『ミセス・クルナスvs.ジョージ・W・ブッシュ』ドイツのオカンが巻き起こす笑いと感動の実話を元にした映画
2024年5月3日(金)から全国公開の『ミセス・クルナスvs.ジョージ・W・ブッシュ』は、ある家族の1786日の実話に基づく物語で、観る人すべてに力をくれる作品です。シリアスな内容ながらも常に底抜けに明るい主人公の「家族を思いやる揺るぎない気持ち」は見る人の心をじんわり温めてくれます。
物語のあらすじ
ドイツのブレーメンで平穏に過ごしていたトルコ移民のクルナス一家の日常は、2001年のアメリカ同時多発テロをきっかけに一転。愛する息子ムラートがタリバンの嫌疑をかけられ、訴訟も裁判も無いままグアンタナモ収容所に収監されてしまいます。
グアンタナモ収容所はアメリカ軍がテロリストを収容する場所として知られています。立地はキューバ国内にあるにも関わらず、アメリカ軍が管理する基地のため、アメリカ・キューバ両方の法律が及ばず軍法のみが適用され、囚人は人道的な扱いをされないいわれている悪名高い収容所です。
そのことを知った母・ラビエは突然の出来事に困惑し、不安に苛まれますが、息子の無実を信じて救い出そうと奔走します。
とはいえ、このような状況で誰に助けを求めればよいのか分からない状況のなか、藁にもすがる思いで電話帳を開いて見つけた人権派弁護士ドッケにアドバイスを受けてワシントンD.C.へ飛び、アメリカ合衆国最高裁判所で当時の大統領ジョージ・W・ブッシュを相手に訴訟を起こすことになります。
彼女の家族を思う強い気持ちや、底抜けに明るい性格が周囲も巻き込み広がっていきます。作品の内容はシリアスなものですが、「まるでドイツのオカンみたい!」という感想が出るほどユーモアにあふれるコメディタッチの映画です。
当初は映画化に二の足を踏んだドレーゼン監督
本作の監督を務めたアンドレス・ドレーゼン氏は、ムラート・クルナス氏の著書を読み、約5年間もの収監中の様子を知ります。その様子に憤りを感じたドレーゼン氏は映画化を計画しましたが、あまりにも悲惨な内容に躊躇していました。
そんななかで映画の主人公のモデルとなったラビエ・クルナス氏と出会い、彼女の一癖も二癖もある天真爛漫なキャラクターに魅せられ作品の方向性が決まったそうです。ラビエ本人と同じくトルコ系ドイツ人の人気コメディアン、メルテム・カプタン氏がラビエ本人と遜色ないキャラクターを演じきります。クスっと笑えて、ホロっと泣ける、没入感のある作品です。ぜひ映画館へ足を運びましょう。
ミセス・クルナスvs.ジョージ・W・ブッシュ
- 公開日
- 5月3日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
- 監督
- アンドレアス・ドレーゼン『グンダーマン 優しき裏切り者の歌』
- 脚本
- ライラ・シュティーラー
- 撮影監督
- アンドレアス・フーファー
- 出演
- メルテム・カプタン、アレクサンダー・シェアー
- 字幕翻訳
- 吉川美奈子
- 配給
- ザジフィルムズ
- 後援
- ゲーテ・インスティトゥート東京
- 公式X
- @kurnazJP
映画で出てくる場所をおさらい
ドイツ・ブレーメン
作中でクルナス一家が住んでいるブルーメンは、ドイツ観光で人気のコース、メルヘン街道の北の出発点として有名な町です。ドイツを訪れたことが無い人でも「ブレーメンの音楽隊」と聞くとピンとくるはず!
町の中心地マルクト広場には、ブレーメンの音楽隊の銅像が建てられ町の一大観光地となっています。銅像のロバの足を撫でながら願い事をすると願いが叶うという言い伝えや、コインを入れると音楽隊のメンバーの泣き声が聞こえる細工が施されたマンホールがあるなど、童話の世界感を体感できます。
それ以外にも、広場周辺には世界遺産に登録されているブレーメン市庁舎や2本の斜塔とゴシック建築が特徴的な聖ペトリ大聖堂があり、さながら中世の町並みがそのままタイムスリップしてきたようです。観光客が多くて混みあうという町ではないので、落ち着いた雰囲気でゆったりと童話の世界観や中世の町並みを散策したい人にぴったりの町です。
アメリカ・ワシントンD.C.
アメリカの首都ワシントンDCは、作中にも出てきたアメリカ合衆国最高裁判所をはじめ、ホワイトハウスやアメリカ合衆国議会議事堂などアメリカの国家機関が数多く集結しています。
それだけを聞くと堅苦しいイメージかもしれませんが、ワシントンD.C.には無料で開放している博物館が多くあり、教養を得ながら楽しむことができます。筆者おすすめの変わり種は国際スパイ博物館(こちらは有料)で、2002年のオープン以来、ひそかな人気を誇っています。世界有数のスパイ関連品のコレクションや参加型のミッションなど、本格的なスパイ体験に大人はもちろん子供も楽しめる内容です。
また町の中心地には広大な敷地のナショナル・モールという国立公園があり、週末ともなると地元の家族連れがサイクリングやピクニックを楽しんでいる姿をよく見かけます。観光客にとっても、観光で疲れたときにホッと一休みするのに最適です。
筆者
地球の歩き方ウェブ運営チーム
1979年創刊の国内外ガイドブック『地球の歩き方』のメディアサイト『地球の歩き方web』を運営しているチームです。世界約50の国と地域、160人以上の国内外の都市のスペシャリスト・特派員が発信する旅の最新情報をお届けします。
【記載内容について】
「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。
掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。
本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。
※情報修正・更新依頼はこちら
【リンク先の情報について】
「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。
リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。
ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。
弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。