一度は見たい!! フィエスタの国スペインのお祭り5選

公開日 : 2023年01月23日
最終更新 :

日本でもたまに耳にするフィエスタという言葉は、スペイン語で“お祭り”という意味です。スペインはフィエスタの国。年間を通してあちこちでお祭りが催され、今では大事な観光資源にもなっています。お祭り好きの筆者が、おさえておきたいスペインのお祭り5選を紹介します。

世界一華やかで粋と言っても過言ではないセビーリャの春祭り

馬車に揺られる着飾ったセビーリャっ子達
©iStock
馬車に揺られる着飾ったセビーリャっ子達
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フラメンコや闘牛、ひまわり、陽気な人々といった日本人がイメージするスペインそのもののアンダルシア地方。アンダルシアの各地では、フェリアと呼ばれるお祭りが開かれます。その中でも特に規模が大きく有名なのが、4月か5月に催されるセビーリャです(移動祝日で毎年日付が変わります)。

専用の大きな会場には、1000を超えるカセタと呼ばれるカラフルなお祭り小屋が並び、移動遊園地も設置されます。会場を歩くと、フラメンコ風の民族衣装で着飾った女性やスーツできめた男性たち、また昼間はよく手入れされた美しい馬や馬車が行き交い、セビジャーナスというフラメンコによく似た民族舞踊が踊られ、とても華やかです。多くのカセタはプライベートなので招待がなければ入れませんが、外から見るだけなら問題なし。また、誰でも入れるパブリックのカセタもあるのでご安心を。

フェリアはコルドバでは5月、マラガでは8月など、冬季を除いてアンダルシアの各町で開かれるので、運が良ければ旅行中にどこかで見物できるかもしれませんね。

2008年の様子はこちら https://www.arukikata.co.jp/web/article/item/1003173/

何百もの張り子のオブジェを一斉に燃やすバレンシアの火祭り

こんな素晴らしいファリャも最終日には灰に…
©iStock
こんな素晴らしいファリャも最終日には灰に…
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2016年にユネスコの無形文化遺産に登録されたバレンシアの火祭りは、毎年2月の最終日曜日に開会式典が開かれ、3月に入ると連日午後2時に市役所広場で爆竹ショーが繰り広げられます。ただ、最終日3月19日の夜に燃やしてしまう張り子のオブジェが完成するのは16日から。このオブジェは“ファリャ”と呼ばれ、ファリャ制作を本業にする火祭り職人によってつくられます。ファリャは日本では張り子人形と訳されることもありますが、人形というレベルを超えたアート。バレンシア市内には大小合わせて700を超えるファリャが飾られ、製作費に数百万、数千万円かけていようが最終日には潔く燃やされてしまうのです。

爆竹が響き渡る町中ではスペインでもっとも豪華な民族衣装をまとったバレンシアっ子達が練り歩き、お祭りを盛り上げます。15日以降は毎晩花火大会、17日と18日には献花パレード、19日には火のパレードなどプログラムも豊富。思いきりお祭り気分に浸ることができる、イチオシのお祭りです。

バレンシアの火祭りをもっと詳しく! https://www.arukikata.co.jp/web/article/item/2206889/

スリル満点のパンプローナの牛追い

命がけで走る猛者が世界中から集合
 ©iStock
命がけで走る猛者が世界中から集合
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ヘミングウェイが小説『日はまた昇る』に取り上げたことで世界中に知れ渡ることになったパンプローナの牛追い。実は牛を追うお祭りではなく、サン・フェルミン祭というお祭りのプログラムのひとつなんです。お祭りはパンプローナの守護聖人サン・フェルミンの日が7月7日なので、毎年前日の6日正午から14日にかけて開かれます。スペインではお祭りの時期に闘牛をする伝統があったため、今でも闘牛のある日に牛を闘牛場に追い込む“牛追い”をする町があります。その中でもっとも熱狂的なのが、このサン・フェルミン祭。

