韓国きっての世界遺産と美食の宝庫、「公州」「扶余」で百済文化を感じる旅~扶余編~

公開日 : 2023年07月04日
最終更新 :

待ちに待った海外旅行再開! 距離的にも予算的にも気軽に行けるようになった韓国は何回目のブーム?というくらい、いま最も人気の旅行先のひとつです。そんななか日本とも歴史的に深い関係のある百済の歴史遺産が豊富な都市、「公州市」と「扶余(プヨ)郡」で今年2023年の9月23日~10月9日、さまざまなイベントが体験できる【大百済典】が開催決定! ひとあし先に、会場となるふたつの都市の魅力をレポートします。

【扶余】歴史好きならはずせない、悠久の時間が流れる百済最後の都

「公州市」と「扶余郡」はどちらも韓国の「忠清南道」に位置している町。日本から直接行ける空港はないので、ソウルにまず入り、そこから公共交通機関またはツアーに参加し移動することになります。「扶余郡」には高速鉄道KTXや高速バスのアクセスはなく、自力で行くなら長距離バスの利用が主流。ソウルからは約2時間で日帰りも可能ですが、できれば1泊したほうがゆったり市内を満喫できます。公州とあわさったツアーに参加するのも効率よく観光できるでしょう。

白馬江の隣に高くそびえたっている岩の絶壁、落花岩は3000人の宮女が身を投げたといわれる
白馬江の隣に高くそびえたっている岩の絶壁、落花岩は3000人の宮女が身を投げたといわれる

【扶余の世界遺産①】百済の全盛期に王宮を取り囲んでいた山城「扶蘇山城」

朝鮮半島の三国時代に678年間存続していた百済の都だったのがここ、扶余。扶余に着いたらまず訪れたいのは、かつて王都を守る重要な役割を担っていたこの山城。敷地には百済の歴史に深くかかわる多くの遺跡が残っており、百済歴史遺跡地区のひとつとして世界遺産に登録されています。

扶余
扶余

こちらの扶蘇山城のすぐ隣を流れるのが白馬江。遊覧船に乗って雄大な扶蘇山を眺めながらクルーズを楽しむこともできます。最近人気なのが、扶余の水陸両用バスツアー。扶蘇山城の駐車場から出発し、市内を車窓観光、最後のハイライトでは白馬江に入水しゆったり水上遊覧を堪能できます。

扶余の水陸両用バスツアー(扶余観光/韓国語のみ)
https://www.buyeocitytour.com/main?goods_idx=19157

【扶余の世界遺産②】1400年の歴史が刻まれた五重石塔が圧巻の「定林寺址」

続いて、扶余に来たら見逃せないのがこちらの世界遺産。百済の仏教文化が最も盛んだった聖王の時代に建てられた寺の跡地で、中央に堂々と残された五重石塔は当時のそのままのもの。一部修復はされていますが、近づいてみると細かい傷跡や、文字の彫った跡もしっかりと観られるので長い歴史を直接感じることができます。とくに注目したいのは石塔の右下部分に彫られている「大唐平百済国碑銘」という文字。この石塔は、唐が百済を平定したことを記念する戦勝碑である、ということを示しています。

定林寺址の五重石塔(国宝)
定林寺址の五重石塔(国宝)
石塔に近づくとうっすらと見える文字「大唐平百済国碑銘」とある
石塔に近づくとうっすらと見える文字「大唐平百済国碑銘」とある

【扶余の世界遺産③】百済が生み出した珠玉のお宝が多数展示される「国立扶余博物館」

定林寺址の隣にあるのが百済時代の遺物を約2万5000点も所蔵している国立扶余博物館。陶器や仏教関連の文化財が豊富で、いかにこの時代が技術的にも芸術面でも発達していたかをひしひしと感じられることでしょう。なかでもひときわ来館者の足をとめているのが、国宝の金銅大香炉。見れば見るほどに繊細なモチーフの数々にためいきが出るくらいの美しさです。ほかにも、日本に瓦を伝えたきっかけにもなっている、高い技術性が光る百済の瓦など歴史的に重要な展示が勢揃いしています。

国宝でもある金銅大香炉
国宝でもある金銅大香炉
扶余の瓦。日本でも飛鳥時代に伝えられたとされている
扶余の瓦。日本でも飛鳥時代に伝えられたとされている

【扶余の世界遺産④】王宮の中につくられた最古の人口池「宮南池」

最後にご紹介するのは、百済の武応が当時の王宮のなかにつくりあげた広大な池とそれを取り囲む公園。夏には見事な蓮が楽しめるこちらは歩いているだけ宮廷時代にタイムスリップしたような気分が味わえるゆったりとした敷地です。

池のまわりは散歩にぴったりの美しい景色が広がります
池のまわりは散歩にぴったりの美しい景色が広がります
7~8月には蓮の花が見ごろに
PIXTA 7~8月には蓮の花が見ごろに

名物の蓮グルメや韓牛も忘れずに!

世界遺産都市、扶余は歴史だけでなくもちろんお楽しみのグルメも。宮南池も蓮の名所であるように、蓮は扶余の名物のひとつ。「ヨンニプパプ」という蓮の葉に包んだ蒸しご飯は、ここに来たら必ず食べておきたい一品です。また、蓮の花で淹れたお茶や、蓮の実が使われているお菓子を楽しめる伝統茶館もおすすめ。目の前でお湯を注ぎ、蓮の花がひらくにつれふわっと感じるやさしい香りにも癒やされます。

蓮のお茶と蓮のお菓子がいただける
蓮のお茶と蓮のお菓子がいただける
  • 百済香 백제향(ペクチェヒャン)
  • 住所충청남도 부여군 부여읍 사비로30번길 17
扶余は牛肉も美味!たくさんのおかずも韓国グルメの醍醐味
扶余は牛肉も美味!たくさんのおかずも韓国グルメの醍醐味
蓮の葉で包んだご飯がもっちりおいしいヨンニパプ
蓮の葉で包んだご飯がもっちりおいしいヨンニパプ

【大百済典】が2023年9月23日~10月9日、開催決定!

扶余の魅力、いかがだったでしょうか? さらにこの百済の地を盛り上げるべく、2023年秋に大百済典が開催されます。大百済典として開かれるのは2010年以来2度目、10年に一度の祭典です。開会式は公州市、閉会式は扶余郡で開催。イベントでは百済文化のストーリーを映し出す「水上マルチメディアショー」や、百済歴史文化をデジタルコンテンツに変換した「マルチメディアアート展示館」、体験プログラム、芸術公演、パレードや歴史遺産のライトアップなどたくさんの催しが行われる予定です。世界遺産都市をもっと深く楽しめるチャンス、お見逃しなく!

  • 「大百済典」公式サイト:https://www.baekje.org/jpn/
  • 開催期間:2023年9月23日~10月9日
  • 会場:忠清南道の公州市と扶余郡
  • テーマ:「大百済、世界と通じる」
扶余もばっちり収録!韓国全土を網羅した最新ガイドブック「地球の歩き方 韓国
扶余もばっちり収録!韓国全土を網羅した最新ガイドブック「地球の歩き方 韓国

筆者

地球の歩き方書籍編集部

1979年創刊の国内外ガイドブック『地球の歩き方』の書籍編集チームです。ガイドブック制作の過程で得た旅の最新情報・お役立ち情報をお届けします。

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。