【ラグビーW杯2023】トゥールーズの歩き方(後編)ピレネー山脈の絶景と巡礼地ルルドでパワーチャージ

公開日 : 2023年09月09日
最終更新 :

ラグビーW杯2023を現地で応援するサポーターも、いつか開催地に行ってみたいと思った方も、せっかくフランスを訪れるなら、開催都市のみの観光で終わらせるのはもったいない! フランス南西部のオクシタニー地方は、スペイン国境にまたがるピレネー山脈の大自然絶景が楽しめるエリア。日本代表の初戦(対チリ9/10)とサモア戦(9/28)が行われるトゥールーズから足を延ばして、ピレネーの景勝地と奇跡の聖地ルルドをご案内します。

ピレネー山脈の絶景スポット3選

①空中散歩が楽しめる「ピック・デュ・ミディ」

先端はすりガラスになっている「Ponton dans le Ciel」
先端はすりガラスになっている「Ponton dans le Ciel」

ピレネー山脈の名峰のひとつが標高2877mの「ピック・デュ・ミディ」。2018年に山頂にお目見えしたのが「Ponton dans le Ciel(空に架かる浮橋)」。その名のとおり、空中に向かって突き出た橋で、先端に立てば見渡すかぎりの絶景をひとり占めできちゃいます。

「ここでラグビーボールを蹴ったら気持ちいいでしょうね。戻ってこないけど」と笑いを誘う大野さん
「ここでラグビーボールを蹴ったら気持ちいいでしょうね。戻ってこないけど」と笑いを誘う大野さん
山頂へ向かうロープウェイ
山頂へ向かうロープウェイ

山頂までは麓の村ラ・モンジーLa Mongieからロープウェイを2回乗り継いで到着。山登りの実感はゼロですが、ラクラク登頂できるのは魅力的。

ロープウェイからの眺めも絶景
ロープウェイからの眺めも絶景

山頂には展望台はもちろん天文台や体験型の資料館もあって充実しています。ただし風が強いと展望台に出られない場合もあるので、現地係員の指示に従いましょう。

展望台にはデッキチェアもあり雄大な景色を心ゆくまで満喫できる
展望台にはデッキチェアもあり雄大な景色を心ゆくまで満喫できる

ピック・デュ・ミディ Pic du Midi

アクセス
トゥールーズからルルドまで鉄道で約2時間、ルルドからピック・デュ・ミディまではシャトルバスで約1時間30分(6~11月まで1日2便運行)
料金
€49(ロープウェイ込み、要予約)

②世界遺産「ガヴァルニー圏谷」

標高3000m級の山々に囲まれたガヴァルニー圏谷
標高3000m級の山々に囲まれたガヴァルニー圏谷

ハイキング派には、ピレネー山脈を代表する景勝地「ガヴァルニー圏谷」がおすすめ。「圏谷」とは氷河と流氷の浸食よってできた半円形の谷のことで、山好きの方には「カール」という呼び名でおなじみかもしれません。ピレネー山脈の中心にそびえるペルデュ山の一部を構成するガヴァルニー圏谷。カールを囲むように連なる山々の合間には流れ落ちる滝を見ることができます。1997年、ガヴァルニー圏谷を含む3万ヘクタールの広大なエリアは世界遺産に登録されました。

7月初旬のガヴァルニー圏谷。風は涼しいが日差しは強いので帽子・サングラスは必携
7月初旬のガヴァルニー圏谷。風は涼しいが日差しは強いので帽子・サングラスは必携
大自然絶景のなかでラグビーのキャッチボールを楽しんだ大野さん。高地トレーニングにもいいかも
大自然絶景のなかでラグビーのキャッチボールを楽しんだ大野さん。高地トレーニングにもいいかも

ガヴァルニー圏谷 Cirque de Gavarnie

アクセス
ルルド発の現地バスツアーやハイヤー利用が便利

③ピレネー国立公園の「ネオヴィエーユ自然保護区」

自然愛好家に好まれる絵になるスポット
自然愛好家に好まれる絵になるスポット

標高約2000mに位置する「ネオヴィエーユ自然保護区」は、ピレネーのなかでも1930年代にフランスで初めて自然保護区として認められた地域。約350種の植物と野生の牛や羊が生息し、ピレネーの山々を背景に美しい湖が広がる風景はまるで絵本の世界のよう。絶景続きの「湖巡りルートLa route en lacs」では、キャップ・ド・ロン湖(2161m)、オレドン湖(1849m)、オマール湖(2198m)、オベール湖(2150m)をまわることができます。

オレドン湖のほとりに立つかわいらしいチーズ屋。羊乳チーズのブルビBrebisなどを販売
オレドン湖のほとりに立つかわいらしいチーズ屋。羊乳チーズのブルビBrebisなどを販売

