オーバーエンガディン

スイス国内でイン川が流れる谷の長さはおよそ104km。南西の端がマローヤ付近で、北東の端がオーストリアの国境だ（オーストリア国内でさらに200km続く）。ツェルネッツを境に西側がオーバーエンガディン、東側がウンターエンガディンと呼ばれている。その違いははっきりしていて、オーバーのほうはもともと氷河のあった幅の広い谷をいくつもの湖を経由してゆったり流れているのに対し、ウンターのほうはイン川が浸食した深い谷が続いており、その流れも急だ。
オーバーエンガディンでは、風景が穏やかなだけでなく、そこに点在する村にも、ゆったりとした時間が流れている。ここでは平坦な湖沿いの道や、村の奥に続く道をのんびり歩くのが楽しい。本数は多くないが、バスも1日中運行しているので、スケジュールを確認しながら、いろいろな村を訪ねて歩こう。

サン・モリッツからイタリアとの国境に近い村、ソーリオまでは距離にして約33km。鉄道が通じていないこの谷の公共交通手段はバスになる。運行本数は多いが村によっては素通りしてしまうものもあるので、事前にスケジュールを確認しておきたい。
オーバーエンガディンの小さな村を訪ね歩くには、サン・モリッツでレンタカーを借りてドライブするのもいい。道幅はそれほど広くないが、谷に沿って走っている一本道なので迷う心配はない。