イギリスの子供向け誕生日会事情

公開日 : 2023年03月18日
最終更新 :

イギリスの子供の誕生日会は、日本のように自宅で開かれる場合もありますが、年齢が上がるにつれ招待客が増え、自宅では手狭で準備もたいへんになってきます。そのため、スポーツジムが入ったレジャー施設や公民館、教会のホールを貸し切るなど、外部施設を頼ることが増えてきます。

わが子がこれまで招待されてきた例をもとに、今回はおもに幼稚園児対象のイギリス式誕生日会を紹介します。

誕生日会当日の服装

誕生日会によってはテーマがあらかじめ決まっており、ドレスコードがある場合もありますが、それ以外では好きな服を着ていきます。女の子ですと頭に大きなリボンをつけたり、プリンセスのようなドレスを着ておめかしする子もいますが、当日は皆大はしゃぎで動き回るので、特に男の子の場合、実用性重視で極めてラフな格好が多いです。

個人的に盲点だったのは、冬の服装です。慣れない当初は子供によく長袖を着せていたのですが、館内は空調設備が整っているうえハイテンションで走り回るので、冬でも汗ダクになり結局脱がせて荷物になりました。周りを見て気づきましたが、上着の下は通年Tシャツに半ズボンという子も多く、以来私も比較的薄着で行かせています。

プレゼントはだいたいにおいて持っていくことが普通ですが、イギリスでは購入した場所にもよりますが、ほとんどの場合包装サービスがありません。そのため誕生日会に呼ばれたら、自分でラッピングしたプレゼントに、こちらは必須アイテム、誕生日カードをしっかり表側に貼りつけた物を携えて会場に向かいます。

パーティー全体の流れと食事について

あるとき行われたパーティー会場は、ジムとして運営されているレジャー施設だったので、だだっ広い体育館のようでした。ふたつに仕切られたエリアには普通のトランポリンと、幼児用のビニール式大型トランポリン、“バウンシー・キャッスル”がそれぞれ設置されています。誕生日会の始まり方は施設によってバラバラで、ノンビリ来る家庭もあるので、来た子から自由に遊びます。

小1時間もたつと、各種アクティビティ(このときの場合はトランポリン)を切り上げ、2階のパーティールーム(といっても普段はジムのスタジオなので、飾り気のない簡素な部屋といった感じです)にゾロゾロと移動します。

すでに軽食が用意されたテーブルで、子供たちはしばらく食事を楽しみます。たとえばこのときはサンドイッチ、ソーセージロール、ジュース、スナック菓子の小袋、チョコバーがついており、デザートにはアイスクリームが出てきました。ほかの施設ではピザやフライドポテトなど、温かいホット・ミールを出すところもあります。あるいは食事は頼まず、親が自分で手作りの料理を用意したり、出前や買ってきた惣菜を利用したりするケースもあります。

ケーキと歌でお祝い

最後はお待ちかね、それぞれ趣向を凝らした誕生ケーキが登場します。イギリスではアイシングで覆われたバターケーキが主流ですが、テーマに沿ったキャラクターものや、子供の写真をケーキに転写したオーダーメード、母親の手作りなど種類はさまざまなので、招待された子供たちも毎回どんなケーキかとワクワクしています。

バースデーソングは歌ったり歌わなかったりしますが、歌ったあとに聞き慣れないかけ声をかけることがあり、はじめはその意味がわかりませんでした。「ヒップ・ヒップ(hip hip)」というかけ声のあとに、皆が「フーレイ(hooray)」と応え、これを3回くり返します。

これは“スリー・チアーズ(three cheers)”というイギリス式のエールで、スポーツの試合時に選手の士気を高めたり、エリザベス女王(いまはチャールズ国王)への忠誠、エールをおくる際などに使われるようです。また、以前読んだ絵本のなかでも、冴えない主人公が大活躍し、最後はスーパーヒーローになるという場面で、このかけ声が周りから上がるシーンがありました。

誕生日会で出されたケーキは幼児の場合、会場の使用時間の都合上食べる暇がなく、持ち帰るケースが多いことにもはじめは驚きました。記念撮影を皆でしたあとに解散となりますが、出口では主催者が切り分けたケーキも入ったお返しのおみやげを渡してくれるので、順番に並んで帰りのあいさつをします。

気になるパーティーの予算

今回紹介したケースはおもに幼稚園ぐらいまでの年齢の、比較的スタンダードなパーティースタイルですが、施設利用の有無、食事、プレゼントの渡し方、手みやげに関してなどはすべて主催者によるので、あくまでも1例として読んでください。なかにはプレゼントを辞退して、チャリティに寄付するための寄付制にすることもあります。

手みやげの1例
手みやげの1例

まだ年齢が小さいうちは、少人数クラスの私立校ですとクラス全員を招待する場合が多く、本人だけでなくそのきょうだいも参加したりすると、30人近くになることはめずらしくありません。インドやスリランカ、フィリピン系の家庭ですとクラスメイトだけでなく親の知り合い、親戚なども呼び、少々大げさに言えば(実際にいたかもしれません......)100人は下らなそうな会もあります。

費用はすべて主催者もちなので、招待客が増えるにつれ、当然予算も雪だるま式に膨れ上がります。数年前の話ですが、あるお母さんによると、25人程度の招待客に対して会場費、余興費(子供を楽しませるために、プロのエンタテイナーやフェイスペイントができる人を呼んだりする)、食費、手みやげ代などで£900ほどもかかったそうです。いまなら物価高で、さらにかかることは間違いないでしょう。

小学生からのパーティースタイル

こう聞くと、イギリスで誕生日会を開くには気後れしそうですが(実際、私も行動に移すまで数年を要しました)、小学生低学年、高学年と年齢が上がるにつれ、招待するのは同性だけになったり、親も同席する必要がなくなるので規模がぐっと縮小されます。そのぶん、子供たちを遊ばせるためのアクティビティがより高度になり、費用もレベルアップしますが……。

たとえば、それまではトランポリン一辺倒だったのが、ボーリング、ボルダリング、シューティング・ゲームなどと、やたら本格的なスポーツになっていきます。特に男の子で多いのがサッカー・パーティー。会場施設が試合をとりしきってくれ、屋内コートがある場合(もちろん、ないことも)は悪天候でも可能なので、人気が高いです。

そのほかめずらしいものですと、水泳や家でテレビゲーム大会など、マンネリ化しないよう毎度知恵を絞る必要があり、なんとも保護者泣かせのイベントです。なにかの機会に招待されたり、逆に主催する際の参考になれば幸いです。

筆者

イギリス特派員

パーリーメイ

2017年よりロンドン南部で家族と暮らしています。郊外ならではのコスパのよいレストラン、貴族の邸宅、城めぐり、海沿い情報などが得意です。

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。