牛追いは7日から14日の朝8時に始まり、何百人もの勇敢な参加者が牛と一緒に走ります。闘牛場までは1㎞もなく、かかる時間は3分ほど。今までに10数名の死者や数多くの負傷者を出していても世界中から大勢の参加者が来るとは、世の中にはスリルを味わうことが好きな人が大勢いるのですね。期間中は、パレードやコンサートなど様々なプログラムもあるので、あわせてお楽しみください。

全身がトマトまみれになるトマト投げ祭り

トマト汁が目に入らないようゴーグルは必須アイテム
©iStock
トマト汁が目に入らないようゴーグルは必須アイテム
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スペインでもっともクレイジーなお祭りといえば、日本でも知られたトマト投げ祭り。毎年8月の最終水曜日にバレンシア西部にあるブニョールという小さな町で開かれます。もともと8月末は町のお祭りでしたが、1945年のお祭り最中に若者同士のケンカの最中にトマトを投げつけたことが由来なのだとか。それがお祭りの公式プログラムになったなんて面白いですね。

トマト投げは、午前11時頃パロ・ハボンという前座イベントの後に始まります。開始の合図が轟くと山盛りのトマトを載せたトラックが数台やって来て、一面にトマトがまかれるのです。ここから1時間はひたすらトマトを投げ合うのみ! 参加者は全身トマトまみれになって狂喜の声をあげます。ケガをしないように、トマトは握りつぶしてから投げる、トマト以外は投げないなどのルールが設けられているんですよ。ちなみに近年使われているトマトの量は、150トン前後とのこと。すごい量ですね。

あまりにも参加者が増えたため安全を考慮し、2013年からは人数制限をかけてチケット制となりました。こちらの公式サイトから購入できます。思い切りクレイジーなことをしたい人にはぜひオススメです。

スペイン中がカトリック色に染まるセマナサンタ(聖週間)

三角頭巾姿の信徒ナサレノはセマナサンタのシンボル
©iStock
三角頭巾姿の信徒ナサレノはセマナサンタのシンボル
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最後にご紹介するのは、宗教色の濃いお祭りです。セマナサンタは、キリストの復活前の受難の1週間をしのぶカトリックの祭典です。復活を祝うイースターが明るいのに対し、セマナサンタは厳か。でも、その厳かな中に情熱や華が感じられるのはスペインならではでしょう。

移動祝日で毎年日付は変わりますが3月か4月で、枝の主日と呼ばれる日曜日にスタートします。この日はロバに乗ってエルサレムに入城するキリスト像を担ぎ出す宗教行列が、スペインの各地を練り歩きます。プロセシオンと呼ばれる宗教行列はセマナサンタ期間中どこでも見られますが、特にセビーリャやマラガのものは盛大で有名です。キリスト像や美しいマリア像の山車を担ぎ出し、多くの信徒や楽隊を率いて進みます。三角頭巾で顔を覆ったマント姿の信徒や、裸足で十字架を背負って歩く信徒も。宗教の力とは不思議なもので、プロセシオンを見ると信心がなくとも心を揺さぶられます。一度は感じたい空気を持ったお祭りです。

セマナサンタをもっと詳しく!https://www.arukikata.co.jp/web/article/item/2196847/

さて、5つほど代表的なものを挙げてみましたが、スペインでは年間を通して大小様々なお祭りがあります。そして誰もが「おらが村の祭りが一番!」と口を揃えます。お祭り情報は現地の観光案内所で入手できますので、あなたもスペイン人と一緒にフィエスタを楽しんでみませんか?

※ここに挙げたお祭りのスペインでの正式名称:
・セビーリャの春祭り Feria de abril
・火祭り Las Fallas(現地語ではLes Falles)
・牛追い Fiestas de San Fermín (牛追いはencierro)
・トマト投げ祭り La Tomatina
・聖週間 Semana Santa

筆者

スペイン特派員

田川 敬子

東京生まれの東京育ち。オリーブオイル専門家としてスペインと日本で活動するほか、複数のウェブサイトにスペイン情報を寄稿。

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