バーリ

Bari

南イタリアの玄関口

アドリア海に面したプーリア州の州都、バーリ。青い海とオリーブの巨木がどこまでも続く美しい風景が広がるプーリア州の交通の要所、観光拠点だ。この町からは幾重にも鉄道が延び、アルベロベッロをはじめ、マテーラなどへと続いている。

駅前の広場はシュロの美しいプロムナードで、南国の雰囲気満点。その先には南イタリアでも屈指の華やかなショッピングストリートが広がる。さらにその先の町北側は、細い小路に古い町並みが続く旧市街だ。路地にぎっしりと商店や家々が並び、昼間でもやや薄暗く、新市街を見た目にはまるでタイムスリップしたような気分。海岸通りLungomareへ出れば、紺碧の海が広がり、南イタリアの陽光があふれている。ほんの数百m歩いただけなのに、まるで別世界へ旅したような気分にさせてくれるバーリの町だ。

海岸通りのメルカンティーレ広場には屋台が出て活気がある。新鮮な魚介類を使った料理をはじめ、プーリア州はおいしいものの宝庫でもある。

南イタリアの交通の要、バーリの交通

バーリ中央駅
バーリ中央駅

バーリは空港から大規模な港湾施設、私鉄も含めた鉄道、バスなど、南イタリアの交通の要所だ。都市機能が充実しているし、近隣への小旅行の拠点にするのにちょうどよい。

空港

町から約9㎞に位置するバーリ・バレーゼ空港Aeroporto Bari Bareseはミラノやローマ、ボローニャをはじめヨーロッパ各地を結んでいる。空港からバーリの中心へは私鉄フェッロトラムヴィアリアFerrotramviaria(FT)が運営している鉄道とバスの2つの方法がある。バスは空港バス(ナヴェッタNavetta)と市バスの2種類ある。所要時間は地下鉄で14分。バスで25分~40分程度である。

バーリ中央駅

左がFerrotramviaria(バーリ・ノルド線)の建物。右はマテーラ行きのアップロ・ルカーネ線の入口
左がFerrotramviaria(バーリ・ノルド線)の建物。右はマテーラ行きのアップロ・ルカーネ線の入口

バーリの鉄道ターミナル駅はバーリ中央駅Bari Cetrale。トレニタリアをはじめとして、空港線Ferrotramviariaや世界遺産カステル・デル・モンテの最寄り駅であるアンドリアAndriaやバルレッタBarlettaへの近郊線を運営するFT社、アルベロベッロへ向かうスド・エスト鉄道Sud-est(FSE)、マテーラへ向かうアップロ・ルカーネ鉄道Ferrovie Appulo Lucaneの駅も隣接する。中央駅を背にした左にある近代的な建物がFerrotramviariaの駅、さらに隣接する1階にバールがある建物の2階がアップロ・ルカーネ鉄道駅である。スド・エスト鉄道のホームはトレニタリア駅舎の逆側(南側)にある。

長距離バスPullman

バーリからアルベロベッロ、マテーラ、ナポリなどを結ぶ長距離バス(プルマン)がある。ナポリへの乗り場は、鉄道駅の南側(スド・エスト鉄道のホーム側)の小さな広場Largo Sorrentino周辺から出発する。切符は広場のバールや駅前通り沿いのATS社の切符売り場(˙Via G.Capruzzi224/C-226)で購入する。バスは広場に発車直前に到着する。様々なルートのバスがあるので注意しよう。

十字軍遠征で栄えた11~12世紀、プーリア・ロマネスク様式の花が開いたバーリ

良港に恵まれ、地中海貿易の拠点として栄えたバーリ。紀元前3世紀頃にローマ帝国の支配下におかれ、西ローマ帝国の滅亡後はベネヴェント公国のロンゴバルト族とビザンチン帝国が覇権を競い、875~1071年までビザンチン帝国の支配下におかれ、南イタリアにおける東ローマ帝国の首都となった。1071年にはノルマン人の支配下となり、十字軍遠征の基地として町はより栄え、この時期にサン・ニコラ教会やカテドラーレが築かれた。その後のホーエンシュタウフェン家の時代に、守りの要としてノルマンの城に大幅な修復が施された。その後もアンジュー家、アラゴン家など次々に異民族支配を受けたが町は次第に衰退していった。

碁盤目状の新市街の近代的な町造りが行なわれたのは、19世紀になってから。町の拡張は経済の成長をもたらし、戦後の経済発展とともに、町は拡張していった。

おもな見どころ

サン・ニコラ教会(San Nicola)

聖ニコラ(サンタクロース)を祀る教会
聖ニコラ(サンタクロース)を祀る教会
聖体用祭壇の左に司教座が
聖体用祭壇の左に司教座が

石灰岩で造られ、天に向かって力強く立つ堂々とした教会。
小アジアで伝道に尽力したサン・ニコラ(サンタクロースの起源)を祀る場として名高く、地下のクリプタには遺骨を聖遺物として安置した聖ニコラの祭壇がある。バーリの守護聖人であるとともに、漁師や東方教会の守護聖人などであることから、東方からの巡礼者が熱心に祈る姿に驚かされる。

