましたが、今回で最後の記事です。

最後に紹介するのは、2020年初夏に完成したデルフトの新たな観光名所「Keramieken Kaart van Delft」です。


Keramieken Kaart van Delft は、和訳すると「デルフトの陶製地図」。つまり陶器でできたデルフト地図です。

個人的にも思い入れのある作品で、この地図の存在を日本の皆さんにも知ってもらいたいという気持ちがきっかけで、この特派員ブログを始めました。

新名所と言いつつ完成からもう1年以上経過してしまいましたが、これからデルフトを訪れる方にはぜひ見ていただきたいスポットです。


事態が収束し、安心してデルフトへ旅行できるようになった際には、訪れてみてください。

Keramieken Kaart van Delft とは

Keramieken Kaart van Delftは、デルフト旧市街のメインストリートからすこし裏手に入った "Papenstraat"という路地にあります。
デルフトで一番有名なパン屋さん De Diamanten Ringの目の前にあるので、パン屋さんを目指せばあまり迷わず見つけられます。

この作品は、地図は地図でも、17世紀の黄金時代と呼ばれる頃のデルフトの古地図を再現しています。
ですから、いまのデルフトの町とはシンボルや町並みが異なります。


しかし、現代の地図と比べてみると、旧市街そのものの形や運河の位置は昔とさほど変わっていないことがわかり、歴史好きの心をくすぐります。




このデルフト地図制作を主導したのは、アーティストのNan Deardorff McClainさん。
多くのモザイク画作品を手がけ、2008年以降デルフトの町に数々の彩りを添えている方です。
本当に町のあちこちに彼女の作品があるので、作品探しをしながら町歩きをするのも楽しいかもしれません。


もともとオランダの古地図に惹かれていたというNanさんは、仲間とともにモザイク画でその地図を作ることを決意します。

地元の方に向けて何度もワークショップを開催し、精力的にプロモーション活動も行い、クラウドファンディングなどで資金集めもし、地道に賛同者を集め、制作を進めてこられました。

完成までに要した期間は約15ヵ月。その間、500人以上のボランティアの方が手伝ってくれたのだとか。

実は私もそのひとりでして、オランダに来て間もない頃でしたが、ご縁があってお手伝いに加わりました。

制作に協力する皆さん
制作に協力する皆さん

制作期間中は、近くを通りかかる人たちが立ち止まってはリーダーのNanさんに話しかけ、完成を楽しみにしている様子をよく目にしました。


しかし、制作活動も佳境に差しかかり、完成まであと少し!というところで、折悪く新型コロナウイルスの魔の手がオランダにまで到達し、活動は一時中断。

大人数の集まりは禁止されたので、最後は限られた人だけで細心の注意を払いながら、仕上げ作業を行いました。

そのため、結局私も参加できたのは数えるほどで、本当に残念でなりません......。



そうした苦境も乗り越え、2020年の6月。
最初のロックダウンが緩和されたあとに、ようやくお披露目のセレモニーが催され、デルフト市長が最後のパーツであるデルフト市庁舎をはめました。

こうしてデルフトに住む人々によって作られた地図が、晴れて完成したのです。

すべて手作り!いくら眺めていても飽きないディテールの細かさ

せっかくですから、地図をもう少し細かく見ていきましょう。


この地図は、陶製の建物や動物のパーツとモザイク画を組み合わせて作られています。
建物や動物などのパーツは、ワークショップに参加した方々が手作りしたものも多く含まれます。

そのためひとつとして同じパーツはなく、それによって地図のなかの町並みが人間味ある生き生きとしたものに見えてきます。

こちらは、デルフトのシンボル旧教会。

そしてこちらはマルクト広場にある新教会と旧市庁舎。
マルクト広場の左側に、黄色い足跡があるのがわかりますか?

これはこの地図の位置を示しています。


この地図、よーく見ると、通りの名前や有名な建造物の名前なども表記があり、現在の地図と照らし合わせながら見てみると一層楽しめます。

町を囲うようにして建ち並ぶ風車。昔は多く存在していたことがうかがえます。

以前も紹介した、Zuid Kolk。この頃も船が多く停泊していました。

こちらは昔の想像上の生き物でしょうか?気になります。

とんがり屋根が連なる家は立体的に作られています。歩行者がけがをしないよう、きちんとやすりをかけて角を削ってあるんですよ。

枠外にあるハートは、パンデミック初期にデルフトで新型コロナウイルスの犠牲となった方たちへの追悼の意味を込めて、完成直前に急遽追加されました。

自転車を停めないで!というオランダらしい注意書きもモザイクです。

地図のある"Papenstraat"の入口の足元には、こうしたモザイクタイルの目印もあります。
すこし見つけづらい通りとお伝えしましたが、足元にも注意して探してみてください。


完成後、私もよくこの近くを通りかかりましたが、地図に見入る観光客の方や地元の方たちの姿を常に見かけました。家族や友人と「ああだね、こうだね」と話しながら地図に見入る人々の姿を見るのは、一協力者の私にとっても喜ばしい光景でした。


こちらの地図は、デルフト内でも高く評価されています。
たとえば、2021年5月には、デルフトの美しい景観の発展に貢献したアートやプロジェクトを表彰する地元コンテスト「Le Comteprijs」で、5つの最終候補の中から見事グランプリを受賞しました。
・URL: https://www.delfia-batavorum.nl/stadsschoon/le-comteprijs/prijswinnaars


また、デルフトの公式観光サイトにも詳しく紹介されており、観光スポットとして着実に認知度を上げています。
公式観光サイトには英語版もありますので、ぜひ見てみてください。
・URL: https://www.delft.com/ceramic-map-of-delft

最後に

筆者のデルフト生活は、あいにくコロナ禍と丸かぶりしてしまい、ロックダウン中はできることも少なく、ただひたすらに町のなかを歩き回りました。

そうした生活の中で感じたのは、ありきたりですが、デルフトは歴史と文化、そして人のあたたかさにあふれた愛らしい町だということです。

日々見つかる小さな発見、何度見ても飽きない奥深さ。そうした魅力がぎゅっと詰まった場所でした。


コロナ禍での特派員活動となり、発信する内容にも制約が出てしまう部分もありましたが、いつかまた気軽に旅行ができるようになった日に『地球の歩き方』本誌やウェブサイトの補足として使っていただけるようなブログを目指しました。

ニッチな情報が多かったかもしれませんが、時間が経ってもデルフトを観光する方のお役に立てたら嬉しいです。

拙いブログでしたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

筆者

東京特派員

あお

東京らしい話題の場所からささやかな日常の風景まで、在住者目線で東京の姿をお届けしていきます。

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