現地在住日本人ライターが選ぶ、これだけは食べて帰りたいフランス料理ランキング

公開日 : 2022年12月05日
最終更新 :

食がフランス旅行の楽しみという人もおおいのではないでしょうか? フランスに来たら絶対にこれだけは食べて帰ってもらいたい!という筆者おすすめの「美味しいもの」をランキングで5選紹介します。

本場のパンの味は日本に戻っても忘れられない

手軽で美味しく、パリで食べると今までの食の価値観が変わるもののひとつがパンです。フランスにはさまざまな種類のパンが売られていますが、定番のバゲット・トラディションととクロワッサンはぜひ試したいです。

バゲット・トラディションとは、日本でいうフランスパンであり1993年に制定されたフランスの法律で定められた製法で作られたもの。小麦粉、水、塩、イーストまたはルヴァンのみを使います。発酵時間は3〜72時間の間で、添加物や冷凍は禁止されています。技術が発達しバゲットを大量生産できるようになると、それに伴い品質が落ちたり本来の製造方法に変化が起きてきたため法律で規定されました。なお「トラディション(伝統)」は上記の規定に沿って作る必要がありますが、トラディションという名前がついていない通常のバゲット(バゲット・ノルマル)もあります。

おいしいパンを食べたいなら、パン屋での購入がおすすめです。職人によりていねいに作られたパンは、大量生産品とはかなりの味の差が出ます。パン屋で買ってもスーパーで買ってもそれほど価格差はありません。そして、ひとくくりにパン屋といってもお店や職人によって腕が異なるので味に差が出ます。

クロワッサン(左)とパン・オ・ショコラ(右)
クロワッサン(左)とパン・オ・ショコラ(右)

お店によってパンの得意分野も違います。バゲットは少し好みに合わないけど、クロワッサンなどヴィエノワズリー(菓子パン)はおいしかったというところや、その逆も。『地球の歩き方』本誌に載っている特集ページまたは、毎年パリで発表される「バゲット・コンクール」など各種コンクールの上位店を目安に訪れてもいいですね。なおバゲット・コンクールの優勝店には、大統領府であるエリゼ宮に1年間パンを納入できる権利が付与されます。ちなみに2022年の優勝店はパリ市内15区にあるフレデリック・コマンです。

フレデリック・コマンの外観
フレデリック・コマンの外観
Frédéric Comyn(フレデリック・コマン)
住所
88 rue Cambronne 75015

世界の才能が集まるパリのスイーツ界

スイーツもフランス旅行では見逃せません。毎年新しい才能や技が次々と開花し、美しい作品がメディアを賑わせます。

スイーツもパン同様にスーパーではなくパティスリー(ケーキ屋)で購入することをおすすめします。パン屋でもケーキ類を扱っているところは多いですが、パン屋のケーキはパティスリーに比べてお値打ちである一方で、味などの本格さはパティスリーに軍配が上がります。いろいろと食べ比べてみても楽しいはずです。

フィリップ・コンティチーニのチョコレートプラリネのタルト
フィリップ・コンティチーニのチョコレートプラリネのタルト

また、中級以上のレストランでは、お店オリジナルのデザートを、そのお店のパティシエが作って提供しているところが多いです。日本のケーキはスポンジが主体になっていますが、フランスのケーキはムースが基本。そのため食事の後のデザートとして出されても重たくなく、すっと胃袋に入ります。

チョコレートについては、それを専門としたショコラトリーと呼ばれる専門店があります。

パリにはおすすめすべきパティスリーがたくさんありますが、なかでもフィリップ・コンティチーニは、甘さしっかりのフランスらしさと芸術性高い現代パティスリーの両者を詰め込んだスイーツを作っています。下記の3区の店舗含めてパリ市内には計4店舗あります。

Philippe Conticini(フィリップ・コンティチーニ)
住所
31 Rue Notre Dame de Nazareth 75003

フランスではとても身近なカモ料理

鴨のコンフィ
鴨のコンフィ

庶民的な食堂から高級レストランまで、フランス料理の定番食材といえばカモが挙げられます。なかでもカモ肉を使ったテリーヌやフォアグラは前菜としてよく出される料理で、カモのコンフィ(カモのもも肉を鴨の脂で煮込んだ料理)やカモ胸肉のローストはメインディッシュで供される一般的な料理です。肉単体だとプレーンな鶏肉と比べて、カモ料理は肉も赤身で味わいの深さが特徴的。パリ市内のビストロでもメニューに入れているところは多いです。

