シルクロード文化の中心都市 ウズベキスタン・ブハラ近郊の新世界遺産へ

公開日 : 2023年11月09日
最終更新 :

2023年9月、ユネスコの世界遺産委員会により、中央アジアに新たに3つの世界遺産が誕生しました。そのひとつ、ウズベキスタン、タジキスタン、トルクメニスタン3ヵ国にまたがる「シルクロード:ザラフシャン - カラクム回廊」の構成地は34ヵ所。特にブハラ-ナヴォイ-サマルカンド周辺に数多くあります。今回UNWTO総会取材のあと、ウズベキスタンのブハラ近郊にある新たな構成地を訪ねたので、その様子を紹介します。

そもそも「シルクロード:ザラフシャン - カラクム回廊」とは?

古代、中国と西欧を結ぶ交易路だったシルクロード。「サマルカンド文化の交差路」「ブハラ歴史地区」「イチャンカラ」「シャフリサーブス歴史地区」など、ウズベキスタンですでに登録されている世界遺産を始め、かつてのシルクロード沿いには数多くの関連世界遺産があります。今回登録された「ザラフシャン - カラクム回廊」は、パミール高原に源をもちタジキスタン、ウズベキスタンを流れるザラフシャン川周辺から、ウズベキスタン、トルクメニシタンに広がるカラクム砂漠にかけて点在する遺跡・史跡群のこと。タジキスタン、ウズベキスタンの構成地域はザラフシャン川周辺に、トルクメニスタンの構成地はカラクム砂漠内に点在しています。

中央アジアのイスラーム教徒の聖地 バハウッディン・ナクシュバンド建築群

大勢の参拝客でにぎわっている
大勢の参拝客でにぎわっている

ブハラ中心部から東へ約13km、ブハラとナヴォイの境にあるイスラーム建築群で、中央アジアのイスラーム教徒にとっては、メッカに次ぐ巡礼地として知られています。この一帯で大きな影響力をもつイスラーム神秘主義ナクシュバンディ教団。その開祖である14世紀の聖人バハウッディン(1389年没)の生誕地であり昇天地でもあるといわれ、霊廟を中心としたイスラーム建築群で構成されています。

左:バハウッディンの墓とその前に立つ碑/右:墓の周りの回廊の天井もお見逃しなく!
左:バハウッディンの墓とその前に立つ碑/右:墓の周りの回廊の天井もお見逃しなく!

霊廟内は大きな中庭が広がっており、大理石でできた巨大なバハウッディンの墓石とその脇に墓碑、そしてハウズ(池)があります。墓石前の木陰にはお祈りする人やお祈りを済ませてひと休みするイスラーム教徒の姿が絶えず、この地の重要性をうかがい知ることができます。また中庭を囲む回廊の天井装飾は息をのむほど精緻で美しく、見逃せません。

ブハラ中心部からのアクセスはタクシーチャーターが便利で、片道約30,000スムほどです。

イスラームの聖人の眠る場所といわれる チョルバクル

アブ・バクール・サイードとその息子の墓は、モザイクで飾られている(年々剥げ落ちている)
アブ・バクール・サイードとその息子の墓は、モザイクで飾られている(年々剥げ落ちている)

ブハラ中心部から西へ約10km、カラヤと呼ばれる地区にある10世紀頃からのネクロポリス(墓石都市)。タジク語で「4人のバクル」を意味し、イスラームの預言者ムハンマドの同族で初代カリフであるアブ・バクル・サイードと、その3人の子孫が眠っていると信じられています。その言い伝えから、16世紀初頭にこの地の指導者ムハンマド・シェイバーニーが墓地を整備すると、有力者たちが競って墓を設けたり、ブハラのハン(王)の墓も置かれたりし、モスクやメドレセ(イスラーム寄宿学校)を併せもつ大きなネクロポリスとなりました。中央アジアのイスラーム教徒にとって、メッカ巡礼前に訪れるべき場所のひとつとされています。

モスク前で老人が観光客の相手をしてくれる
モスク前で老人が観光客の相手をしてくれる

モスク前の広場では、老人が鳩の世話をしながら観光客にこの場所の重要性を語ってくれます(ウズベク語のみ)。この地域で生まれ育ち、定年を迎えた後チョルクバルでボランティア活動を始め、今ではモスクでのアザーンを担当することもあるそうです。

ブハラから乗り合いバン(マルシュルートカ)も利用できますが、タクシーチャーターがおすすめ(片道23,000スムほど)。

旅のバイブル「地球の歩き方」ガイドブック

シルクロードの交易都市として栄えた「青の都」サマルカンドはもちろん、歴史的建造物が数多く残るブハラ、町自体が博物館のようなヒヴァ、そしてウズベキスタンの「今」が感じられる首都タシケントまで、見どころ、ショップ、レストラン、ホテルまで詳細にガイド。これから注目の陶器の里リシタンや、ガンダーラ仏教遺跡が残るテルメズなども紹介しています。

※当記事は、2023年11月1日現在のものです

TEXT: 『地球の歩き方ガイドブック プラット P23 ウズベキスタン』編集担当 伊藤 伸平   
PHOTO: 伊藤 伸平 

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筆者

地球の歩き方書籍編集部

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