【日本のこと、どれだけ知ってる?】インバウンドガイドが教える「シェアしたくなる”日本の魅力”」~「日本食」&「建築」編~

公開日 : 2022年09月17日
最終更新 :
新倉山浅間公園
新倉山浅間公園

地球の歩き方 旅の読み物、第1弾『今こそ学びたい日本のこと』でコラボしたインバウンドツアー会社、マジカルトリップ。数々の訪日外国人の質問にこたえ、日本をより深く楽しんでもらうためのお手伝いをしてきたマジカルトリップのガイドが「シェアしたくなる”日本の魅力」を紹介! 前半「日本食」と「建築」、後半「庭園」と「伝統工芸」の4つのテーマにてお届けします。

日本の魅力① 「日本食(和食)」~盛りつけ~

日本の魅力① 「日本食(和食)」~盛りつけ~
刺身の盛り合わせ

日本人の伝統的な食文化、「和食」。和食は2013年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。季節の野菜を取り入れた健康的な食文化は、海外でも「ヘルシー!」と多くの支持を得ています。

そんな和食をより深く楽しむキーワードは「盛りつけ」。

刺身や天ぷらの盛り合わせが立体的に盛りつけられることは、日本人なら誰しもが知るところだと思います。では、一体なぜ立体的な盛りつけとなったのでしょうか?

それは日本が古くから「箸を使う文化」であり、立体的な盛りつけの方が箸で掴みやすいからです。一方、西洋ではナイフやフォークを使用するのが一般的なので、ナイフで切りやすいように平面的な盛りつけになっています。そのため、西洋の人にとっては、「立体的な盛りつけ」というだけでユニークに見えるのです。

さらに、日本語で「奇数」は「喜数」とも読めることから「縁起がよい」とされ、刺身の数などは3、5、7種盛りというように奇数で盛られることも多いです。 普段なにげなく食べている料理に、こんな”日本の魅力”がつまっているとは……! 料理屋や居酒屋を訪れた際には、一緒にいる人や周りの人に伝えてみてください。

日本の魅力① 「日本食(和食)」~居酒屋~

日本の魅力① 「日本食(和食)」~居酒屋~
日本の魅力のひとつ、飲み屋街の居酒屋

もうひとつ、日本の「居酒屋」文化もまた、海外の人を魅了しています。

西洋では、食事をするレストランとお酒を飲むバー(もしくはパブ)は分かれていることが多く、食事をしながらお酒も楽しめる居酒屋は、海外の人の目にはとてもユニークに映ります。マジカルトリップでも「居酒屋飲み歩きツアー」は大人気です。

食事のメニューが多いこと、大人数でシェアしながら小皿に分けて食べること、ビールだけでなく日本酒、焼酎、梅酒などお酒の種類が多いことなどが、人気の理由。「飲み放題」「はしご酒」「せんべろ」「シメのラーメン」など、居酒屋好きなら誰もが知っている、日本ならではの言葉を、お酒の楽しみ方とともに教えるのも◎!

マジカルトリップの飲み歩き&フードツアー
マジカルトリップの飲み歩き&フードツアー

箸は1400年前ほど前に隋から伝わり、聖徳太子により広められました。食前に箸を食べ物の前に置くのは、実は小さな結界の意味をもつといわれています。箸は神・自然と人間界の境界線を引く役割をしており、「いただきます」と一礼し、手にして結界を取ることで、神・自然の恵に感謝するという意味があるといいます。

また、日本の居酒屋文化とは切っても切れないのが「接待」。仕事とプライベートを分けて考える西洋の人にとっては、実は接待もユニークな文化です。乾杯をする際、接待をする側が先方よりグラスを下げて乾杯することや、日本では「手酌をすると出世しない」といわれることから、グラスにお酒がなくなったら注ぎ合うことなども、訪日外国人が帰国後に話したくなるような日本のサラリーマン文化だと思います。

日本の魅力② 「建築」~木造建築~

日本の魅力② 「建築」~木造建築~
京都の町屋建築

日本の建築も、海外の人から見るとユニークな魅力がたくさん!