1087年に1人の修道士が建築に着手し、完成は1197年。正面扉口や左右の牝牛の彫像に見られるように、内部はプーリア・ロマネスク様式で飾られている。とりわけ注目したいのは、主祭壇の天蓋が飾る聖体用祭壇Ciborioとその前に置かれた大理石製のエリア大司教の司教座Cattedra marmoreal del Vescovo Elia。特に1098年製の司教座はプーリア・ロマネスクの傑作と、その表現力が高く評価されるもの。足元の獅子、座面を男たちが支え、美しくもロマネスク的だ。奥のボナ・スフォルツァの墓は16世紀後半のもの。翼廊右には17世紀の銀製のサン・ニコラの祭壇がある。階段から続く地下のクリプタは柱廊がアーチを描き、主祭壇下に聖遺物が収められている。教会の向かいには、
巡礼の柱廊Portico dei Pellegriniが再建されている。

住所
Largo Abate Elia 13
電話番号
080-5737111
開館時間
7:00~20:30(日曜日のみ~22:00)

サン・グレゴリオ教会(San Gregorio)

古代ローマの円柱が印象的
古代ローマの円柱が印象的

サン・ニコラ教会前の広場に面した10世紀に創建されたバーリ最古の教会。ファサードはプーリア・ロマネスク様式。古代ローマ時代からの古色蒼然たる円柱が、静かな堂内を支えている。

住所
Piazza LⅩⅡ Mariani
電話番号
080-573700
開館時間
日曜日9:00~13:00

カテドラーレ(Cattedrale)

まぶしい光に映えるドゥオーモ
まぶしい光に映えるドゥオーモ
円柱と三連窓の内部の調和がすばらしい
円柱と三連窓の内部の調和がすばらしい

11世紀前半に創建されたプーリア・ロマネスク建築の傑作。
旧市街を分け入ってたどり着く。ファサードのバラ窓の周囲には、怪物や空想上の生き物が彫り込まれている。三廊式の内部にはプーリア・ロマネスク。13世紀の用材の断片を集めて造られた身廊の説教壇が見事だ。隣接する美術館の宝物や写本も一見の価値あり。

ノルマンの城(Castello Normanno Svevo)

フリードリヒ2世の築いた塔が残る
フリードリヒ2世の築いた塔が残る
矢尻形の堡塁は、16世紀のもの
矢尻形の堡塁は、16世紀のもの

ノルマン時代(11世紀)の1235年にフリードリッヒ2世によって築かれた。当初4基あった塔のうち2基が今に残る。
後のスペイン人支配の影響が、矢尻形の四角い堡塁に見られる。アラゴン家の時代にはイザベッラのための豪華な宮殿となった。ブルボン家時代には牢獄や兵舎として使われてきた。内部には、バーリのカテドラルの正面を飾った彫刻や建物の一部、プーリア各地から運ばれたロマネスク様式の彫刻などを展示。

住所
Piazza FedericoⅡdi Svevia 4
電話番号
080-5754201
開館時間
8:30~19:30 ※切符売り場は~18:30
休館日
火曜日、5/1、12/26
入場料
€6(特別展の場合€9)

その他の見どころ

夕暮のメルカンティーレ広場
夕暮のメルカンティーレ広場

旧市街の先、サン・ピエトロ考古学公園内のかつての修道院に考古学博物館Museo Archeologico di Santa Scolasticaがあり、紀元前7~3世紀のプーリア州の歴史を展示。
夏の夜には、ぜひサン・ニコラ教会の手前、港に近いメルカンティーレ広場Piazza Mercantileへ。飲食店が集中する界隈で揚げポレンタPolenta fritteや小さな揚げパン=Popizze(Pettole)の屋台は大行列。町中では見られないにぎわいと活気にビックリだ。

考古学博物館(Museo Archeologico di Santa Scolastica)
住所
Lungomare Imperatore Augusto-Piazzale Cristoforo Colombo
電話番号
389-2331645
開館時間
10:00~17:00、日曜日10:00~14:00
休館日
月曜日、祝日
入場料
€5

楽しい新市街

新市街、駅前から延びるスパラーノ通りは南イタリアでも屈指のショッピングストリート。
グッチ、エルメス、ヴィトンなどの高級ブランド店から骨董品店、宝石店などがめじろ押し。南イタリアの豊かな一面を見せてくれ、ウインドーショッピングが楽しい。

写真

  • メルカンティーレ広場で

    メルカンティーレ広場で

  • シュロの美しい駅前のプロムナード

    シュロの美しい駅前のプロムナード

  • 旧市街の路地で遊ぶ子どもたち

    旧市街の路地で遊ぶ子どもたち

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