【スコットランド】揚げ物食文化

公開日 : 2023年09月24日
最終更新 :

スコットランドで暮らし始めて8か月になりますが、つくづく感じるのは「この国の人たちは何でも揚げて食べる」ということです。
主食のじゃがいもはチップスに。魚もソーセージも、なんとバーガーやピザまで衣(こちらではバターと言います。いわゆる小麦粉を水またはビールで溶いた、天ぷらの衣。)をつけて揚げてしまいます。
極めつけは「フライドマーズバー」。マーズバー(Mars bar)というキャラメル入りのチョコレートバーに衣をつけて揚げたものが大人気です。これには驚きました。ただでさえ濃くて激甘なチョコレートバーに、更に衣を付けて油で揚げてしまうとは。
今回はそんな食文化の違いを紹介していきたいと思います。

フィッシュアンドチップス。緑色のものはマッシュピーズ。
フィッシュアンドチップス。緑色のものはマッシュピーズ。

調理と言えば「茹でる」「蒸す」が主だった時代でも、スコットランド人は「焼く」「揚げる」調理法を好んだ、と言われるほど、昔から揚げ物料理が大好きだったスコットランド人。その背景には国民のほとんどが労働者階級と呼ばれる、一生懸命働いてなんとか日々を暮らす、労働者の家庭が多かったこともあるようです。
毎日肉体労働でクタクタになるまで働いた後、簡単に調理できる、あるいは安く買える、がっつりとした食事を摂る。そういう暮らしをしていた人たちが多かったのかもしれません。

現在でもフィッシュアンドチップスを主とする揚げ物文化は人々の生活の中に普通に浸透しています。週に一度はチッピーナイト(フィッシュアンドチップスを食べる日)、学校帰りのおやつはチップス、というのはここではあたりまえのこと。学校の給食や病院の食事でさえ、毎週金曜日はフィッシュアンドチップスと決まっているのが普通です。もちろん揚げ物はカロリーが高いので、当然肥満の人の数も多くなっています。

これがサパーボックス。見事に揚げ物ばかりで見ているだけで胸やけしそう。
これがサパーボックス。見事に揚げ物ばかりで見ているだけで胸やけしそう。

衣は軽くてサクサクです。脂っこくはないですね。フィッシュアンドチップスであれば、これに塩と酢(モルトビネガー)をたっぷり振りかけて食べます。揚げたてのホクホクのチップスと、肉厚でジューシーな白身魚のフライは、いつ食べても美味しいな、と思います。
ただしボリュームはすごいです。チップスは「小」を頼んでも一人では食べきれないほど。私はいつも一人用の「フィッシュサパー(魚のフライが2尾分とチップス)」を注文して、夫と2人で分けて食べて丁度いいくらいです。
ちなみにこのフィッシュサパーは7ポンド(日本円で1000円ほどでしょうか。)。
このチッピー(フィッシュアンドチップスのテイクアウト専門店)には「サパーボックス(夕食セット)」というものがあるのですが、それには魚フライ、ソーセージフライ、バーガーフライ、チップス(多量)が入っていて12ポンドです。確かに安いけど、こんなにたくさんの揚げ物を食べれる人がいるのかどうかが疑問ですね。

こんなものまで揚げるのか!というもの

さてここでスコットランドのチッピー(フィッシュアンドチップスのテイクアウト専門店)で見かけるおもしろい揚げ物を紹介します。

 ・ソーセージ、ブラックプディング(豚の血とオーツ麦でつくったソーセージ)
 ・チーズバーガー(これは本当にチーズバーガー丸ごとに衣を付けて揚げます。)
 ・ピザ(スライスしたピザに衣を付けて揚げます。)
 ・マーズバー(これは先述したように、チョコレートバーに衣を付けて揚げます。)

この記事を書いているだけで胃もたれがしますね。

さすがに現在ではこういった揚げ物を毎日食べているスコットランド人はいないでしょう。観光客向けにこういう揚げ物を提供している店も少なくないと思います。
それでも私はこの国で8か月暮らしてみて、やはり揚げ物は、スコットランドの食文化の府代表的な一つであると感じています。

真っ黒なソーセージがブラックプディング。豚の血とオーツ麦でつくられています。これも丸ごと揚げます。
真っ黒なソーセージがブラックプディング。豚の血とオーツ麦でつくられています。これも丸ごと揚げます。
フライドマーズバーにアイスクリームをのせて。ものすごく甘くて濃いけど、衣のサクサクとキャラメルのトロっとした食感が意外に美味しい。でもカロリーを考えると恐ろしいです。
フライドマーズバーにアイスクリームをのせて。ものすごく甘くて濃いけど、衣のサクサクとキャラメルのトロっとした食感が意外に美味しい。でもカロリーを考えると恐ろしいです。

今回はスコットランドの揚げ物食文化について書きました。「暮らし」の中では揚げ物三昧の食生活で起こる、肥満や健康の問題も見えてきますが、観光としてスコットランドを訪れる際は、いろんな揚げ物を試してみるのも面白いかもしれません。いろんな地域のチッピーを食べ歩くのも楽しいかもしれませんね。
ただし量がものすごく多いので、それだけは気を付けて。

筆者

イギリス特派員

ベイトマン明子

2023年に引っ越してきたばかりのスコットランドのあちこちを訪れ、皆様に報告できることを楽しみにしています。

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