スペインに来たら絶対に食べるべきメニューとマドリードのおすすめ店

公開日 : 2022年11月28日
最終更新 :
筆者 : 今岡史江

一般的にスペイン料理と聞いて、まず思い浮かぶの食べ物はパエリア、生ハムあたりでしょうか。スペインでは地域によって、魚介類のおいしい地域や肉料理のおいしい地域など同じ料理でも随分内容が変わります。そのなかでも地中海の島や沿岸の料理はシンプルな調理法で食材の旨味を引き出すものが多く、日本人の口にとても合います。スペインに来て間もないころ、魚の塩釜焼があったり、エイの日干し(フォルメンテーラ島)を食べると知ったとき、なんて日本的、と驚いたことを覚えています。
地中海料理だけでなく、各地の郷土料理のなかで、ぜひ本場で食べていただきたいおすすめ料理とマドリードのお店をピックアップして紹介します。

1)スペイン人に交じってバルで食べたい!「タパス」料理

©iStock

まず始めに、スペインに着いたらバルを何軒かのぞいてみてください。バルとは、バーカウンターのある、お酒も飲めるカフェのようなもので、スペイン人はとにかくよくバルに行きます。毎朝出勤途中でバルに寄りコーヒーを飲む人、子供たちを送ったあと、バルで朝食を取り出勤するお母さんなど。昼食の時間の遅いスペインでは、メリエンダという間食を取る時間が20分程あります。するとバルに行くのです。週末は昼食前のアペリティブ(ビールやベルムゥ)を飲みにバルに行き、オリーブの実を食べたりしながらテラスに座る、これは筆者も大好きな習慣です。

そのバルでぜひ食べていただきたい「タパス(Tapas)」という小皿料理、日本のお惣菜のような料理があります。ショーケースの中に並んでいるものもあれば、注文してから作ってくれるものもあります。1軒のバルにすべての種類はなく、季節や地方によって、さまざまなメニューが存在します。またレストランのメニューに組み込まれていることもあります。地元の方がそうしているように、はしごバルホッピングをして多くのタパスを試してみてください。

最近では、タパスの代わりに「ピンチョス(Pinchos)」を置くようになった店も増えてきています。「ピンチョス」の発端はバスク料理店で出される「ヒルダ(Gilda)」というピクルスとオリーブとアンチョビーの串刺しのこと。そこから発展し、パンの上にさまざまな具材をのせて、崩れないように楊枝でとめてあるものをピンチョスというようになりました。今ではスペイン中に広がり、タパス同様ショーケースに並んでいる中から好きなものを選んで食べます。冷たいものから温かいものまでそのトッピングは店に寄りけりです。手で取れるので、立食パーティーなどにもよく使われ、見た目にもきれいなのが人気の秘密です。以下は筆者のおススメタパスです。メニューにあったらぜひ試してみてください。

<タパス おすすめメニュー>

●魚介類
 メヒジョーネス・アル・バポール (Mejillones al vapor)
 (ムール貝のワイン蒸し。レモンの輪切りを入れて蒸します)
 メヒジョーネス・ア・ラ・マリネラ (Mejillones a la marinera)
 (ムール貝のワイン蒸しに炒めた野菜のソースをあわせたもの)
 ボケローネス・エン・ビナグレ (Boquerones en vinagre)
 (カタクチイワシの酢漬け)
 プルポ・ア・ガジェゴ(Pulpo a Gallego)/プルポ・ア・フェイラ
 (ポテトの上に茹でたタコをのせ、粗塩とパプリカをかけたもの。ガリシア名物) 
 ガンバス・アル・アヒージョ (Gambas al Ajillo)
 (ニンニクをきかせたエビのオリーブオイル煮)
 チピロネス・フリトス(Chipirones fritos)/チョピトス・フリトス
 (ホタルイカのフライ。レモン汁をかけてあっさりと)
 ナバハス・ア・ラ・プランチャ (Navajas a la plancha)
 (巻貝のソテー)
 ブニュエロス・デ・バカラオ (Buñuelos de Bacalao)
 (鱈のフリッター。コロッケとは違い軽く柔らかい)
 カラマーレス・レボサードス (Calamares rebosados)
 (いかのリング揚げ)

●肉類
 アルボンディガス (Albóndigas)
 (スペイン風ミートボール)
 カジョス (Callos)
 (牛のモツの煮込み。マドリッド料理)
 ハモン・セラーノ/ハモン・イベリコ/ハモン・イベリコ・ベジョタ
(Jamón serrano / Jamón ibérico / Jamón ibérico bellota)
 (生ハム)

●野菜
 ピミエントス・デ・パドロン (Pimientos de padrón)
 (しし唐の素揚げ。上からかける粗塩との相性が絶妙)
 ピミエントロッホ・アサード (Pimiento rojo asado)
 (赤ピーマンのオーブン焼き。とても甘いんです)