昔ながらの日本の家を想像すると、夏に縁側でスイカを食べる風景を思い浮かべる人も多いかと思います。日本は高温多湿の気候のため、風通しがよく、湿気を逃しやすい「木造建築」になっています。

そのため、家の壁は薄い傾向があり、日中は戸を全開にして、夜は雨戸を閉めることが一般的でした。室内も頑丈な扉ではなく、襖や障子など、木材や和紙を使用した湿気を吸いやすい設計になっています。また地震が多いため、揺れに対する柔軟性の高い木材が使用されてきたという背景もあります。

海外の人が日本の古い建築を見ると「こんなに壁が薄く無防備で、防犯は大丈夫なの?」と疑問をもつことがあります。日本は島国のため海で隔たれており、諸外国から攻められることが少なく、比較的治安がよかったこともあり、このユニークな建築が確立されたといえるでしょう。

『今こそ学びたい日本のこと』P.134より
『今こそ学びたい日本のこと』P.134より

また、地震の衝撃に耐えられるよう、釘やボルトを使用せずに木材を組み合わせる「木組」の技術は日本建築の神髄です! 「木組」は平安時代以前より存在しており、世界最古の木造建造物である奈良の法隆寺にも使われています。木材同士の隙間にすっぽりおさまって一体化するので、地震の揺れの衝撃を全体に分散させ、耐久性を高める仕組みになっていて、古くから宮大工が用いてきました。日本の古い寺社仏閣が今も現存しているのは、この木組のおかげといっても過言ではありません。

日本の魅力② 「建築」~ヨーロッパとの違い~

日本の魅力② 「建築」~ヨーロッパとの違い~
『今こそ学びたい日本のこと』P.135より

一方、西洋では地震が少なく寒い地域が多いため、石やレンガを積み重ねる石造りやレンガ造りが主流となっています。風通しがよくない分、外気の空気が入りにくく、室内は熱が籠りやすい造りとなっています。

また、隣国と陸続きのことも多いため、他国が攻めてきた時には頑丈な石やレンガは防壁やシェルターの役割も担います。このような地理的気候的な違いから建築の違いが生まれたのでしょう。

ぜひ日本を旅する時は、西洋や他国の文化と比較して、「日本がいかにユニークなのか」を感じ、新たな視点で旅を楽しんでみてください!

次の記事では、【「庭園」&「伝統工芸」編】をお送りします。お楽しみに!

日本の魅力の再発見ができる1冊が誕生!

あなたは、日本のことをどのくらい知っていますか?
この国の文化や歴史、習慣について世界の人々に説明することができますか?

日本がもつ独特の文化や景観は、いまや世界中から愛され、年間3000万人もの外国人が日本を訪れる時代になりました。彼らの目に映る日本はどこまでも新鮮で、美の宝庫。私たち日本人が気づいていないこの国の魅力をキャッチしているのです。

本書は、1万人の訪日外国人をガイドしてきた旅のプロが、こうした「外からの目線」で日本を切り取った、まさに日本人のための日本案内本。エンタメ、食文化、職文化、日本人の心(ジャパニーズスピリット)、地理的・文化的特徴、信仰(宗教)、日本人のルーツと歴史、日本各地の魅力の8テーマで、「日本人が知らない日本」という切り口で紹介します。

ページをめくり、異国を旅するように、“日本”と出合ってください。
きっと、身近な誰かに、世界の人々に、日本の魅力をシェアしたくなりますよ。

※当記事は、2022年9月17日現在のものです

TEXT: 蜂谷翔音、松本まさ
PHOTO: istock

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筆者

地球の歩き方書籍編集部

1979年創刊の国内外ガイドブック『地球の歩き方』の書籍編集チームです。ガイドブック制作の過程で得た旅の最新情報・お役立ち情報をお届けします。

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