新型コロナの世界的蔓延はこの100年でもっとも深刻な事態であるとも言われています。ウイルスの猛威は人間が決めた国境などお構いなしに拡散し、あっと言う間に世界中に広がりました。感染拡大は極めて速く、はからずもグローバリゼーションの浸透を証明したと同時に、マスクやワクチン供給も国際社会の協力なくしては成しえず、21世紀の人類にとって国を越えた相互扶助や共生が必然であることを意識させられました
国内に目を向けても、自粛要請によって地域経済は深刻な打撃を受け、イベントや祭事の中止など芸術や伝統文化にも影響は及び、その損失は計り知れません。人の往来が経済や文化といかに密接であったかを再認識させられました。
しかしながら、これまでの歴史を振り返るまでもなく、人間の営みにおいて人々の交流が完全に途絶えてしまうことはありえず、旅への憧憬もまた失われることはないでしょう。一日も早く、だれもが安心して旅行ができる日が来ることを切に願うと同時に、「旅につながるすべての人を元気にしたい、そして、日本を元気にしたい」という当研究所の理念を、あらためて自覚するところであります。
未曾有の経験によって人々の旅行の仕方、関わり方も様変わりするかもしれません。そうした変化を敏感に感じ取りながら、一方で旅が持つ普遍の価値を信じ、当研究所も新たな一歩を踏み出す決意です。
理事長
新井 邦弘Kunihiro Arai
(株)地球の歩き方 代表取締役社長
1990年(株)学習研究社入社。月刊ムー編集部、歴史群像編集部などの雑誌編集に従事し編集長、事業室長を歴任。2015年(株)学研ホールディングスへ転籍しグローバル戦略室長に就任、グループの海外事業推進役を担う。2020年、「地球の歩き方」の学研グループへの事業譲渡により(株)地球の歩き方が設立され、同社代表取締役に就任。