6月1日~9月30日までは環境保護のため、9:30~18:30までオマール湖、オベール湖周辺の一般車の乗入れが禁止されます。車はオレドン湖に駐車し、オマール湖とオベール湖へは徒歩(約40分)または30分ごとに出るシャトルバス(約15分、片道€4)で訪れてください。

ネオヴィエーユ自然保護区 Réserve naturelle de Néouvielle

アクセス
トゥールーズからラネムザンLannemezanまで鉄道で約1時間20分、ラネムザンからバスでサン・ラリSaint-Laryへ。サン・ラリからはタクシー利用
タクシー会社
TAXI CYRIL (英語OK) Tel 00 33 6 27 70 76 Email : taxicyrilaulon@gmail.com
AUKA TAXI (英語OK) Tel: 00 33 6 17 03 67 03 Email : aukataxi@gmail.com

夜は老舗居酒屋でピレネーナイト

石造りの建物に色とりどりの花が飾られたメルヘンな店
石造りの建物に色とりどりの花が飾られたメルヘンな店

ルドンヴィエーユLoudenvielleの町で訪れた「バー・シェ・ロジェ」は、親子4世代にわたって営業するこの町最古の居酒屋。メニューらしきものはなく、地元食材を使ったおつまみとお酒が楽しめるアットホームなお店です。
ビゴール種Bigorreというこの地方の黒豚の生ハムは、スペインのイベリコ・ベジョータとも並び称される世界的にも希少なもの。ほかにも豚の血を固めたソーセージ「ブダンBoudin」や肉々しいパテなど、シャルキュトリーを中心に地元特産グルメが味わえます。

うま味が濃いビゴール黒豚の生ハムと手作りピクルス
うま味が濃いビゴール黒豚の生ハムと手作りピクルス

種類豊富なハムの間に置かれた箸休めのピクルスがまたやみつきになるおいしさ! 聞けばこの店のマダムのお母さんが数日かけた手作りなのだとか。ほのかなカレー風味が食欲を増進させるのか、生ハム→ピクルス→チーズ→ピクルス→生ハム→ピクルス……と美食の無限ループを生み出します。

とてもおいしかったとお礼を伝えると、店の奥から瓶にたっぷり詰めたピクルスをおみやげに持たせてくれたやさしいお母さん。大野さんと一緒に
とてもおいしかったとお礼を伝えると、店の奥から瓶にたっぷり詰めたピクルスをおみやげに持たせてくれたやさしいお母さん。大野さんと一緒に
古代穀物のスペルト小麦を使ったこだわりのブーランジュリー「Pain de Lune」のパンも絶品
古代穀物のスペルト小麦を使ったこだわりのブーランジュリー「Pain de Lune」のパンも絶品

日が暮れてくるとギターの音色にあわせて合唱が始まります。お店のスタッフとお客さんが一緒に歌うのは、昔から地元で歌われている曲。初めて聴くのにどこか懐かしい童謡のような調べで、ピレネーの旅をさらに思い出深いものにしてくれました。

飲みながらゆるい雰囲気で歌い出す「バー・シェ・ロジェ」のみなさん。明るいマダム(中央)の人柄と親戚の家に遊びに来たかのようなあたたかいもてなしに癒される
飲みながらゆるい雰囲気で歌い出す「バー・シェ・ロジェ」のみなさん。明るいマダム(中央)の人柄と親戚の家に遊びに来たかのようなあたたかいもてなしに癒される

バー・シェ・ロジェ Bar Chez Rogé

住所
11 chemin de Clarabide 65510 Loudenvielle

また戻ってきたいピレネーのおすすめホテル

絶景のなかに立つ「メルキュール・ペラグード・ルドンヴィエーユ」
絶景のなかに立つ「メルキュール・ペラグード・ルドンヴィエーユ」

裏手に温泉施設や運動場のある「メルキュール・ペラグード・ルドンヴィエーユ」は、ラグビー選手をはじめフランス国内のスポーツチームも滞在するウェルネスなホテル。館内には「スタッド・トゥールーザン」の選手のサインが入ったラグビーボールも飾られていました。緑がまぶしい中庭でBBQランチを楽しんだり、ロッジ風なロビースペースでティータイムを過ごしたり、ピレネーの大自然と一体になったようなゆったりとした時間を過ごせます。

中庭での青空ランチのあとは芝生に置かれたクッションでお昼寝するもよし
中庭での青空ランチのあとは芝生に置かれたクッションでお昼寝するもよし
木のぬくもりが感じられる落ち着いた客室
木のぬくもりが感じられる落ち着いた客室

ホテルといえば朝食ビュッフェも楽しみのひとつですが、こちらのホテルでは目玉焼きを小さなフライパンで自分好みの固さに焼くことができたり、生絞りのオレンジジュースが楽しめたりと細やかな趣向が凝らされていて、朝からテンションが上がります。

セルフで作れる朝食の目玉焼き。ディスプレイもかわいい
セルフで作れる朝食の目玉焼き。ディスプレイもかわいい

ホテル内はプールやNUXEのスパも完備。取材で移動の多いスケジュールだったため今回は1泊しかできませんでしたが、またいつかゆっくり滞在したい魅力満点のホテルでした。

