2年間の再開発を経てリニューアルされているバスティーユ広場、パリは各所で歩行者や自転車優先に
気づいた人も多いかもしれません。パリ市内にあるバスティーユ広場が、2年間のリノベーション期間を経て新しくなっています。リシャール・ルノワール大通りの遊歩道がサン・マルタン運河にあるアルセナル港に向かって延長された形で、以前は車道だった一部が、歩行者用のスペースとしてより広く整備されました。
今パリは、第二次大戦後に世界的潮流だったモータリゼーションに対応した都市から、環境配慮型の自転車、歩行者を中心として新たな都市へ舵を切っています。今回のバスティーユ広場のリノベーションも、その流れを汲んだもの。段差をなくしスロープにするなど、健常者から身体が不自由な人まで、全ての人にとって使いやすい場所へと2021年に生まれ変わっています。
新しく作られた広場には街路樹が植えられ、多くのベンチも設置されました。人々はそこでお昼を食べたり、読書をしたり、各々がリラックスできる都市の中の小さな公園のような役割を果たしています。また広場からサン・マルタン運河に降りられる大きな階段が設けられました。サン・マルタン運河を地中で横切る形で走る地下鉄1号線の下を通って、運河にあるアルセナル港へ行くことができるようになりました。
広場の地面もよく見てみましょう。バスティーユ広場はその名の通り、1789年のフランス革命勃発時に襲撃されたバスティーユ監獄があった場所です。1815年の王政復古により復活していたブルボン朝が再び倒された1830年(7月革命)と、第二共和制に移行した1848年をイメージした、デコレーションを見つけることができます。
今回のリノベーションは、2015年と2016年にパリ市民や広場利用者による協議会が行われ、2017年にはリノベーションの形を検討する集まりを結成。350人以上が参加し、ベンチの設置、遊び場の設置、歴史の価値、視覚障害者への配慮など、広場の新しい空間デザインについて検討がなされました。
今回の再開発により、バスティーユ界隈が以前と比べて確実に明るくなりました。
筆者
フランス特派員
守隨 亨延
パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。
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