82. ヒヴァに行かなくても食べられる!摩訶不思議な地方料理ホラズム料理をタシケントで味わおう

公開日 : 2022年12月17日
最終更新 :

サローム(こんにちは)!

広いウズベキスタンの中でも、砂漠の中の世界遺産都市ヒヴァがある北西のホラズム地方(XorazmまたはKhorezm)は、かつてホラズム王国やヒヴァ・ハン国といった独自の王国があっただけあって特殊な地域といわれています。ウズベク語のホラズム弁は特徴的な方言で、この言葉を話すとどこの地域にいてもあ、ホラズム人だねとバレてしまう(らしい)。宗教色は薄く、皆陽気で何かあるごとにお酒を飲んで踊りだしてしまう...というのが彼らのステレオタイプです。確かにこの地方の伝統舞踊、ラズギダンスはウズベク人の誰もが知っており、他の地域でもよく踊られているほどです。

そして独特なのは食文化も同様。ぜひヒヴァに立ち寄ってホラズム料理を食べていただきたいのですが、タシケントからは飛行機か夜行列車でないとアクセスできず、ウズベキスタン旅行の際は泣く泣く行程から外した方も多いはず。ところがタシケントにもこのホラズム料理が食べられるお店があるのです!本日はそのお店を、摩訶不思議な料理とともにご紹介しましょう。

お店の名前はカミシュ。地下鉄ノヴザ駅から徒歩圏内の好立地です。入口にはさっそく見慣れない料理写真が並んでいるほか、

ホラズム料理レストラン・カミシュ 入口

ホラズムプロフやホラズム産川魚の文字も出ており、さっそくホラズム愛(?)をアピールしています。

ホラズム料理レストラン・カミシュ 外観
ホラズムプロフは他地域より油が少なく、また魚料理も有名。今回は食べられませんでしたがまたの機会に...。

聞くところによると、ここはやはり故郷の味が恋しいホラズム民がよく集まっているよう。東京の沖縄料理屋で沖縄県民が集まるのと同じノリでしょうか。さらに以前ホラズム地方の中心都市ウルゲンチで働いていた私の知人の日本人たちも、ホラズムの文字に惹かれたのかわざわざタシケント滞在時にここで食事したことがあるそうです。恐るべしホラズムパワー...。
私が行ったのは平日昼下がりだったため、あいにくお客はまばらでホラズム民を見つけることはできませんでした。店内は2階建てですが、1階は飲酒禁止、2階ならお酒が飲めるとのことで迷わず2階へ向かって生ビールを注文。

ホラズム料理レストラン・カミシュ 生ビール

メニューを見ると、さっそくタシケントではお目にかかれない料理の数々が見つかります。このお店での私のターゲットは2つ、ホラズム料理代表格の「トゥフムバラク」と「シュヴィト・オシュ」。もちろんメニューにもあったので早速注文します。

まずはトゥフムバラクが運ばれてきました。バラクとは一般に水餃子のことで、ロシアのペリメニにも似た料理。
ところがこのトゥフムバラク、見た目が何と真っ黄色。そう、トゥフムとはウズベク語で卵の意味で、トゥフム・バラクとは卵が入った餃子のことなのです。

ホラズム料理レストラン・カミシュ トゥフムバラク

ひき肉ではなく卵が入っただけで食感が全く異なり、他の卵料理と全然違うような何とも形容しがたい味が口の中に広がります。ディップ用のヨーグルトもついてくるので、味変にどうぞ。
実は日本滞在時にこのトゥフムバラクを作ろうとしたことがあったのですが、何度やっても皮から卵液がこぼれてしまい、作るにはなかなか難易度の高い料理と判明したのでした。この薄い皮でどうやって作っているのか、そもそも餃子のような料理は世界各地にあるのに、最初に作った人はどうして卵を入れてみようと思ったのか...。

メニューを見ると、このトゥフムバラクがもりもり載ったハンスキー・ミクス(王のミックス)なるメニューもありました。見た目も美しいので大勢で来られた際はぜひ!

ホラズム料理レストラン・カミシュ メニュー

続いてシュヴィト・オシュ。シュヴィット・オシュやシヴィット・オシなどの表記も見られますが、『地球の歩き方 中央アジア』の料理ページにも載っているそこそこ有名な料理です。といっても基本的にはヒヴァなどのホラズム地方でしか食べられない貴重な料理。

こちらも見た瞬間からインパクト絶大。麺がまさかの緑色!

ホラズム料理レストラン・カミシュ シュヴィト・オシュ

まるで海藻を思わせる見た目ですが、もちろんド内陸国のため海藻などあるわけがありません。この正体は香草を練りこんだ麺で、普通の麺料理とは異なる爽やかな風味が味わえます。この料理は当地では夏限定の料理で、確かにこのさっぱりした麺は砂漠の熱波に襲われるホラズム地方の夏にぴったりの料理かもしれません。
しかしこれもまた凝った料理ですこと。何で他の地域では思いもよらないようなこんな料理を発明してくるんだろう...。

もちろん郷土料理はその地で味わうのがベストですが、タシケントで変わり種のウズベク料理を食べたくなった時はぜひこのお店を候補に入れてくださいね!

ホラズム料理レストラン・カミシュ ロゴマークと10万スム札
お店のロゴはヒヴァの旧市街イチャン・カラのシルエット。同じ図柄がモチーフの10万スム札と重ねるとこの通り

それではコルシュグンチャ・ハイル(また会う日まで)!

■カミシュ Qamish

住所
159 Muqimiy ko'chasi, Toshkent
電話番号
+998-99-868-2800
営業時間
11:00~23:00
アクセス
地下鉄ノヴザ駅より徒歩約5分

筆者

ウズベキスタン特派員

伊藤 卓巳

根っからのスタン系大好き人間です。まだまだ知られていないウズベキスタンの魅力や情報を、サマルカンドより愛をこめてお伝えします!

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。