【スコットランド】スコッチパイ

公開日 : 2023年05月14日
最終更新 :

「スコッチパイ」と聞いても日本人にはなかなかイメージしにくいこの食べ物は、スコットランドでは子供からお年寄りまで、誰からも愛される代表的なソウルフードの一つです。スーパーマーケットを始め、ベーカリー、コンビニエンスストア、肉屋など、どこでも簡単に手に入れることができ、食事として、またはスナックとして多くの人に食されています。
今回はそんなスコットランドで大人気のスコッチパイを紹介したいと思います。

スコッチパイとは

伝統的なスコッチパイの中身は、羊のミンチです。昔からスコットランド人に愛されてきた食べ物でその歴史は古く、500年以上前の文献にスコッチパイのことが記載されていた、という報告もあるようです。
現在では牛ミンチが主流となっていますが、時々はラムミンチが使われることもあるようです。つまりミンチのパイということですね。イギリスでパイといえば、ステーキ肉の塊やチキン、マッシュルームなど、大きな具材がソースと共にゴロゴロ入っているものが主流なので、このソースもない、シンプルなミンチのパイはやはりスコットランド独特のものといえるでしょう。

これがスコッチパイ。大きさは直径7cmほど。
これがスコッチパイ。大きさは直径7cmほど。
これが中身です。ミンチはぎっしり。でもソースがない。
これが中身です。ミンチはぎっしり。でもソースがない。

ペーストリーの比較と種類

ペーストリーが変わっています。普通「パイ」と聞いて思い浮かべるのは、あのサクサクのパイ生地だと思います。でもこのスコッチパイに使われているのは、ホットウォーターペーストリーと呼ばれる、薄くて硬い生地。
ホットウォーターペーストリーというのは、その名の通り熱湯に油脂を浮かし、そこに小麦粉を加えて作ったもので、あのバターが香るサクサク生地とは全く異なる食感です。

左がスコッチパイ。右がパフペーストリーのステーキパイ。
左がスコッチパイ。右がパフペーストリーのステーキパイ。

スコットランドにもパフペーストリーと呼ばれるパイ生地のパイはたくさんあります。それでもやはり主流なのはホットウォーターペーストリーのスコッチパイだと思います。イギリスでこのスコッチパイ生地はほとんど見かけることはないので、生まれ育った味、馴染の食感があるのでしょうね。とても興味深いです。
実はイギリスの代表するペーストリーは、もう一種類あります。それはショートクラストペーストリーと呼ばれるもの。日本でいうタルト生地と似ている、硬めのビスケットのような食感の生地です。イギリスではこのタイプのペーストリーがパイ生地と同等によく使われていて、デザート類の他にも食事系のパイや挽肉を包んだポークパイなど、人気のあるペーストリーとなっています。

ショートクラストペーストリーのポークパイ。サクサク、しっとりした生地が挽肉に合う。
ショートクラストペーストリーのポークパイ。サクサク、しっとりした生地が挽肉に合う。

実際に食べてみた

実際にスコッチパイを食べてみました。オーブンで温めて、チップスとベークドビーンズという豆を赤いケチャップソースで煮込んだものと一緒に頂きます。
外側のスコッチパイの生地はカリっとしていて軽いです。通常のパイ生地がサクサク食感ならば、このスコッチパイ生地はカリカリ、ポリポリといった感じ。軽くてシンプルで、脂っこさは感じませんね。中身のミンチはシンプル。胡椒がピリッと効いているけど、その他はお肉の味、といったところでしょうか。ソースが入っていないので、ベークドビーンズに浸しながら頂きました。
ソース入り、塊肉のサクサクパイを食べ慣れている私の夫(イギリス人)には、どうも物足りないようでしたが、私はあっさりしていて好きでしたね。ソースがなくてドライだけど、それが逆にサンドイッチと同様の軽食、ランチとしては便利だと思いました。

盛り付け例。日本人としては野菜は?と思うけど、これが通常です。
盛り付け例。日本人としては野菜は?と思うけど、これが通常です。

感想とまとめ

今回はスコットランドのソウルフードのひとつであるスコッチパイを紹介しました。一言でパイと言ってもペーストリーの種類も中身もいろんな種類があり、やはり生まれ育った、慣れ親しんだものが一番なんだな、と感じて興味深かったです。
このスコッチパイ、牛ミンチが主流だと書きましたが、最近ではスナックパイとしてミニサイズのものや中身がマカロニチーズのものもあるようです。パイの中身がマカロニチーズ(グラタンのようなもの。)?と驚きますが、こちらはホワイトソースと相まってしっとりしていて美味しいでよ。
皆さんもスコットランドにお越しの際には、ぜひ食べてみてくださいね。

筆者

イギリス特派員

ベイトマン明子

2023年に引っ越してきたばかりのスコットランドのあちこちを訪れ、皆様に報告できることを楽しみにしています。

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