マザッチョとマゾリーノ/聖母子と聖アンナ
1424年頃
Madonna col Bambino e S. Anna
初期ルネッサンスの展開における重要な作品。無原罪のままイエスを産んだマリアを守る聖アンナ。マントを広げたその姿は、教会のもつ慈愛に満ちた威信を表現しているともいわれる。
パオロ・ウッチェッロ/サン・ロマーノの戦
1435~1438年または1456~1460年頃
Battaglia di S. Romano
フィレンツェ軍がシエナ・神聖ローマ皇帝と同盟した、ミラノ軍に勝利を収めた戦いを描いた物。遠近法を用い、迫力ある画面が展開する。メディチ家のロレンツォ豪華王が熱望したという作品。
フィリッポ・リッピ/聖母子と二人の天使
1465年頃
Madonna col Bambino e 2 Angeli
修道士画家であったリッピが修道女と駆け落ちした逸話は有名だが、この絵のモデルはその修道女といわれる。清澄で優雅、清らかな画風はボッティチェッリやダ・ヴィンチにも影響を与えた。
ピエロ・デッラ・フランチェスカ/ウルビーノ公夫妻の肖像
1467~1472年頃
Ritratti dei duchi d' Urbino
古代のメダルを思わせる横顔のモチーフは当時流行していた様式で、バックには地平まで続くモンテフェルトロ家の領地が広がる。裏面の「勝利の馬車」には出産後に亡くなった妻への追悼文がある。
ミケランジェロ・ブオナローティ/聖家族
1506~1508年頃
Sacra Famiglia Tondo Doni
フィレンツェに残るミケランジェロの唯一の絵画。当時のままの額装にもミケランジェロのデザインの意匠が反映されている。力強さを感じさせる作風は、古代彫刻に多大な影響を受けた彼の特徴がよく表れている。
ラファエッロ・サンツィオ/ひわの聖母
1505~1506年頃
Madonna del Cardellino
飾られていた邸宅が崩壊したた
め、20近くの断片になったという物。若きラファエッロの最初の作品で、聖母は知の象徴である本を手にし、これからの受難を思い憂い顔を幼子イエスに向けている。
ラファエッロ・サンツィオ/法王レオ10世と枢機卿ジュリオ・デ・メディチとルイジ・デ・ロッシ
1518年頃
Ritratto del papa, figlio di Lorenzo il Magnifico, Leone X con I cardinali Giulio de’Medici e Luigi de’Rossi
ラファエッロの大パトロンであったレオ10世といとこの枢機卿を描いた作品。レオ10世はメディチのロレンツォ・イル・マニーフィコの次男。左はロレンツォの弟ジュリアーノの息子で後のクレメンス7世、右はロレンツォの姉の息子と、血統の証のような肖像画。
ヤコポ・ダ・ポントルモ/祖国の父コジモ 1519~1520年
Ritratto di Cosimo il Vecchio
ポントルモはブロンズィーノの師であり、初期マニエリスムを代表する画家で、メディチ家に重用された。コジモ・イル・ヴェッキオはメディチ家のフィレンツェ支配を確立した人物で、厳しいまなざしや固く組んだ手元に威厳を感じさせる。
アーニョロ・ブロンズィーノ/エレオノーラ・ディ・トレドと息子の肖像 1545年
Ritratto di Eleonola Toledo con figlio Giovanni
コジモ1世の宮廷画家として活躍したブロンズィーノ。彼の肖像画傑作のひとつで、コジモ1世の妻エレオノーラと息子ジョヴァンニを描いたもの。エレオノーラはナポリ副王の娘、17歳で嫁ぎ、ジョヴァンニを含
めて11人の子をなした。2歳の頃、ポッジョ・ア・カイアーノの別荘滞在中に描かれたもの。
パルミジャニーノ/長い首の聖母 1534~1539年頃
Madonna dal collo lungo
ルネッサンスからマニエリスムへ移行する時代の典型的な作品。自然で軽やかなルネッサンスの特徴はなくなり、聖母の不自然に長い首やくねる体など、誇張された均整から新たな美を生み出そうとしている。
ロレンツォ・ロット/スザンナの貞操 1517年頃
Susanna e i Vecchioni
ベルガモで活躍したロレンツォ・ロット。徳の高いスザンナが入浴中に、ふたりの長老に付きまとわれるエピソードを表現した絵。漫画の吹き出し風の巻紙に、子細が語られている。
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ/ウルビーノのヴィーナス 1538年
Venere di Urbino
ウルビーノ公爵が若き妻に「お手本」を示すために発注したといわれる作品。豊かな肉体や乱れたシーツなどの質感が見事に
描かれている。官能的な姿で愛のシンボルのバラを手にし、右には忠誠を表す子犬が描かれている。
カラヴァッジョ/イサクの犠牲 1592~1604年
Il Sacrificio d'Isacco
「光と影の画家」カラヴァッジョの特徴がよく表れた、ドラマチックな場面を描いた傑作。神の教示に従い最愛の息子を天にささげる父親の葛藤と断末魔の声を上げるイサク、その心理状況が見事に描かれている。天使の救済を指さす方向には、明るい世界が展開している。