ベスヴィオ

Vesuvio

世界一有名な火山

人間の住居圏のド真ん中にそびえるべスヴィオ火山。その大きな噴火口は意外に早くから観光地として注目されていた。おなじみのナポリ民謡「フニクリ・フニクラ」は、1880年イギリス人トーマス・クックが世界で初めて火山観光用のケーブルカー(フニコラーレ)を開設したことで誕生したといわれている。

現在この登山電車は残念ながら閉鎖されているが、火口には徒歩で登ることができる。各出発地からバスに乗って標高1000mの広場まで上がる。運転手さんは口笛を吹きながら信じられないような急カーブをスイスイと登っていく。途中、時間調整のためなどという理由でおみやげ屋で降ろされることもあるが、ここは怒らずにのんびりとしたナポリ式時間に従おう。ヴェスーヴィオワインで有名なラクリマ・クリスティLacryma Cris(ti キリストの涙という意味)のブドウ畑や緑の生い茂る山道が急に殺風景な山肌に変わると約40分のバスの旅が終わる。ここからは徒歩のみの登山道だ。木陰もない乾いた急な砂利の坂道が約1.5km続く。履きやすい靴とかなりの体力を要する。息を切らしつつ30分もすれば火口付近に到着だ。ここで入場料を払い、噴火口の中を見下ろすことができる。

深さ200m、直径600mの巨大な穴の縁を一周するには危険が伴うので、あるポイントからは見張り小屋で同伴ガイドを頼まなければならない。山頂は薄く霧がかかっている日が多いが、晴れた日にはカプリ島まで見渡すことのできる最高のパノラマポイントだ。

べスヴィオ山が物語るナポリの歴史と生活

標高1281mのべスヴィオ火山にはよく見るとふたつの山頂がある。最初は標高2000mほどあったソンマ山が79年麓に栄えていたエルコラーノ・ポンペイの町をのみ込む大噴火を起こした際に、現在の荒々しい山頂をもつべスヴィオが誕生したと考えられている。当時の様子は小プリニウスが残した手紙に詳細に明記され、噴煙は松の木のようだったということから噴火のエネルギーのすさまじさが想像できる。この大噴火は30時間も続き、歴史上でも人間の住居圏を襲った最大の物と記録されている。その後14世紀初頭まで約100年ごとに噴火を繰り返した後、一時休止期間が続き山肌に緑を繁茂させ始めたものの、1631年に再び火山活動が開始した。現在カメオの生産で名高い港町トッレ・デル・グレコは、1794年と1944年に噴火の被害を受けた。休止期間が続いている今日、火山の調査が続けられながら、ブドウ畑が続くこの山は自然公園に指定され大きな噴火口をのぞくことができる。そして現在でもべスヴィオ火山の麓には危険を知りつつも住宅地域が拡張している。

この山を見ていると、いつまた噴火するかわからないべスヴィオ火山の麓で毎日生活してきたナポリや周辺都市の人々が、明日のことより今日を大切に楽しく生きることをモットーとする意味が少しわかるような気がする。

登山のアクセス

ポンペイなどから、標高1000mの登山口までバスが運行している。

● ポンペイ発(EAV社が運行。ポンペイのPiazza Anfiteatro始発)8:00、8:50※ 9:40、10:30、11:20、12:10、13:00、13:50、14:40、15:30※、所要55分。 ※は4/1~9/30のみ

写真

  • ©iStock M-Production

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基本情報

開山期間
4~6月・9月 9:00~17:00、7~8月 9:00~18:00、3・10月 9:00~16:00、11~2月 9:00~15:00
噴火口入場料
€8
光や気温の関係で午前中の登山がベター。夏は日焼け対策を心がけ、水やおやつを持参し、歩きやすい靴で出かけよう。
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