カモはフランスのどこのレストランでも食べられますが、特産地はフランス南西部。ここはフォアグラの生産地として有名で多くのカモが飼育されているため、料理もカモを使ったものが多くあります。

ミキュイ(半生に火を通した)のフォアグラ
ミキュイ(半生に火を通した)のフォアグラ

パリ市内でも南西部料理を扱うレストランへ行くとカモ料理に力を入れています。パリ市内17区にある「イ・レテ・ユヌ・オワ・シュッド・ウエスト」では、フォアグラ、カモのコンフィ、マグレ・ド・カナールとカモ料理が一通り揃います。値段はメインで20ユーロ前半から中盤。パリでは平均的な価格設定です。

Il était une Oie dans le Sud-ouest(イ・レテ・ユヌ・オワ・シュッド・ウエスト)
住所
8 Rue Gustave Flaubert 75017

フランスで赤身肉の奥深さを知る

「ル・セヴェロ」のステーキ
「ル・セヴェロ」のステーキ

日本とフランスでぜひ食べ比べてみてほしい食材が牛肉です。日本の牛肉はサシが入った霜降りの牛肉が珍重されますが、フランスは赤身文化の国。サシが入っていない一方で、肉を熟成させてうま味を引き出します。

もしフランスで本格的な牛肉のステーキを食べたいのなら、少し予算を出して熟成肉などを扱っている専門店へ行ってみましょう。日本の霜降りとはまた違った牛肉の美味しさを発見できるはずです。

フランス語で焼き加減は火入が弱い順に「ブル(レア)」「セニャン(ミディアム・レア)」「ア・ポワン(ミディアム)」「ビヤン・キュイ(ウェルダン)」。ただ、一定以上の価格帯のお店では「Quelle est la cuisson recommandée?(おすすめの焼き加減は何ですか?)」など焼き加減を聞いて任せてしまうのがおすすめです。そのお肉にとって最高の焼き加減で提供してくれます。

日本と同じく、フランスにもシャロレーやリムーザンといった牛肉の有名な産地があり、それぞれブランド化しています。フランスの牛肉を堪能したいならパリ市内にあるステーキの専門店「ル・セヴェロ」へ。熟成肉などフランス牛肉の奥の深さを体験してみてください。

Vertus(ヴェルチュ)
住所
45 bis Rue d'Aguesseau 92100

どこまでも広がるフランスワインの世界

ワイナリー巡りもおすすめ ©iStock
ワイナリー巡りもおすすめ ©iStock

最後に忘れてはいけないのがワインです。ワインはフランスの至るところで造られていて、地方によって個性がかなり変わります。また日本と比べて、同じ質のものがとても安く飲めます。

ワインといっても、それほど難しく考える必要はありません。美味しさというのはその人の味の好みですので、「甘いワインが良いのか、そうでないものが良いのか」「さっぱりしたものが良いのか、芳醇なものが良いのか」「予算はどれくらいなのか」などを、まずお店の人に伝えてみましょう。それに沿った品物を選んでくれます。逆にそれらヒントがないとお店の人は選びづらいですので、「こんなはずじゃなかった」というものを買うことになってしまいます。

レストランなどでは、注文した料理にどのワインが合うのか聞くと、ソムリエまたはサービスの人がおすすめを教えてくれます。その際も、希望をきちんと伝えておけば好みのワインに出合えます。

装飾が美しいアーケード街ギャルリー・ヴィヴィエンヌにあるワインショップ「ルグラン・フィーユ・エ・フィス」や、ギャラリー・ラファイエット・パリ・オスマン店内に入るボルドーワインの専門店「デュクロ」とコラボしたワインコーナーは内装も必見。フランスでは日本で購入する場合と比べて同じ予算で良いものが買えることが多いので、フランス旅行を機会に本場でワインの美味しさを再発見してみてください。

筆者

フランス特派員

守隨 亨延

パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。

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