メルキュール・ペラグード・ルドンヴィエーユ Mercure Peyragudes Loudenvielle Pyrénées

住所
Chemin de Rioutor, 65510 Loudenvielle

奇跡の泉が湧くルルド

聖母マリアに捧げられた無原罪のお宿り聖堂。向かって右手の行列の先に今でも奇跡の泉が湧くマサビエルの洞窟が
聖母マリアに捧げられた無原罪のお宿り聖堂。向かって右手の行列の先に今でも奇跡の泉が湧くマサビエルの洞窟が

ピレネーの絶景スポットへはトゥールーズから鉄道で約2時間のルルドを起点にするのがおすすめです。1858年、14歳の少女ベルナデット・スビルーの前に現れた聖母マリアのお告げに従い、洞窟近くの地面を掘ると泉が湧き出し、その水によって病気が治癒する奇跡が何度も起きたことから、ルルドはカトリックの聖地になりました。奇跡を求めて今も世界中から年間600万人が訪れます。

ガラスの囲いで覆われた奇跡の泉の前にはたくさんの花が手向けられている
ガラスの囲いで覆われた奇跡の泉の前にはたくさんの花が手向けられている

聖域内には泉の水を引いた蛇口が並んでいて、聖なる水をいただいて帰ることができます。周辺のみやげ物屋で空のボトルや小瓶がたくさん売られているので、事前に入手しておきましょう。

場所によってはポタポタとしか出ない蛇口もあるのでいくつか試してみよう
場所によってはポタポタとしか出ない蛇口もあるのでいくつか試してみよう

4~10月は毎晩21:00から「ろうそく行列」が行われます(11~3月は金・土・日の20:30~)。みやげ物屋で買ったボンボリに灯りをともし、集まった人々は祈りを捧げながら聖堂前の広場をゆっくりと歩きます。

病をもつ人にとって特に重要な聖地。騒いだり参拝者の写真をむやみに撮ったりしないよう注意
病をもつ人にとって特に重要な聖地。騒いだり参拝者の写真をむやみに撮ったりしないよう注意
聖堂の上から眺めるろうそく行列の様子
聖堂の上から眺めるろうそく行列の様子

第1回ラグビーW杯に出場したルルドの元副市長

向かって右手前がジャン=ピエール・ガリュエ元副市長。隣にルイ・アルマリ議員
向かって右手前がジャン=ピエール・ガリュエ元副市長。隣にルイ・アルマリ議員

ルルドでの夕食は、地元っ子やスポーツファンが集まるレストラン「レ・サン・キュロット」へ。2階建てでグループでも少人数でもワイワイ楽しめるカジュアルな雰囲気です。店内でお会いしたジャン=ピエール・ガリュエ氏Jean-Pierre Garuetはルルドの元副市長(1989~2014年)ですが、かつてFCルルドやフランス代表でも活躍し、記念すべき第1回のラグビーワールドカップにも出場した経歴の持ち主。隣のルイ・アルマリ氏Louis Armaryも、ガリュエ氏とともにフランス代表で活躍し、現在はオット・ピレネー県議会議員を務めています。
ガリュエ氏はラグビー日本代表の進化する強さに注目していると語り、日本のラグビーファンや旅行者にもぜひルルドを訪れてほしいと強調。カトリックの聖地としてのイメージが強いルルドでしたが、ラグビー熱の高さはここでも伺えました。

店内ではテレビでスポーツ観戦もできる
店内ではテレビでスポーツ観戦もできる

レ・サン・キュロット Les 100 Culottes

住所
20 Place du Champ Commun 65100 Lourdes

ラグビーW杯開催都市のトゥールーズはもちろん、絶景から聖地までパワーチャージスポットが満載のオクシタニー地方。各地へ足を延ばして、個性豊かなフランスの魅力を体感しましょう!

TEXT & PHOTO:地球の歩き方 由良暁世 Akiyo Yura

取材協力
フランス観光開発機構 Atout France www.france.fr/ja
オット・ピレネー観光局 Destination Hautes-Pyrénées www.tourisme-hautes-pyrenees.com
オクシタニー地方観光局 Occitanie Tourisme www.tourisme-occitanie.com
東芝ブレイブルーパス東京 Toshiba Brave Lupus Tokoyo www.bravelupus.com

〈地球の歩き方編集室よりお願い〉
渡航についての最新情報は下記などを参考に必ず各自でご確認ください。
◎外務省海外安全ホームページ
・URL: https://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
◎厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
・URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
(関連記事)https://www.arukikata.co.jp/web/catalog/article/travel-support/

筆者

地球の歩き方書籍編集部

1979年創刊の国内外ガイドブック『地球の歩き方』の書籍編集チームです。ガイドブック制作の過程で得た旅の最新情報・お役立ち情報をお届けします。

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