●その他
 クロケッタ (Croquetas)
 (生ハムや鱈や鶏肉とベシャメルソースのコロッケ)
 トルティージャ・デ・パタタ (Tortilla de patata)
 (フライドポテト入りのオムレツ)
 パタタス・ブラバス (Patatas bravas)
 (厚めのフライドポテトにトマトベースのブラバソースをかけたもの)
 カラコーレス (Caracoles)
 (かたつむり。フランスのエスカルゴより小さく、アンダルシアのは特に小ぶり)

マドリードのタパスがおいしいバル

マドリードではプラサ・マヨールの隣のサン・ミゲル市場(El Mercado de San Miguel)(この市場も是非覗いてみてください) からカバ・デ・サン・ミゲル通り(Cava de San Miguel)カバ・バッハ通り(Cava Baja)にかけてバルが軒を連ね、またカイエ・デ・ラ・クルス通り(Calle de la Cruz)にもバルが並んでいます。カバ・バッハ通りでは『タベルナ・テンプラリーニョ』、カバ・デ・サン・ミゲル通りでは『メソン・デル・チャンピニョン』『メソン・デ・ラ・トルティーリャ』『メソン・デル・ボケロン』などがあります。

2)パエリアだけじゃない! 米・パスタ料理

●米料理「パエリア(Paella)/パエージャ」

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パエリアはバレンシアが起源ですが、今では地中海沿岸地域の家庭料理といえます。その種類も十数種にもなりますが基本的なものをあげてみましょう。
 マリスコス:魚介だけ
 カルネ:豚肉と鶏肉入り
 ミクスタ:魚介と肉入り
 ベルドゥーラ:野菜のみ
 バレンシアナ:ウサギ肉やカタツムリを入れたりするバレンシア風
 ネグラ:イカ墨
 フィデウア:米の代わりにマカロニより細くて丸いフィデウアというパスタを使用した麺のパエリア

材料も作り方も地方や店により異なります。フィデウアの代わりに極細の短いパスタ(フィデオス) を使う店もありますし、お米の炊き上がり具合や味もさまざまです。

マドリードのパエリアのおすすめ店

マドリードでパエリアを食べるのならラ・バラッカがおすすめです。ミックスパエリア(18.50€)など。

店名
ラ・バラッカ(La Barraca)
住所
Calle de Reina 29
営業時間
13:30 ~ 16:15, 20:30 ~ 23:45
URL
www.labarraca.es

●魚介のスープやリゾット「カルデレタ・デ・ぺスカード・イ・マリスコス (Caldereta de pescado y mariscos) 」

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地中海地方の名物です。基本はおいしい魚のスープ。地中海料理定番のにんにく、トマト、玉ねぎ、パセリ、そしてサフランとスープ用の魚をふんだんに使って作ります。その魚のスープにアンコウやハタ、イカ、ムール貝、エビを入れます。
 
その魚介のスープをカタルーニャでは「サルスエラ(Zarzuela) 」と呼びます。そのスープに米を入れて煮込むと「アロス・マリネラ(Arroz Marinera) 」。マジョルカとイビサの名物です。バレンシアでは「アロス・カルドッソ(Arroz Caldoso) 」 と呼びます。
そのスープにイセエビを入れると「カルデレタ・デ・ランゴスタ(Caldereta de Langosta) 」。イセエビが捕れるメノルカ島とフォルメンテーラ島の名物です。
初めて食べた「アロス・マリネラ」があまりにもおいしくて、筆者はパエリアよりも先にこの魚介のリゾットの作り方を教えてもらったくらいです。

マドリードの魚介スープのおすすめ店

イセエビ入りの「アロス・カルドッソ(Arroz caldoso) 」(2名以上の注文、1名26.5€) が食べられる店があります。プエルタ・デル・ソルとプラド美術館の間にあるこの店で試してみませんか。

店名
マリーナ・ベンチュラ(Marina Ventura)
住所
Calle de Ventura de la Vega, 13
営業時間
月~木:13:00~16:00、19:00~24:00 金~日:13:00~24:00
URL
https://arroceriaventura.es

●スペインのパスタ「フィデウア(Fideuá )」

パスタと言えばイタリアの名物ですが、スペインではマカロニより細くて丸く、お米の代わりによく使われる「フィデウア」が唯一スペイン料理と言えるでしょうか。マドリードの煮込み料理「コシード・マドリレーニヨ」は最初に極細のパスタ「フィデオス」の入ったスープが出されます。こちらでは家庭でもスープの中にフィデオスをよく入れます。
19世紀にイタリアより伝わって以来、カタルーニャでは12月26日にほぼどこの家庭でも「カネロネ」(Canelones) を作ります。それはクリスマスで食べきれなかった肉や、スープに使った肉のガラを有効利用する意図から始まったのだそうです。イタリアのカネロネは生肉のまま中の具を作り、最後に人参とセロリのソースを添えますが、スペインで食べるカネロネは肉を最初に調理してから中の具を作り、ベシャメルソースとトマトソースで仕上げます。

筆者

スペイン特派員

今岡史江

1993年よりスペイン在住。車好きが高じて自動車整備士の資格をとり、ただ今トヨタ・イビサでメカニック中。

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